<読者投稿>霊園の入り口にたたずむ「全身が黒一色」の謎の女性

イラストレーション=不二本蒼生

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    霊園の入り口にたたずむ全身が黒一色の謎の女性

    ◆三浦舟湖/神奈川県

     今年のゴールデンウイーク明け、ゴルフ仲間3人と静岡県のゴルフ場に行きました。
     神奈川の自宅から車に乗り、有料道路や山道を経て、静岡方面へ下っていきます。
     しばらく下道を走っていると徐々に道幅が狭くなり、周囲の風景が農道の雰囲気へと一変します。
     途中、霊園があるのですが、以前、この霊園に誤って入ってしまったことがあります。まるで吸いこまれるかのように……。あわてて引きかえしたことはいうまでもありません。
     やがてそれまで見えていた民家が姿を消し、畑の中を進みます。
     視界の先にトンネルが見えてきました。このトンネルを抜けるとさらに道幅が狭くなります。右側には養豚場があり、そこを過ぎると目的地のゴルフ場です。
     快晴のこの日、残り2ホールのティーまで来たときのことです。養豚場からいつも以上に家畜の臭いが漂ってきました。
     この日は臭いだけでなく、何頭もの豚が鬼気迫る声で大騒ぎしている様子が聞こえます。
    「ブォー、ギャー、ブー」
     あまりの鳴き声に、と場に送られる仲間を思い、騒いでいるのではないかと感じたものです。
     やがてプレーが終わり、16時ごろゴルフ場をあとにしました。帰りは来た道をそのまま戻ります。
     道路を走行しているのは自分たちの車だけ。運転手はY君で、私は助手席。私の後ろにK君がいます。
     走行速度は40キロ程度で、左は畑、右は林といった道を進みます。霊園の入り口を右折すると、すぐの前方左側に黒い人影が見えました。
    「ゆっくり進んで。左側にだれかいるようだから」
     私はY君にそう告げました。
     速度20キロで進み、全身が黒っぽい人らしきものの真横にきました。
     女性です。後ろを向いています。髪の毛が異様に長く、背中全体に拡がり、お尻さえも隠れるほどです。髪は真っ黒。靴もストッキングも黒。まさに全身が黒一色です。後ろ向きなので顔はわかりません。
    “こんなひと気のない場所に女性が立っているなんて、どう考えてもおかしい。装いも異様だし”
     通りすぎたのち、バックミラー越しに確認しましたが、女性はまったく動きません。振りむきもせず、じっと立ったままです。
     運転手のY君は前方を見ていたため、女性のことはあまり確認していなかった様子です。しかし、後部座席のK君は違いました。
    「今の女の人、幽霊だよね。こんな場所にひとりで立っているのは、どう考えてもおかしい。付近に車はないし、何よりあんな雰囲気の人って、この世にいないよね」
     私もK君とまったく同じことを考えていました。
    「確かに墓参りの人ではないだろう。日暮れ後、この付近は暗闇だし。ただ、今はまだ夕方。こんな時間に霊って出るんだろうか」
     そんな話をするうちに国道1号線の山道に出て、箱根新道を下り、その後は何事も起こらず神奈川の自宅到着しました。
     はたしてあの女性は何者だったのでしょう。すでにこの世には存在しない女性で、死者が眠る霊園への案内人だったのかもしれない。ついそんなことを考えてしまいます。

    (本投稿は月刊『ムー』2026年11月号より転載したものです)

    webムー編集部

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