『One-Eyed Likho』 スラヴ民間伝承「片目のリーホ」が史上初のゲーム化!/藤川Q・ムー通
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スラヴ神話で最も有名な魔女――バーバ・ヤーガ。森の中の一軒家に住み、子どもを獲って食べるといった日本の山姥的な側面を持ちつつも、礼儀正しい姿勢を見せれば助けてくれる存在でもあるという二面性を持った魔女伝承で知られるが、本作『REKA』はこのバーバ・ヤーガ伝承を魔女側の視点から体験できるという、非常に稀有なアクションアドベンチャー作品。
あなたは伝説の魔女であるバーバ・ヤーガの弟子となる若き魔女見習いとなり、魔女としての新生活をスタートさせることになる。そう、生活系シミュレーターのように、"魔女としての暮らし" をシミュレートするかのように。
今回ムー通でとりあげたのは、『REKA』が描く魔女生活の表現とそのクオリティが段違いに素晴らしいものであるからこそ。ゲーム作品で魔女キャラクターはしばしば登場するものの、本作の主人公は、東欧のうっそうとした森の中にある村など、広大なマップを舞台に"本当に魔女伝承をベースにした" 生活ができるのである。
生活系ゲームのように、森で蜂蜜やキノコを採取したりするけれど、本作におけるその用途は――悩める村人に請われて、悪霊に憑かれた村人の悪魔祓いのための儀礼的材料、や魔法薬だったりする。適切な魔女のシジルを描き、材料を燃やした煙の中で執り行われる儀礼で祓ったりするわけである。おっと、もちろん生活・クラフト系のゲームらしく、ハウジング要素も非常に細かくさまざまな家具や調度品で自分好みの自宅をクラフトできる楽しさも充実しているので安心してほしい。これまた東欧風の木造家屋を外壁から自由にカスタマイズして、あなただけの魔女の家での暮らしが楽しめる。
……ちなみに、あなたの自宅は伝説のバーバ・ヤーガが住む家。伝承どおりに、家には巨大な鶏の足がついており、あなたが命じることで、自在に移動できるのである。
正直、かねてよりスラヴ神話に親しんできた筆者は、このバーバ・ヤーガの家を動かす体験には感動を禁じえなかった。余談だが、イギリスのファンタジー小説でスタジオジブリのアニメーション映画にもなった『ハウルの動く城』にも通じる"移動する魔法使いの家"の伝承を、最新のゲーム表現で"自分の家"として体感できる機会を与えてくれるスタジオEmberstorm Entertainmentには万雷の拍手を贈りたいところ。
ゲームは現在Demo版が配信中で、リリースは2024年内の予定なので、あなたもバーバ・ヤーガの弟子となって、鳥の足のついた家での新生活をはじめてみては?
(本作のムー民度 ★★★★☆)
Steam Demo版配信中
REKA ©2023. Emberstorm Entertainment UG. Developed by Emberstorm Entertainment UG. Published by
Sold Out Sales & Marketing Ltd. trading as Fireshine Games. All rights reserved.
(月刊ムー2024年7月号)
藤川Q
ファミ通の怪人編集者。妖怪・オカルト担当という謎のポジションで、ムーにも協力。
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