ウンモ星人からの手紙の送り主とは? 14.4光年の彼方から届くメッセージ/ムーペディア
世界中にあふれる不可思議な事象や謎めいた事件を振り返っていくムーペディア。今回は、およそ60年間も世界のUFO研究家たちに謎めいた手紙を送りつづけている「ウンモ星人」を取りあげる。
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毎回、「ムー」的な視点から、世界中にあふれる不可思議な事象や謎めいた事件を振り返っていくムーペディア。 今回は、UFOブームが沸き上がった1940年代半ばのアメリカで起きた、UFO墜落事件を取りあげる。
事件が起きたのは1948年3月とされている。正確な日付は、じつは明らかではない。
このとき、謎の宇宙船が大気圏内に突入するのを、「テネスコープ」という磁力線探知装置が捕捉し、その位置から予測着陸地点が算出された。
ただちにコロラド州ドゥランゴの飛行場からアメリカ軍の捜索隊が飛び立ち、数時間後にはニューメキシコ州アズテックの東方に、1機のUFOが着陸しているのが発見された。現場には警備隊が派遣されて周囲の警戒に当たり、続いてG博士をはじめとする8名の科学者たちが集められた。
UFOの直径は約30メートル。機体に損傷らしきものは見あたらず、ただ丸窓に鉛筆ほどの小さな穴が開いているだけだった。その状況から考えて、墜落して地面に激突したのではなく、制御された着陸と思われた。
外部にはシンボルマークや標識らしきものはなく、リベットやねじらしきものの形跡も見あたらなった。
科学者たちは当初、この未知の物体に近づくことを警戒し、2日の間UFOを遠巻きにして、ガイガー・カウンターその他の計器類で安全性を確かめた。
2日たってから近寄ってみると、機体はアルミニウムにそっくりの軽金属でできていたが、非常に軽く、2~3人の手で巨大な円盤の片方を持ちあげることができた。他方、強度は非常に高く、その場にいた十数人が上に乗っても、いっさいへこむことがなかった。
丸窓の割れ目を押し広げて中をのぞき込むと、壁には計器盤らしきものがあり、身長90センチから120センチくらいの、背の低い搭乗員16人の死体が確認できた。
科学者たちは、窓の割れ目から棒を突っ込み、計器盤をあちこちつついているうちに、突然開口部ができた。偶然ドアを開くスイッチに触れたらしい。
そこから中に入って詳しく調べてみると、船内には食糧と思われるウエハースのような物質、水の入った容器が2個、それに航法を扱ったと思われる小冊子のようなものなどがあった。
構造は、中央部の船室の周囲を回転するリング状の縁が取り囲んでいるらしく、船室はギヤでリングと直結していた。武器らしきものは搭載されていなかった。16人の死体を外に運びだしてみると、身長こそ低いものの、手足や胴体の比率は地球人と同じで、全員が同じダークブルーのユニフォームを身につけていた。上着には金属のボタンがついていたが、記章らしきものはいっさいなかった。そして、皮膚の部分が非常に濃い茶色に焼け焦げていた。
科学者は、飛行中に窓が破損し、そこから高温の空気が侵入したか、推進手段や船内の与圧装置に何か異常が生じたために焼かれたと判断したが、それがどの時点で起きたのかは特定できなかった。
現場ではそれ以上調査できないので、見つかった物品や搭乗員の死体はしかるべき研究所に運んで調査することになった。
UFO本体については、いくつものパーツを細い溝に合わせて結合する構造であることが判明したので、解体して運び去った。
搭乗員の死体の一部は解剖され、空軍の医学関係者の手で詳しく調査された。すると、背は小さいものの、全体の比率は地球人と同じで、肉体的にも正常な人類と判明した。ただ、歯については虫歯や詰め物などがいっさいなかった。また、地球人の年齢に換算すると、最年少の者で35歳くらい、最年長の者は40歳くらいになるという結果が出た。
また、容器に入った水は、通常の2倍の重さがあり、重水のように思われた。
小型のウエハースのようなものについては、これをモルモットに与えたところ成長がよくなった。また1枚のウエハースを1ガロンの沸騰水に入れると、たちまち容器の外に煮こぼれた。
この、謎のUFOがニューメキシコ州のアズテックに着陸し、軍がそれを回収したという事件、いわゆる「アズテック事件」が世間の注目を浴びたのは、1950年3月8日、コロラド州のデンバー大学である科学者が講演を行い、この事件について述べたことがきっかけであった。
匿名で行われたこの講演は、聴講した学生たちを中心に大きな反響を呼び、人々は講演者の身元を探りはじめた。ほどなくしてこの人物は、石油会社を経営するサイラス・メイソン・ニュートンという実業家であることが判明した。
