エジプトのカフラー王ピラミッドの地下に巨大構造を発見! 超古代文明が築いた「惑星間通信の電源」説
ギザのピラミッドの地下に648メートルに及ぶ巨大構造物が発見された。衛星による「透視」結果を、電気的宇宙科学の視点で考察する。
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毎回、「ムー」的な視点から、世界中にあふれる不可思議な事象や謎めいた事件を振り返っていくムーペディア。 今回は、エジプト・ギザの台地にそびえる三大ピラミッドとオリオン座の3つ星との不思議な関係を取りあげる。
エジプトは、世界最古ともいわれる古代文明が生まれた場所である。そして古代エジプト文明を象徴する遺物といえば、やはりピラミッドであろう。ピラミッドはエジプトの古王国時代に盛んに建造され、一説には大小あわせて300のピラミッドが建造されたともいわれる。
中でも最大のピラミッドとして知られる、エジプトの首都カイロにあるクフ王のピラミッド、通称「大ピラミッド」は、ビザンチウムのフィロンが1世紀に選んだ世界の七不思議の中で唯一、当時とほとんど変わらない異様を現代に伝えており、古来さまざまな伝説に彩られてきた。

秘教的な見解をとる者の中には、大ピラミッドはアトランティスの伝説の王ヘルメス・トリスメギストスがアトランティスの叡智を封じ込めるために建設し、内部にエメラルド・タブレットを隠したともいう。
アメリカの「眠れる予言者」エドガー・ケイシーもそのリーディングの中で、大ピラミッドが建造されたのは紀元前1万490年から1万390年の間と述べている。
近代においても、大ピラミッドは古代エジプト人以外の何者かが建てたものであり、その寸法の中に当時知られていなかったはずの円周率3.14の数字、地球の直径や地球と太陽の距離などの数値、さらには人類の未来の予言までが隠されているという説が唱えられてきた。
また、いわゆる「古代宇宙飛行士説」の立場から、大ピラミッドは古代に地球を訪れた宇宙人の技術で建造されたと主張する者もいる。
しかし考古学的には、ジェセル王の階段ピラミッドやスネフェル王の真正ピラミッドといった進化を経て、クフ王のピラミッドまで段階的に発展してきたことが裏づけられている。
他方、エジプトのピラミッドに関しては、まだ未解明の謎も残されている。
たとえば、ピラミッドは古代エジプトのファラオ(王)の墳墓として造られたというのが通説ではあるが、ピラミッド内からファラオのミイラが見つかった例は今のところない。日本におけるエジプト学の第一人者・吉村作治日本国際大学総長も、墳墓説には否定的である。
さらに近年も、大ピラミッド内部に新たに空間が発見されたり、近くに謎の地下空洞が見つかったりするなど、新しい発見も相次いでいる。
エジプトのピラミッドをめぐる謎のひとつに、ギザのピラミッドの配置の問題がある。
ギザの台地に並ぶ大ピラミッドとカフラー王のピラミッド、そしてメンカウラー王のピラミッドを「ギザの三大ピラミッド」と呼ぶが、大ピラミッドの北東の角から南西の角を結ぶ対角線を延長するとそのままカフラー王のピラミッドの対角線に重なるのに対し、メンカウラー王のピラミッドだけがこの延長線から外れている。
正確な測量技術をもち、幾何学的配置を重んじた古代エジプト人にしては、非常に奇妙なことである。もしメンカウラー王のピラミッドが意図的にずらした場所に建てられたとすれば、その理由は何であろうか。

従来エジプト学者たちは、この点に関して十分な解答を提供できないでいた。しかし、この問題を解決したと主張した人物がいる。その人物とは、個人的にピラミッドに関心を持っていたベルギー人建築技師のロバート・ボーヴァルである。
ボーヴァルはベルギー人ではあるが、エジプトのアレキサンドリアで生まれた。その後、1967年にイギリスの大学に学ぶためにエジプトを離れるまでずっとアレキサンドリアで暮らし、建築技師となってからも、主に中東やアフリカでの事業に参加してきた。
そんなボーヴァルが、最初に三大ピラミッドの配置について疑問を抱いたのは、1982年のことだった。 当時サウジアラビアでのプロジェクトに参加していたボーヴァルは、休暇で生まれ故郷のエジプトを訪れ、ギザの三大ピラミッドやカイロ博物館などへ赴いた。
その際、三大ピラミッドを上空から写したポスターを見て、3つ目のピラミッド、つまりメンカウラー王のピラミッドの位置が何かおかしいと感じたのだ。建築技師としての観点から、どこか整合性を欠くと感じたのだろう。
ボーヴァルはこのポスターを写真に撮ってサウジアラビアへ帰り、一緒に仕事をしていた土木技師や建築家などの意見を聞いた。すると全員が口をそろえて、ギザの台地の構造物は何らかのマスタープランに沿って意図的に造られていると述べた。
しかし、メンカウラー王のピラミッドだけが小さく、位置が外れている点についてはだれも説明できなかった。
ところが、答えは意外なところから見つかった。
1983年11月のある夜、ボーヴァルは友人と一緒に、家族で砂漠へキャンプに出かけた。
サウジアラビアという戒律の厳しいイスラム国での束の間の息抜きとして、コーヒーやノンアルコールのビールを飲み、バーベキューを楽しんだ後、寝袋で眠っていたボーヴァルは、なぜか午前3時ごろに目が覚めてしまった。
見上げると、空高くに天の川が伸び、その近くに冬の代表的な星座であるオリオン座が見えた。そこで天文学に詳しい友人を起こすと、彼はシリウスが昇ってくる場所を判断する方法を解説した。
その際指標となるのがオリオン座の3つ星、つまりδ(デルタ)星ミンタカ、ε(イプシロン)星アルニラム、そしてζ(ゼータ)星アルニタクという3つの2等星を結んだ線だった。さらに友人は、オリオンの3つ星はまっすぐ並んでいるわけではなく、一番小さいミンタカが少しずれていると口にした。
そのときボーヴァルは、謎が解けたと思った。このオリオン座の3つ星の並びが、まさにギザの三大ピラミッドと同じだったのだ。
ボーヴァルは、この発見を早速イギリスの専門家に知らせた。否定的な返答もあったが、一方で好意的な反応もあった。
こうして1989年、イギリスのエジプト学会誌「エジプト学論議」13号に「オリオン座の3つ星の配置に基づいたギザの三大ピラミッドの基本計画」と題する最初の論文が掲載された。そして1994年、エイドリアン・ギルバートとの共著として、『オリオン・ミステリー』が出版されたのである。


