UFOに遭遇し、宇宙人と交流した体験者の実録に超常現象の輪郭を観る! UFOドキュメンタリー映像・5選

文=比嘉光太郎

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    UFO事件、UFO体験を題材にしたドキュメンタリー映画はいくつもある。体験告白に基づくリアルを捉えた作品は、UFOを取り巻く状況をあぶりだすようだ。

    UFO体験の核心に迫る

     オカルト的な事件やUFO体験は、往々にしてセンセーショナルな部分が取り沙汰されることが多い。おぞましい体験や、異様なディティールもまた魅力の一つではあるのだが、それが全てではない。不可解な体験をしてしまった当の本人はどう感じたのだろう? 本人の人生の中で、UFO体験はどんな意味を持つのだろう?

     今回は、これらの疑問に答えてくれるドキュメンタリー作品を5本を紹介したい。いずれも、ドキュメンタリーでしかできない手法でUFO体験の核心に迫った優れた作品ばかりである。

    宇宙人ガールフレンドとの愛と創作活動『Love and Saucers』(2017年公開)

     冒頭、白髪の老人がカメラに向かって淡々と語り始める。
    「私は17歳のとき、宇宙人の女性と性交して童貞を失った」ーーー。
     衝撃的な告白から始まるドキュメンタリー、『Love and Saucers』は、宇宙人と日常的に性交し、今日に至るまで継続して宇宙人とコンタクトしているというデビッド・ハギンズ(撮影時72歳)を取材した作品だ。

     ハギンズ氏はニュージャージー州の市街に一人で住んでおり、劇中では淡々とその日々の様子が映される。料理を作って食べ、近所のデリでアルバイトとして働き、自室に集めたホラー映画のVHSを鑑賞する。そんな所作と同じくらいの日常生活の中で、彼の宇宙人とのコンタクトは起きている。
     彼は8歳の時から謎の人型の存在と遭遇し、後にそれが宇宙人であると気づいたという。そして17歳のときには、彼がクレッセントと呼ぶ宇宙人に襲われて性交したというのだ。
    「今もなお、度々、宇宙人クレッセントは彼の部屋を訪ねてくる」
     ハギンズ氏はそう語った。劇中で宇宙人クレッセントの存在する証拠が明確に登場する訳ではないが、劇中でハギンズ氏の語るエピソードは示唆に富むものばかりだ。

     ハギンズ氏は現在、自らのコンタクト体験を絵にして発表している。この彼の活動は、ある出会いを機に始まったものだった。UFO研究家バド・ホプキンスの書いた著作『​​イントゥルーダー』である。ハギンズ氏は大人になって結婚し、子供もできた頃には、過去の体験の記憶に蓋をしていた。いわゆる一般的な生活を送っていたという。そんななか、彼がふと手にした『​​イントゥルーダー』が記憶を蘇らせたのだった。

    「Intruders」https://www.amazon.com/Intruders-Budd-Hopkins/dp/0345346335

     この中に書かれている数々のUFOコンタクト体験を知り、ハギンズ氏は自身の記憶をフラッシュバックのように思い出した。同時に、かつて遭遇した宇宙人とのコンタクトも開始。そこから精神的に辛い日々が続いた。人に言っても信じてくれず、数ヶ月後には妻と離婚。激しい孤独感のなか、ハギンズ氏は宇宙人からこう告げられた。「絵を描きなさい」ーーー。こうして、今に至る創作活動が始まった。

     絵を描く行為がハギンズ氏を救い、そして多くの人々と繋がる手段ともなっていく様子が本作には映し出されている。こうしたところからは、このドキュメンタリー『Love and Saucers』は、UFOという鏡を通してハギンズ氏の人生を覗いているような不思議な後味を残す作品となっている。

     日本では、Vimeoでは563円でレンタル、1122円で購入して視聴が可能である。
    Watch Love and Saucers Online | Vimeo On Demand on Vimeo

    MOVIEATEより https://www.moviate.org/archives/monthly-film-screening-archives/316-love-and-saucers-a-film-by-brad-abrahams

