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都市伝説研究家の宇佐和通氏の新刊「陰謀論時代の闇」から、知っておくべき陰謀論的常識を紹介。
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宇佐和通 著
陰謀論との健全な付き合いを推進していくための、「49の陰謀論を集めたカタログ」
「アメリカは政府関係者と金融界、産業界のトップから成る組織〈ディープステート〉に事実上、思いのままに操られている」「不活性の状態になっているウイルスが5G通信網から発せられる電波で活性化する」「ケムトレイルの散布により、若年層のセクシュアリティが意図的に変えられている」「実は地球は平面なのだ」「月面には、既に稼働状態にある基地、すなわち地球外軍事/産業複合施設がある」「アメリカ政府はエイリアンと密約している」「爬虫類型人類の血脈が何千年にもわたって地球を支配し続けてきた」……。
いずれも、本書で紹介されている陰謀論の数々である。本誌の読者ならば、見ただけで思わずワクワクしてしまうようなトピックが、目白押しなのではないか。
陰謀論は、実際には複雑怪奇に錯綜する現実世界の出来事を、いとも簡単に「解明」し「説明」してしまえる、便利なツールである。これが面白くないわけがないし、また世界の裏の姿、あるいは真の姿を自分は知っているのだ、という優越感に浸ることもできる。とはいえ、陰謀論との付き合い方は、あくまでも「楽しむ」というスタンスを固持することが重要であろう。
先のコロナ禍では、「反ワク」と呼ばれる、ワクチン接種に対して、かたくなに抵抗する、陰謀論者が大量発生した。家族のだれかが、そのような考えに取り憑かれ、そのために家庭崩壊にまで至ったという事例も、数多くあったと聞く。そんなことになってしまえば、陰謀論はもはや害悪でしかない。
そんな中、陰謀論との健全な付き合いを推進していくための、待望の書が登場した。曰く、「49の陰謀論を集めたカタログ」。陰謀論を否定も肯定もせず、ただどのような陰謀論が存在しているのかが、淡々と紹介されてゆく。
本書では、陰謀論を信じるか信じないか、あるいはどの程度まで信じるかは、完全に読者の判断に委ねられている。まさに、すべての陰謀論好きの書架に備えられるべき、最良の「カタログ」である。
何にせよ、「陰謀論を知り、掘り下げていく過程は、漠然と見ているだけでは決してわからない世界の本当の動きを知ることにつながる」のだ。心して拝読したい。
(月刊ムー 2024年4月号掲載)
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