神聖幾何学図形が霊的覚醒を促し、幸運を引き寄せる!「フィンガー・ラビリンス願望成就法」理論編
約5000年前から世界各国でつくられてきたラビリンスは、特定のエネルギーを放ち、人のエネルギーや意識を整えて向上させるという。そして、人が歩くためのラビリンス以外に小さなラビリンスがあり、それを指でな
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昭和の時代、少年少女がどっぷり浸かった怪しげなあれこれ。疑惑と期待、畏怖と忌避がないまぜの体験は、いったいなんだったんだろう……? “懐かしがり屋”ライターの初見健一が、昭和レトロ愛好視点で当時を回想。 今回は「ダウジング」にも使える(?)謎のグッズ「ミステリーファインダー」について。
「ダウンジング」関連のアレコレで長々と展開してしまい、そろそろ読者も「もういいよ!」となるころだと思うが、続けて「ダウジング」にまつわる、もっともしょーもない思い出について回顧してみたい。
「ミステリーファインダー」という商品についての記憶である。この商品名だけで多くの同世代読者がピンときたことと思う。同時にゲンナリしてしまう人もいるかも知れない。
「ミステリーファインダー」は70年代前半を中心に(実際は60年代後半から80年代初頭にかけて)、主に週刊マンガ雑誌など(特に『少年チャンピオン』に多く掲載されていた記憶がある)の通販広告欄を通じて盛んに販売された謎の商品だ。
あの種の通販広告には怪しげなオカルト系商品も多かったが、なかでももっとも意味不明なアイテムが「ミステリーファインダー」だった。広告が掲載されるたびに友人たちの間で「なんじゃ、こりゃ?」と話題になるのだが、あまりに怪しくて実際に買ったヤツは周囲にひとりもいなかった。というか「欲しい!」という気分にいっさいならない商品だったのだ。実物を目にしていないので、その印象はよけいに謎めいていた。
どういう商品なのかというと……以下の説明は非常に混乱した印象を与えると思うが、それは僕の頭が混乱しているのではなく、この商品そのもののコンセプトが混乱しているのだ、ということを念頭に置いて読んでいただきたい。
見た目は大仏の首を模したペンダントである。金色の大仏様の頭部に鎖がついている、という形状だ。で、大仏の後頭部には「来福」という文字が刻印されている。
どう見ても奈良や鎌倉の観光土産という感じで、おそらくはそういう観光土産用のパーツの余剰在庫を流用したんじゃないか、と個人的には思っている。見た目も不可解だが、広告に書かれている商品説明はさらに不可解だ。
――これはふしぎ! 大仏の首が鳥や卵、昆虫などのオス・メスをピタリと当てる!――(広告によって多少のバリエーションがあるが、だいたいこのような内容)
文意がにわかには把握しにくいと思うが、要するに「生物の性別を瞬時に判定するためのツール」ということらしいのである。価格は350~450円ほど(業者や年代によって変動がある)。
商品の企画意図も使用目的もわかりにくいし、わかったところでまったく使い道が思い浮かばない。もちろん原理や仕組みは皆目わからない。それ以前に「大仏の首のペンダント」という無気味なデザインがまったく購買意欲をそそらず、こうした怪しげなオカルトグッズに飛びつく子どもでも、非常に手を出しにくいアイテムなのである。
が、「まつみ商会」や「ポニー」など、当時のマンガ雑誌ではおなじみの複数の通販業者が長年扱っていたところを見ると、それなりに売れつづけたロングセラーだったのかもしれない(売れ残りまくっていたので惰性で長期間広告を出しつづけていたのかもしれないけど……)。
当時はまったくわからなかったが、要するにこれ、いわゆる振り子(ペンデュラム)タイプの「ダウジング」ツールなのだ。
対象となる生物(ヒヨコでもカブトムシでも人間でも)に「ミステリーファインダー」を近づけると、生物がオスの場合は大仏の首が直線を描いて左右に揺れ、メスの場合は円を描くように揺れる……ということらしい。