    UFO体験のスピリチュアルな側面に迫る『エンカウンターズ -UFOとの遭遇-』(2023年公開)

     ネットフリックスにて配信されている、全4話のドキュメンタリー作品。アフリカでのアリエル小学校事件、イギリスのブロードヘイブン小学校でのUFO集団目撃事件などに迫るエピソードなどが各話完結で続くなか、特筆すべきは第1話『福島上空の光』である。このエピソードでは、東日本大震災に関連して、UFO目撃が多発した件が取り上げられている。

     UFOを語るなかで、そのスピリチュアルな側面は避けては通れない。多くの人がUFOに癒されたり、UFOとの繋がりを通して救いを得たりすることもある。本作『福島上空の光』のなかでは、震災の際に出現したUFOにまつわる、スピリチュアルな証言が多く取り上げられている。

     ビジュアルアーティストであるサクマジヨウ氏は、地元、岩手県石巻市が壊滅的な被害を受け、深くショックを受けた。彼が妻と共にUFOを目撃したのは、そんな震災から約3ヶ月後のことだったという。彼はUFOの目撃時、黄金色に光るUFOから温かなテレパシーを受けたと語っている。
     他にも、劇中では、多くの出演者によって様々な意見が飛び交う。「震災時に目撃された謎の飛行物体は、震災による死者の霊魂が形を変えて出た人魂である」といった話も出る。そして、高次元の宇宙存在からのメッセージを言葉にする、いわゆるライトランゲージを語る演劇講師、蜷川みほ氏も登場。

     多くの人が思い思いにUFOへの考えを述べるが、本作はそれだけでは終わらない。劇中では、そんなスピリチュアルな体験に焦点を当てる一方、それを日本の文化や宗教学の見地から解説するという、一歩引いた目線も登場する。
     宗教学を専門とする教授、ダイアナ・パスルカ教授はこう述べた。「本物かどうかというのは論点がずれています。(UFOのもたらす)目撃者への影響に着目すべきです」。

     振り返って考えると、UFOブームは1947年にアメリカから広まったものだ。正体不明の飛行物体を宇宙人の乗り物として捉える動きは、日本からして外国の文化ということもできる。だが、そんな文化が日本においても受け入れられている現状とは、一体どのような意味を持つのだろうか。ここを探るなかで日本人の精神性というものが見えてくる。そんな深い問題を考えるヒントが、『エンカウンターズ -UFOとの遭遇-』第1話『福島上空の光』にはある。

    『エンカウンターズ -UFOとの遭遇-』
    https://www.netflix.com/jp/title/81489034

    UFOを通して浮かび上がる人間模様『虚空門GATE』(2019年公開)

     近年の日本で撮られたUFOドキュメンタリーのなかで、真っ先に取り上げられるべきなのが『虚空門GATE』である。読者のなかには既に鑑賞された方も多いことだろう。これはUFO現象に迫った作品というよりも、「UFOを取り巻く人々」に迫ったドキュメンタリーだ。

     本作の監督は奇妙な映像をネット上で見かけたことから、ドキュメンタリーの撮影を始める。
     その映像とは、極秘裏に月に着陸したアポロ20号の乗組員ジョン・H・ラヴィンらが異星人の死体を発見し、それを撮影したというものだ。ここに写っている死体は一体何なのか? 監督が多くの専門家・コンタクティーに会い、映像についての見解を伺っていく。

     そんななか辿り着いた人物こそ、本作の主人公となっていく俳優・画家の庄司哲郎氏だった。庄司氏はなんと自らUFOを呼ぶことが出来ると語り、監督は彼に密着する。庄司氏はUFOの写真を撮ってみせ、ついには監督の前でUFOを呼ぶ。こうして庄司氏を取り巻くUFOの世界に引き込まれていく監督だったが、ある事件をきっかけに、監督の目線は、UFOそのものよりも庄司氏を取り巻く人間関係へと移っていく……。

