古代神話を徹底比較!「読み比べ 古事記とホツマツタヱ」/ムー民のためのブックガイド
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松原タニシが超人を知り超人を目指す当連載。今回その足跡を追いかけたのは、数々の奇跡を起こした美少年超人だ!
松原タニシが人を超えた存在を目指す「松原タニシの超人化計画」。今回からナビゲーターとして、タムーシ、ムーやん、ウイお姉さんが登場し、装いもあらたに超人たちの足跡を追っていく!
さて今回の目的地は、江戸時代のはじめに幕府を震撼させたあの「超人」の生まれ故郷だ。
熊本駅からバスに揺られて一時間半、到着したのは熊本県上天草市。八代海と有明海にはさまれた大小いくつもの島からなりたつ天草地域の玄関口だ。
「天草」で超人といえば……そう、今回目指す超人は、島原の乱でしられる天草四郎時貞。
上天草市の北側に位置する大矢野地区が天草四郎の出生地で、ここには四郎の生涯を解説する天草四郎ミュージアムがある。
それがこちら。
教会のような建物で、敷地には聖母子像や幸せの鐘、キリシタン信仰を思い起こさせるユニークな十字架などが建てられている。天草四郎ミュージアム、かっこいいのよ。
現在の上天草市大矢野でうまれた天草四郎。天草地域は現在熊本県と長崎県にまたがっていて、「島原の乱」の島原は長崎県側のもっとも南部に位置する。「天草四郎」だから乱も天草でおこったんじゃないかと思いがちなのだけれど、天草は現在熊本県、島原は長崎県となっているので要注意。天草四郎が生まれた天草と、島原の人たちが一緒になって幕府と戦ったのが「島原の乱」なのだ。
島原の乱でキリシタン勢が拠点にした島原の原城は、現在の長崎県南島原市にある。四郎たちは原城を拠点に籠城戦にもちこむが、幕府による兵糧攻めにあって全滅させられてしまう。このとき亡くなった犠牲者の数は3万7000人ともいわれている。ヤバい人数だ……。
キリスト教弾圧と重い年貢、そこに凶作による飢饉まで重なって、ついに耐えかねた天草と島原の人たちが「俺たちキリシタンだよな、まとまって幕府に歯向かおうぜ!」となったとき、そのリーダーになったのが天草四郎だ。
天草四郎にはものすごい伝説がたくさん残されているが、その伝説のスタートはなんと四郎が生まれる前にまでさかのぼる。
四郎がうまれるずっと前、天草にはママコス神父という宣教師が布教にきていたのだが、幕府のキリスト教禁令によって国外追放になってしまう。このとき神父はひとつの予言を残していった。その内容は、「今から25年後この地は天変地異に襲われるが、そのときひとりの天童があらわれて「ぱらいそ」が実現。キリストの教えに帰依するものを救うだろう」というものだったという。
「ぱらいそ」とはパラダイス、天国のことだが、まさに予言の25年後に天草に現れたのが天草四郎だったのだ! 予言は見事に的中したのだ、というわけで、キリシタン軍は天草四郎こそが予言の美少年だ! この人を総大将にしよう! となって続々とその足元に集まっていったのだ。
そうしてキリシタン軍のリーダーとなった天草四郎だが、彼には、周囲のキリシタンたちを集めるために数々の信じられないような奇跡を起こしたという伝説がある。それはたとえばこんな感じ。
あるとき天草四郎が目を閉じてお祈りをすると、一羽の鳩が空から舞い降りてきて四郎の腕にとまった。四郎が手のひらを差し出すと、鳩はそこに卵を産み落とす。
卵がうまれた! と割ってみると、なかからキリストの画像と巻物の聖書が出現。それを見届けた鳩は「ズイン、ズイン、ズイン」と三度鳴いて飛んで行ったのだとか。
(編集部注:このときの鳩の鳴き声は「ズイン」でなく「ズイソ」が正しいようです。ズイソは漢字では「辞伊坐」と書かれ、世界が滅亡するときに天の神が降りてきて世界をただすという意味だとか。意味合い的には「最後の審判」のことをいっているようですが、漢字をそのまま読めば「じいざす」……?)
まだまだある。またあるとき、四郎が竹の枝にとまったスズメにむかって呪文を唱えると、スズメは動けなくなってしまった。そして四郎はその竹を折ってスズメごと持って帰ってきたという。どうしてそんなことをしたのかは、よくわからない。
他にも、海の上を歩いて島原と天草の間にある離島の湯島まで渡ったという伝説もある。四郎はまさに超人、超能力者なのだ。あまりにも四郎の能力がすごすぎて「お前は怪物だ!」と文句をいってくる者まで現れたというほど。
ところがその人は四郎の文句をいったとたんに口が聞けなくなってしまった。さらに驚いてしゃがみこんだところ、今度はしゃがんだかっこうのまま足が伸びなくなってしまったというのだ。
その人が謝り、天草四郎が許したところで元どおりになったそうだが、天草四郎、ヤバい。ぜったい敵に回したくはないタイプだ。
……と、天草で天草四郎伝説のすごさを目の当たりにしたタニシだったが、地元で調査をすすめているうちに、その四郎よりもすごいかもしれない男がいたことを知ってしまうのである。その人物とは……!? (つづく)
松原タニシ
心理的瑕疵のある物件に住み、その生活をレポートする“事故物件住みます芸人”。死と生活が隣接しつづけることで死生観がバグっている。著書『恐い間取り』『恐い旅』『死る旅』で累計33万部突破している。
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