伝説の巨大建造物は古代メソポタミアのジッグラトか? 「バベルの塔」の真実/世界ミステリー入門
天にも届くような巨大な塔を築いた人間たちは、神の怒りを買い、互いに言葉が通じないようにされ、世界各地へ散らばっていった――。 『旧約聖書』の中でも有名なバベルの塔の物語だが、実はこの巨塔は、かつて実在
記事を読む
「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。
岡本佳之 著
日本の神話の土台には、メソポタミアの史実がある
何とも壮大な歴史書の登場である。本書によれば、日本列島には何千年も前から「縄文人」が住んでいたが、その一部が遙か昔に大陸に渡り、メソポタミアに移住した。このことは、DNAのゲノム解析から、確実な話であるという。しかもその後、かなり早い段階で、彼らは再び日本列島に戻ってきた。そんなわけで、よく知られた天孫降臨や國譲りなどの神話の土台には、実はメソポタミアの史実がある、というのである。
この驚くべき主張を、著者は比較言語学や考古学などの知見を駆使して、精緻に編み上げてゆく。その結果、たとえば標題にある「天照大神」の正体は、アナトリア地方(高天原)で崇拝されていた「太陽の女神アリンナ」であり、皇室は古代エジプトを起源に持つ周王朝から続く万世一系で、「周や秦王朝の後も、中東や古代ローマなどから、朝鮮半島経由で多くの民が移住した先が日本列島」であるというのだ。
著者の岡本佳之氏は、歴史・都市伝説考察系YouTuberとして、『考え方の学校 Yoshi SUN TV』というチャンネルを主宰。
本書でも、その呆れるほどの博識がまざまざと見せつけられるが、それもそのはず、岡本氏は、世界の俊英が集うロンドン大学大学院の出身というから、そもそも頭の出来が凡俗とは違う。
最終章に収録された、ヤケにお洒落な日本神話の神々のイラストには、正直、度肝を抜かれた。
(月刊ムー 2024年3月号掲載)
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
関連記事
伝説の巨大建造物は古代メソポタミアのジッグラトか? 「バベルの塔」の真実/世界ミステリー入門
天にも届くような巨大な塔を築いた人間たちは、神の怒りを買い、互いに言葉が通じないようにされ、世界各地へ散らばっていった――。 『旧約聖書』の中でも有名なバベルの塔の物語だが、実はこの巨塔は、かつて実在
記事を読む
縄文ビーナスから読む縄文時代の神学とアマテラスの正体/斎藤守弘・極孔神仮説(後編)
前衛科学評論家を自称し、UFOから超古代文明まで視野を広げていた故・斎藤守弘氏は、晩年に「縄文のビーナス」に着目し、古代「極孔神」信仰についての研究を重ねていた。遺稿をもとに、原始日本の精神文明を解き
記事を読む
都市伝説BAR「KAMNA」から情報発信! 「MATT SHOW【都市伝説ch】」/ムー的YouTuberの世界
ファンから本物の能力者まで集まる都市伝説BAR「KAMNA」を運営する スタンダードな都市伝説系YouTuber! 独自の考察やバーで仕入れた情報を元にエンターテイメントとして情報発信する。
記事を読む
「怖い女」から「少女の神話」へ! ジブリ作品やラノベから女性と物語の関係を読み解く/神話学者・沖田瑞穂
神話にも、ジブリ作品にもあらわれる「怖い女」とは? 神話学者がその怖さの正体を読み解く。
記事を読む
おすすめ記事