     UFO体験の核心に迫ろうとするとき、否応にでも当事者の人間模様が大事な鍵として浮かび上がってくる。これは過去に起きた重大なUFO事件にも共通するものだ。例えば、宇宙人とコンタクトしたウッドロー・デレンバーガーは、コンタクトをきっかけに妻から離婚を言いわたされてしまった。他方、MIBに脅迫されたことを公表し、MIBの存在を世界に知らせた人物アルバート・K・ベンダーは、結婚をきっかけにMIBからの接触が無くなったという。やはりUFO体験の受け取り手が人間である以上、体験者の人としての生活はUFOと切っても切り離せない。このようなUFO体験者の私生活を覗き込むことで、本作の監督はもう一つの真実へと迫っていく。

     真実と虚構の間を縫って飛ぶUFO。それが真実かフェイクかを超えて、UFOを追う人々の心のなかには紛れもなく真実の感情が動いている。『虚空門GATE』は、そんなUFOを取り囲む人々の悲喜交々を映し出した良ドキュメンタリーである。

    『虚空門 GATE』 は、配信サービスの中ではU-NEXTやHULUで視聴可能。
    https://video-share.unext.jp/video/title/SID0052269
    https://www.hulu.jp/kokumon-gate

    それでも私はUFOを見た!『未解決ミステリー』(2022年公開)

     異常犯罪事件を中心に取り上げ、心霊体験やUFO事件も特集するネットフリックスのドキュメンタリーシリーズ『未確認ミステリー』。そのなかでも、シーズン3の第2話『未確認飛行物体』は特に緊迫感の立ちこめる作品だ。

     1994年3月8日にミシガン州南西部にて発生したUFO集団目撃事件。大勢がUFOを目撃したその最中には、約60本もの通報があった。本作『未確認飛行物体』の劇中では、その際の通報電話の実際の音声を取り上げつつ進行するため、今まさにUFOを目撃している最中の人物の荒い息遣いを聞くことができる稀有な作品となっている。

     本作において話の中心人物として登場するのが、元・気象学者のジャック・ブショングだ。ブショング氏は29歳だった当時、付近の国立気象局にて深夜の勤務に当たっていた。3月8日の夜、多数のUFO目撃の通報に困惑した地域の保安官は、国立気象局にレーダーで空の様子を調べるよう連絡している。この時、レーダーの操作を担当したのがブショング氏だったというわけだ。
     その夜、彼がレーダーを確認すると、明らかに異様な動きをするものがミシガン湖上空を乱舞していた! 彼は見たものをありのままに報告した訳だが、これが後に彼を苦しめることとなる。マスコミでも大々的に報道されたこのUFO集団目撃事件において、空飛ぶ円盤という突飛とも取られかねない存在に科学的な根拠を与えてしまった唯一の人物となってしまったのだ。ブショング氏は周囲から白い目で見られるようになり、5ヶ月後には別の州への異動が言い渡されてしまうのだった。
     ブショング氏は引退後、2021年にはミシガン州に戻ってUFOの調査を開始。そんな彼の執念の調査の様子が、本作からは垣間見ることができる。

     ブショング氏が当時の目撃者を訪ねていくなかで、当時の目撃者のうちの一人は嬉しそうにこう語った。「私の人生に起きた良いことを二つ選ぶならば、まず私の子供を授かったことでしょう。あの晩の出来事(UFOを目撃したこと)がその次です」。一方で、同じ夜に同じUFOを観測していたブショング氏は、そのUFOのせいで苦しめられた過去がある……。

     ある日突然、否応なしに人生を変えられてしまう、UFO体験の圧倒的な不条理さを感じさせる作品である。私たちはもしUFOを見てしまった時、どうすればいいのだろう? 投げっぱなしの問いを突きつけてくるところもまた、UFO体験のもつ側面である。

    『未解決ミステリー』シーズン3
    https://www.netflix.com/jp/title/81026055

    UFO体験のトラウマに向き合う『Witness of Another World 』(2018年公開)