大仏の頭の内部には磁石が仕込まれており(ただの鉛が入っていたという証言もあるが)、これが対象の「生物電気」もしくは「動物磁気」に反応するのだそうだ。
かつて、一部では「生物電気」はオスの場合はプラス、メスの場合はマイナスを帯びているという説が信じられていた。近代心霊科学黎明期に盛んに研究された「動物磁気」についても、オスメスで極性の違いがあるとする説もあり、これらによって振り子の揺れ方が違う……という理論を前提にした商品だったのである。
「ミステリーファインダー」がどの程度の確率で生物の性別を判定できたのかは知る由もないし、そんなことは考えるだけヤボというものだが、あの時代ならではのインチキ疑似科学グッズのコンセプトが「動物磁気」と「ダウジング」から成っているのは興味深い。
前回、僕ら世代が最初に触れたオカルトは「催眠術」と「ダウジング」だったと書いた。
「動物磁気説」を提唱して「催眠術の祖」となったフランツ・アントン・メスメルの研究は、「メスメリズム」として精神分析学に発展していく一方、それに境を接する形で発展した心霊科学にも継承されていった。「催眠術」と「ダウジング」の根底には、どちらも近代オカルト=心霊科学の黎明期に大流行した「動物磁気」という概念がある。
「催眠術」と「ダウジング」をおもしろがることで「オカルトの味」を覚えた僕ら世代は、近代オカルト史を最初からなぞるような形で「あっち側」への好奇心を育んでいけた幸福な世代(?)だったのかもしれないな、なんてことを改めて思ってしまう。
それにしても、「生物のオスメスを判定する」という「ミステリーファインダー」の用途は、やはりどうも不可解である。そんなものを必要とする子どもがいるとは思えないし、マンガ雑誌に広告を出すオカルトグッズとしては、子どもたちに「欲しいっ!」と思わせるだけの魅力に乏しい。
どうせインチキなら(といってしまうとミもフタもないけど)、普通に「ダウジング」用の「ペンディラム」として、地中の金属を探索するツールという触れ込みで売る方が、まだ子どもたちに対するヒキがあったのではないか?……とも思う。
しかし、この「オスメス判定」のためのオカルトグッズという不可解な商品の背景には、日本で昔から行われている伝統的な「おまじない」があったようだ。いわゆる「針占い」である。
我々世代の祖父母世代にはおなじみの「おまじない」、というか一種余興的なお遊びで、妊婦のお腹のなかにいる赤ちゃんの性別を当てるゲームのようなものだ。糸の先に結んだ縫い針を妊婦のお腹に近づけると、「ミステリーファインダー」と同様、赤ちゃんが男の子なら針は直線的に揺れ、女の子だと円を描くとされている。昔は多くの家庭で行われていたようで、針の代わりに五円玉を用いる方法もポピュラーだったという(これについても「ダウジング」と「催眠術」の不思議な近似性がうかがえる)。
おそらく「ミステリーファンインダー」の開発者(「開発」と呼べるのかどうかわからないけど)には、この忘れられてしまった前時代の「迷信」を商品に応用して、それを知らない当時の「現代っ子」たちを驚かせてやろう、といった発想があったのだと思う。
時のオカルトブームに便乗し、おばあちゃん世代が信じた「迷信」を現代風(?)にグッズとして「リサイクル」する、というアイデアだったわけだ。
もちろんそれは文字通りの「子どもだまし」だし、少なくとも僕も周囲の友達も「欲しいっ!」とはまったく思わなかったわけだが、それでも40年以上も経過した現在、こうして原稿に書き連ねてしまうほど心にひっかかる商品だったということを考えれば、「ミステリーファインダー」はやっぱりとても素敵な「子どもだまし」だったんだなぁ、と思うのである。
(2020年3月26日記事を再編集)
初見健一
昭和レトロ系ライター。東京都渋谷区生まれ。主著は『まだある。』『ぼくらの昭和オカルト大百科』『昭和こども図書館』『昭和こどもゴールデン映画劇場』(大空出版)、『昭和ちびっこ怪奇画報』『未来画報』(青幻舎)など。
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