空中に浮遊する島の秘密とは?『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』/卯月鮎・ゲームー案内
書評家・ゲームコラムニストの卯月鮎が話題のゲームから連想されるオカルト、超常現象、不思議をピックアップ。これらを知っておけばきっとゲームがもっと楽しくなるかも!
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書評家・ゲームコラムニストの卯月鮎が話題のゲームから連想されるオカルト、超常現象、不思議をピックアップ。これらを知っておけばゲームがもっと楽しくなるかも!?
1987年の第1作発売以来、全世界で累計1億7300万本以上の出荷・ダウンロード販売を記録している『ファイナルファンタジー』シリーズ。その最新作『ファイナルファンタジーXVI(以下FF16)』が6月22日に発売されます。
舞台は黄昏の時代を迎えつつある大地・ヴァリスゼア。人々は唯一の加護であるマザークリスタルのもとに集い、そこから得られるエーテルで魔法を生み出し暮らしていましたが……。マザークリスタルを巡る戦乱が勃発し、主人公のロザリア公国第一王子クライヴ・ロズフィールドも巻き込まれていきます。
今回はナンバリングシリーズ初となる本格アクションRPG。クライヴに宿る数々の召喚獣の力を切り替えていくバトル「召喚獣アクション」はスピーディで爽快。一方、その身に召喚獣を呼び降ろした者・ドミナント同士の巨大バトル「召喚獣合戦」は迫力満点です。物語をじっくり楽しみたいプレイヤーには「ストーリーフォーカスモード」も用意されています。
では、『FF16』から連想されるムー的キーワード3つを挙げていきましょう。
・ 召喚獣
“獣”といえば人類は古来から動物を使役し、戦争に投入してきました。強大な戦力として活躍したのはゾウ。紀元前4世紀に大遠征を行ったアレクサンドロス大王の前に、インドの戦象部隊200頭が立ちはだかったヒュダスペス河の戦いは有名です。
また、紀元前3世紀にカルタゴの将軍ハンニバルはローマ軍と戦うため、37頭の戦象を連れてアルプス山脈越えを決行しています。これはある意味、召喚と言えそうですね。
悪魔や精霊を呼び出す“召喚”もヨーロッパの貴族の間で盛んに行われていました。15世紀、ジャンヌ・ダルクの盟友だったジル・ド・レエは百年戦争後、悪魔を召喚する黒魔術にふけり、異端審問にかけられ処刑されています。
19世紀初頭フランスで出版された『地獄の辞典』によると、「招霊」は地面に描かれた魔法の円のなかに入り、「来よ、来よ、来たりて、我が望みをかなえよ」など呪文を唱えるというもの。ただ、著書のコラン・ド=プランシーは「途方もない妄信」と断言しています。
・ エーテル
歴史的にエーテルは、古代ギリシアの哲学者・アリストテレスが提唱した概念。著作『天体論』によると、地上は土・火・空気・水の四元素で構成され、天界は「アイテール(Aether)」(英語読みで「エーテル」)という元素からなるとされています。「地上のあらゆるものよりも神的でかつ先なるもの」というアイテールは、常に回転し続ける性質。語源は「絶えるときなくいつも(アエイ)走っている(テイン)」。それがゆえに、天は回転し続け、その中心が地球であるという天動説の論拠となりました。
・ 炎属性
炎属性の幻獣の代表格といえば火の鳥「フェニックス」。ギリシア語読みで「ポイニクス」と呼ばれ、紀元前5世紀のヘロドトス『歴史』に記されて以来、500年生きる伝説の鳥として知られるようになりました。
2世紀頃にエジプトのアレクサンドリアで成立した動物博物誌『フィシオログス』によれば、羽はヒアシンスとエメラルド、宝石で輝き、頭には王冠をつけた美しい鳥で、500年ごとに太陽の町ヘリオポリスに飛んできては祭官に炎で焼かれて再生するのです。
また、炎の使い手は、神話学的には「文化英雄」と呼ばれることがあります。文化英雄とは、人類に炎や穀物といった有意義な発明・発見をもたらし、文化の基礎を作り上げる存在。ギリシア神話ではゼウスから火を盗んで人類にもたらしたプロメテウスがよく知られています。ハワイをはじめとするポリネシア神話のヒーローであるマウイも、アラエという鳥から火を起こす秘密を聞き出したというエピソードが伝えられています。人間がどうして火を扱う技術を得たのか。エネルギーの源泉と争奪は、語り継がれていく物語の重要なテーマのひとつです。
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【参考文献】
コラン・ド=プランシー『地獄の辞典』講談社+α文庫
アンドレ・ナタフ『オカルティズム事典』三交社
アリストテレス『アリストテレス全集4 天体論・生成消滅論』岩波書店
オットー・ゼール『フィシオログス』博品社
M.スティングル 『古代南太平洋国家の謎―ポリネシアン・トライアングルの伝説を追う』三修社
卯月鮎
ゲームコラムニスト・書評家。雑誌、Web等でゲームの紹介、書評を中心に活動する。著書に、ゲーム実況のはしりとも言われる『はじめてのファミコン~なつかしゲーム子ども実験室~』(マイクロマガジン社)がある。
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