本書はまず、エジプトのピラミッド群の配置は、ナイル川を天の川に見立て、古代エジプトでオシリス神と考えられたオリオン座の姿を再現する、壮大なプロジェクトに基づいていると主張する。


実際、オリオン座のベルト部分の3つ星に相当するギザの三大ピラミッドだけでなく、オリオンの左脚サイフにあたる部分にはアブ・ロアシュのピラミッドがあり、右肩のベラトリックスにあたる部分にもザーウィヤト・アル・アルヤーンのネブカー王のピラミッドがある。
さらに、ダハシュールにあるふたつのピラミッドは、牡牛座のヒアデス星団に相当するとする。




『オリオン・ミステリー』は世界的なベストセラーになり、大きな反響を呼んだ。しかし、天文学者を中心に反対意見も出された。
確かに、ボーヴァルの主張には十分検証されていない内容も多い。
たとえば、ギザの三大ピラミッドのひとつ、メンカウラー王のピラミッドが他のふたつのピラミッドより小さい点を、オリオン座3つ星のミンタカが少し小さいことと比べているが、他の2星も明るさがほぼ同じというわけではない。しかもミンタカとアルニラムは変光星で、明るさが定期的に変化する。
他方、この大きさの点に関しては、王権の衰退や財政上の問題が原因とする説もある。
オリオン座を地上に再現しようとしたという主張に関しても、星座図とピラミッドの配置図を比べてみると、3つ星以外の位置関係はあまり重ならない。ボーヴァルは、ピラミッドの配置は現在の星座の位置ではなく、紀元前1万450年ごろのオリオン座と天の川の関係を再現しようとしたとも述べているが、それにしてもかなりのずれがあるのだ。
さらにボーヴァルの理論に従えば、オリオン座でもっとも目立つベテルギウス、そして次に明るいリゲルの位置には、それに相当する巨大なピラミッドがあってしかるべきだが、今のところそうした痕跡は発見されていない。
ただし、オリオン座の3つ星とギザの三大ピラミッドの位置が相関関係にあるという点に限っていうと、これを受け入れた考古学者もいる。それが、日本のエジプト学者・河江肖剰(かわえ・ゆきのり)名古屋大学大学院教授である。
河江教授は、大学受験に失敗した後エジプトに渡り、現地の旅行社で働きながらカイロ・アメリカン大学でエジプト学を学び、アメリカのマーク・レーナー博士のギザ発掘に参加して、エジプト学者としての地位を確立したという異色の経歴の持ち主だ。
その河江教授は、1万450年前の天体の位置を再現しようとしたという点や、クフ王のピラミッドが建設される前に何らかのグランド・デザインがあったという説には否定的である。しかし、オリオン座の3つ星と三大ピラミッドの配置については、これを認める意見を述べているのだ。
では、その河江版「オリオン・ミステリー」とはどのようなものだろう。
河江教授は、クフ王からメンカウラー王に至る3代のファラオが、その時代の信仰に基づいて自分のピラミッドに固有の意味を持たせようとしたと述べる。
まず、クフ王が大ピラミッドを建設したときには、ギザの台地には何も存在せず、クフ王はエジプト神話の原初の丘を象徴する建造物として大ピラミッドを造ったという。
続くカフラー王は、大ピラミッドとほぼ同じ大きさのピラミッドを、夏至の日にふたつのピラミッドの中間に太陽が沈むような場所に建てた。
そしてメンカウラー王は、当時オリオン座の3つ星と同一視されていたオシリス神への信仰を取り入れて、自分のピラミッドの位置を3つ星の配置にならって定めたというのだ。



もちろん、河江教授の説はまだすべてのエジプト学者に受け入れられているというわけでもないようだが、考古学の素人であったボーヴァルが投じた一石は、今やエジプト学界にも波紋を広げつつあるようだ。
参考資料
『オリオン・ミステリー』(ロバート・ボーヴァル、エイドリアン・ギルバート著/NHK出版)、『ピラミッド・タウンを発掘する』(河江肖剰著/新潮社)
羽仁 礼
ノンフィクション作家。中東、魔術、占星術などを中心に幅広く執筆。
ASIOS(超常現象の懐疑的調査のための会)創設会員、一般社団法人 超常現象情報研究センター主任研究員。
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