     時として、UFO体験は人の心に大きな傷を残すことがある。UFOから危害を加えられた事例は世界で後を絶たず、多くの者がUFO体験をトラウマとして記憶している。

     本作に登場するファン・ペレス氏もそんな被害者の一人だ。スペイン人と南米の現地住民の混血住民、ガウチョである彼は、アルゼンチンで生まれ育った。彼は1980年頃、当時12歳のときにUFOと第三種接近遭遇を果たしたという。だが、あまりにも不可解な体験ゆえに、それをうまく言葉にすることができなかった。当時開かれた記者会見の場で、彼はうまく言葉を見つけられず泣いてしまったのだった。ファン氏はUFO体験以来、撮影時は50代になりつつも、夜は悪夢にうなされ、人目を避けて田舎で自給自足生活を送っている。

     冒頭、監督のアラン・スティベルマン自らレポーターとしてファン氏に近づいていくも、今なおトラウマであるUFO体験にどのように触れていいのか戸惑う。だが、彼の生活に密着するなかで徐々に打ち解けていき、ファン氏はポツリポツリと自らを語り始める。

     驚くべきことに、ファン氏の体験を聞き出すため、劇中では退行催眠まで用いられる。これは現代ではあまり用いられない手法でありつつも、かつて多くのUFO体験者の記憶を引き出すために用いられてきた催眠療法だ。
     催眠下に入ったファン氏は体験時の記憶を語り出す。12歳のあのとき、馬に乗って荒野を行こうとした際、着陸した円盤を見つけたこと。気になって円盤に付いているハシゴを登ったら、中では「白く発光した人」が「血の出ていない肉」を切っている最中だったこと。円盤から降りて逃げようとしたら「白く発光した人」に肩を叩かれ、そこに火傷ができたこと……。
     記憶が核心部分に近づくなか、退行催眠を施している医師はファン氏にこう語りかけた。
    「なぜ自分を選んでコンタクトしてきたのか、理由を聞いてみなさい」
     ファン氏は記憶のなかで時空を超え、「白く発光した人」にそう問いかけた。すると、記憶の中のファン氏の目の前に、ファン氏の祖父が突然現れた! ファン氏は穏やかな気持ちになって催眠から解かれたが、監督は困惑するばかりである。どうすれば、この超常的な体験を読み解くことができるのか……。監督は二人の人物に望みを託した。

     まず、監督はUFO研究家ジャック・ヴァレに協力を仰いだ。ご存知の方も多いであろう。ヴァレ氏はかつて、UFO界に新たな旋風を巻き起こした人物である。今も健在であり、日本でもその著作『【核とUFOと異星人】人類史上最も深い謎』が昨年夏に出版されていることで知った方もいるかもしれない。このドキュメンタリーの撮影時は70代後半という年齢にも関わらず、ヴァレ氏はアルゼンチンまでやってきた! そして、ヴァレ氏はファン氏の話を聞き、ある結論を言い渡す。

     次に、監督はファン氏の先祖に当たる、パラグアイの部族のシャーマンのもとを訪ねた。超自然的な世界からうけたトラウマは、同じく超自然的な世界で癒すことができるのかもしれない。ファン氏をシャーマンに診てもらい、彼のUFO体験や、度重なる悪夢の意味を読み解いてもらおう……そういう目的だった。ドキュメンタリーにしては、あまりに取材対象に干渉しすぎていはしないかという考えもあるだろう。ただ、このやり方は取材者と対象者のコミュニケーションをきちんと描いているうえで評価できるものとなっている。

     ヴァレ氏の出した結論とは? シャーマンはファン氏のUFO体験に何を見出したのか? 結末はぜひ、あなたの目で確かめてほしい。UFOという問題よりも更に深く、一人の人間のトラウマの回復までを追った良作となっている。

    『Witness of Another World』はVimeoにて541円でレンタル、1408円で購入して視聴が可能である。

    比嘉光太郎

    「未確認の会」主宰。第2回日本ホラー映画大賞豆魚雷賞『絶叫する家』などオカルト、ホラーの研究、実践制作で活動する。

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