「チュパチュパUFO」が発するビームで数千人が負傷！ ブラジル・コラレス島の怪奇侵攻事件、その一部始終／ブレント・スワンサー

UFOが辺境の村を突然襲撃

　UFO遭遇のシチュエーションは幅広いが、ほとんどの場合、その背後に何があるのかと畏怖と驚きを抱かせる傾向がある。しかし、すべてのUFO現象が友好的であるとは限らない。UFO事件史の中には、恐怖と不吉な予感を抱かせるものもあり、ブラジルの小さな島に攻撃的UFOが侵入した事件もその一つである。

　1977年の春、ブラジルの辺境パラー州のコラレス島という遠隔地で、非常に奇妙な現象が始まった。地元の人々が、空でUFOが激しく活動する様子を報告し始め、発光する球体、オーブ、火の玉、円盤、葉巻型の金属物体など、表現は多岐にわたったが、際立っていたのは、これらの物体が攻撃的に見えたという点だった。なんと、未確認物体が人々を追いかけ、細い光線で皮膚に火傷や穴のような傷をつけられたり、血を吸われたという報告も数多くあった。光線は「非常に鋭く、家、人、ボート、木々、さらには島の上空に配備されたブラジル空軍のヘリコプターなど、あらゆる標的に完璧な精度で向けられた」と説明されている。

　イリャ・ドス・カランゲホス近郊の漁師たちは、強烈な光の玉が彼らのボート上空に現れ、光線を放ち、何人かが焼け死んだと証言している。また、カルロス・カルドーソ・デ・パウラという地元の男性も、ある晩、光の球体が部屋に侵入し、血を吸われそうになった出来事ついて次のように語っている。

「他のみんなは寝ていたが、私が最後の一服をしていると突然、屋根の梁の近くから火の玉が家に入ってきた。火の玉は部屋をぐるぐると回り始め、最後には私のハンモックのすぐ近くまで来た。火球は私の右膝あたりまで飛んできたが、肌には触れなかった。私はそれがもう片方の足へと移動するのを興味津々で見ていた。そのとき、なぜか体がだるくなり、眠気に襲われた。タバコが手から落ち、私は我に返って叫んだ。火の玉はすぐに消え、みんなは目を覚ました。火球は私の血管の位置を確認したが、うまくいかなかったようだ。火球の明るさが増すにつれて、私は火球から熱のようなものを感じた」

火の玉が人の血をチュパチュパ

　謎の光に狙われた人々の多くは、失神、吐き気、震え、偏頭痛、めまい、息切れ、筋力低下、火傷、貧血、打撲、水ぶくれ、皮膚穿孔、麻痺、焼けるような痛み、失血など、さまざまな身体への影響を口にした。実際、恐怖におののいた住民たちは、火の玉が自分たちの血を吸おうとしていると確信し、その現象は「Chupa-Chupa（チュパチュパ）」、すなわち 英語で言うところの「Sucker Sukers（吸盤吸い） 」と呼ばれるようになった。一方、病院にはUFOに襲われたという患者が殺到した。また、奇妙なことに、患者の多くが確かに血を失っていることが判明し、血液検査でも貧血や脱水症状など、全員に共通する異常が見られた。地元の医師ウェライデ・セシム・カルバーリョは、これらの患者についてこう説明する。

「全員の顔か胸部に病変があった。まず、ヒペレミア（いわゆる充血）と呼ばれる患部の強い発赤から始まり、その後は患部の毛が抜け落ち（脱毛症）、数日後には皮膚が黒くなって剥がれ落ちた。痛みはなく、わずかに温かく感じる程度だった。皮膚に小さな刺し跡があることにも気づいた。被害者は老若男女である。医学書には載っていない症例ばかりだった」

　ほとんどのケースで奇妙な症状が何日も、あるいは何週間も続き、入院が必要になる。その年の8月までには、島中の何千人もの人々がUFOを目撃し、追いかけられたり、襲われたりしたと推定された。UFOは常に北から飛来し、場合によっては「母船」から切り離されたり、マラホ湾の海底から飛来したとさえ言われた。人々はヒステリーを起こし、夜の外出を恐れ、大集団に身を寄せ、数の安全を求めた。チュパチュパを追い払うために焚き火をしたり、武装したパトロール隊を出動させたりする人もいた。当時の市長は、この緊迫した状況についてこう回想している。

「確かに言えるのは、一瞬たりとも平穏な時間はなかったということだ。人々はチュパチュパに怯えていた」

　クラウドミラ・パイシャオという地元住民は、ある晩、目が覚めると緑がかった光に包まれ、それが自分に向けられているビームだと気づいた。さらに、光が次第に赤く変化していくのを見たという。

「真夜中過ぎ、私は強い閃光、つまり屋根の上から私の左胸に降り注いできた明るい緑色の光線で目を覚ました。叫ぼうとしたが、声が出なかった。絶妙な熱さを感じた……。その後、その光線は弱まり、私は火傷を負っているのが見えた。潜水服のような、ジャンプスーツを着たような生き物が見えた。彼は何かを私に向け、その物体は３回光ると私の胸を打った。私は恐怖で足が動かなかった！　熱くて、痛かった。針で刺されたようだった。あの夜以来、私の健康状態は決して元には戻らなかった」

軍による調査が行われるも…… 調査担当に悲劇が

　もちろん、こうした報道とそれが引き起こしたパニックが全国的なニュースになっていたことを考えれば、軍がこの辺境の地に引き寄せられるのも時間の問題だった。1977年10月下旬、ブラジル空軍はウイレンジ・ボリバル・ソアレス・ノゲイラ・デ・ホランダ・リマ大尉の下で調査を開始する。彼らは犠牲者の怪我を調査し、目撃証言を集め、現象の証拠写真まで大量に手に入れた。さらに奇妙なことに、この島に軍隊が駐留していた時期には、空軍までもが光の攻撃を受けたと言われている。

「夜８時ごろ、何人かがその飛行船を見た。それは丸く、すべて発光していた。ちょうどそのとき、F.A.B.（ブラジル空軍）のヘリコプターが私たちの家の近くを飛んでいました。そして、UFOが発する非常に強力なビームを受けたヘリコプターが、サン・ペドロ飛行場に着陸するのを見ました。ほかにも、資材や人員を運んできたヘリコプターが時折現れ、UFOを追いかけようとしたが、あまりうまくいかなかった。いやむしろ、UFOが彼らを追いかけていたのだ」

　1978年１月、軍は調査を終え、住民に何の説明もすることなく、調査全体を機密扱いにして立ち去った。当時、気象観測用の気球や大気現象だと説明しようとする動きもあったようだが、気球に襲われて怪我を負ったという人々の証言は、明らかに納得できるものではなかった。

　さらに不吉だったのは、ホランダ大尉が３か月後に自殺と思われる死体で発見されたことだ。1978年以降、事件は沈静化したが、その後数十年にわたって散発的な証言が寄せられるようになった。ここで何が起こっていたのか？　これらは、本当にUFOなのか？　ならば彼らは何を望み、なぜ人々を攻撃したのか？　政府の隠蔽工作はあったのか？　それとも単なる集団ヒステリーと幻覚なのか？　「コラレス侵攻」は、間違いなく非常に悲惨な、しかし驚くほど不明瞭なUFO遭遇事件といえる。