同じ年の9月、以前からニュートンと交流のあったジャーナリスト、フランク・スカリーが、G博士という人物の証言をもとに『UFOの内幕』を著したことで、アズテック事件は世界的に注目を浴びた。
しかもこの著書には、その後3機のUFOが着陸し、1機は飛び去ったものの、他の2機は軍が手に入れ、計34人の搭乗員の遺体が回収されたとも記されていた。
2機目のUFOはアリゾナ州の兵器試験場近くに着陸した。今回は最初からドアが開いており、機内にはやはり16人の死体があったが、焼け焦げてはいなかった。そこで、飛行中何らかの原因でドアが開き、地球の大気が流れ込んだために死亡したものと推定された。
今回のUFOは最初のものより少し小型で、直径22メートルほどだが、構造は最初のものとよく似ており、トイレ関連の設備も確認できたという。
3機目は、ネバダ州のフェニックスに着陸した、直径11メートルほどの小型UFOで、搭乗員はふたりだった。うちひとりは、ハッチのような開口部から半ば身を乗りだすようにして死んでおり、もうひとりの死体は計器盤の前の椅子に座ったままだった。
スカリーの本がベストセラーになると、自らの手で事件の真相を探ろうとする者たちも現れた。雑誌「トゥルー」の専属ライター、ジョン・フィリップ・カーンもそのひとりであった。 カーンはまずスカリーを訪ね、さらなる情報を得ようとした。
スカリー自身は、著書に書かれた内容以上のことは知らないようだったが、カーンはスカリーの仲介により、あるホテルのレストランでニュートンと会見することになった。
この席でニュートンは、無造作にハンカチに包んだ4個の金属片をカーンに見せた。2個は小さな歯車で、他の2個はさらに小さな、5セント硬貨くらいの丸くて薄いものだった。
カーンはニュートンに対し、ちゃんとした研究施設で金属片を調査するよう勧めたが、ニュートンは断った。そこでカーンは非常手段に訴えることにした。手品の手法を用いて、ニュートンの金属片を1個かすめ取ることにしたのだ。
次にニュートンに会ったとき、カーンは金属片の一個をつまみあげ、返却するときに掌に隠した偽物とすり替えた。カーンの用意した偽物はできのよいものではなく、サイズが微妙に異なっていたのだが、ニュートンはまったく疑うことなくそれを受け取り、他の3個と一緒にハンカチに包んで持ち帰った。
カーンはすぐに、詐取した金属片をスタンフォード研究所に送って成分の分析を依頼したところ、結果は普通のアルミニウムであった。
同時にカーンは、スカリーのいうG博士が、アリゾナ州フェニックスに住む機械工レオ・ゲバウアーだということもつきとめた。
この?末は、「トゥルー」誌1952年9月号に掲載された。
しかもその後、ニュートンとゲバウアーが詐欺で有罪になってしまったこともあり、スカリーとその著書の信用も地に落ちてしまった。現在では、海外のUFO関係の書物でも、アズテック事件というと、ねつ造事件の代表例として取りあげられることが多い。
なお、1993年に作られたアメリカのテレビ・シリーズ『X-ファイル』ではダナ・スカリーという女性の捜査官が活躍するが、「スカリー」という苗字はフランク・スカリーにちなんだものだという。
ところが、事態はそれほど単純でもないようだ。というのは、ゲバウアーやニュートン以外にも、アズテックにUFOが着陸したとか、墜落したとする情報がいくつかあるのだ。そのひとつが、シカゴのFBI特別捜査官ガイ・ホッテルが残した1950年3月22日付の報告書、通称「ホッテル・メモ」である。
この報告書は、アメリカにおける情報公開請求により存在が明らかとなったもので、ホッテルは空軍の調査官から聞いた話として、ニューメキシコ州で空飛ぶ円盤3機が回収されたと報告している。
また、アメリカの著名なUFO研究家レナード・ストリングフィールドも、1948年2月13日に、アズテック北東20 キロのハート渓谷にUFOが着陸したと述べ、事件を肯定している。
ストリングフィールドの述べる内容は、スカリーの著書、つまりG博士の証言とは細部で異なってはいるが、もかしたらゲバウアーやニュートンが語っていた話の中にも、何らかの真実が含まれていたのかもしれない。
●参考資料=『UFOの内幕』(フランク・スカリー著/たま出版)、『未確認飛行物体UFO大全』(並木伸一郎著/学研)、『図解UFO』(桜井慎太郎著/新紀元社)、『驚異物語』(黒沼健著/新潮社)
(月刊ムー2021年5月号掲載)
羽仁 礼
ノンフィクション作家。中東、魔術、占星術などを中心に幅広く執筆。
ASIOS(超常現象の懐疑的調査のための会)創設会員、一般社団法人 超常現象情報研究センター主任研究員。
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