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菅田正昭 著
離島と日本人の霊性に関する論文を集成した1冊
日本人にとって「島」とは何か。
海洋民族である日本人にとって、海は身近な生活の場でもあったが、その海の遙か彼方には、神々の原郷としての「常世」があり、島はある意味、現世と常世の間のような存在であったということは、想像に難くない。
このような「島」の持つ霊性について、著者は「日本文化の根源をなすのはマ(間)の概念である。アマ(天・海)に囲まれたシマ(島)は、マを集約的に体現する存在であり、そのマこそがシマをシマたらしめてきた」といい、「海(アマ)は天(アマ)の一部であり、シマ(島)はこの〈アマ〉の霊性に包まれた聖空間」であり、さらに「神祭りは本来、アマ-シマという時空の〈間〉を詰めて、神々を〈中今〉に顕現させることにあった」と喝破する。
著者は大学卒業後、独自に学術研究を続行。傾倒する北一輝が佐渡出身であったことから、離島に興味を抱いた。「日本は島国だから恐らく島のことを勉強すれば、〈日本〉全体のことが解るはず」。さらに離島論を書くためには、実際に離島に住む必要があると考え、伊豆諸島の青ヶ島の役場職員となった。
本書は、そんな著者が「日本離島センター」発行の機関誌「しま」に寄稿した、離島と日本人の霊性に関する論文を集成したもの。全編に汪溢する日本および島への愛とともに、著者の抱く密やかな危機感もまた感じ取っていただきたい。
(月刊ムー 2024年4月号掲載)
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