『アメリカ極秘UFO計画「レガシープログラム」の謎』ムー2024年12月号のカバーアート/zalartworks
「ムー」2024年12月号カバーアート解説
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文=大槻ケンヂ 挿絵=チビル松村
“懐かしの昭和ソングと陰謀論”の回想は「ヘイ・ユー・ブルース」へ。 「なぜ俺は負け組の側になってしまったのか?」この名曲から陰謀論の本質が学べた……?
2回連続で“懐かしの昭和ソングと陰謀論”について触れた。ダメ押しで今回はヘイ・ユウ・ブルースから話を始めます。左とん平が昭和48年に発売した「とん平のヘイ・ユウ・ブルース」は、無茶苦茶カッコいいジャズファンクに乗せて俳優の左とん平が何度も「ヘイユウ、ウァッチャネーム!?」、お前の名前を教えろ!と叫ぶ、ある意味早過ぎたJラップだ。当時ヒットした。
小学生であった僕も教室で同級生と指差し合って「ヘイユウ!?」とお互いの名前を尋ね合ったもんである。この曲、オケに乗せてのポエトリーリーディングというサウンドスタイルも衝撃的だったうえに、歌詞がなんとも味わいがあったのだ。
要約したならこんなことが語られていた。
人は皆同じように裸で生まれてくるのに、どうして人生はうまくいったりいかなかったりの差ができるのか?
そしてなぜ俺は負け組の側になってしまったのか?
幸不幸を振りわけている誰かがいるのか?
俺をこんなふうにしてしまったそいつは一体誰だ?
名を名乗れ。
「ヘイユウ、ウァッチャネーム!!」
僕がネタにこそすれ、そんなには陰謀論を信じることがないのは、子供の頃に「左とん平のヘイ・ユウ・ブルース」を散々聴いたからだと思うのだ。現在の自分の不遇を誰かのせいにして劣等感から逃れたいという心理は、人には誰しもあるけれど、俯瞰で見た時、それはちょっとブルージーでさみしい心象風景だ。
さらに「ヘイユウ、ウァッチャネーム?」と名を問い、相手(いるとするなら)が名乗ってもいないのにNASAだ米政府だイルミナティーだディープステートだと決めつけるというのも、見方によっては強引なんじゃないかなと、とん平の名曲から僕は陰謀論の本質であろう“自分の不幸は他人のせい”の、その閉塞感を学んだように思う。
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大槻ケンヂ
1966年生まれ。ロックミュージシャン、筋肉少女帯、特撮、オケミスなどで活動。超常現象ビリーバーの沼からエンタメ派に這い上がり、UFOを愛した過去を抱く。
筋肉少女帯最新アルバム『君だけが憶えている映画』特撮ライブBlu-ray「TOKUSATSUリベンジャーズ」発売中。
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