托胎霊夢に始まった仏教世界の「夢」をひもとく特別展「仏教と夢」11月24日まで開催中

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    夢でつながる、教えの物語を知る特別展。

    ガンダーラから日本まで、仏教は「夢」をどう語ったか

     寝ている間にみる「夢」。
     科学的にみれば、それは睡眠中に脳がおこなう記憶の整理や感情処理の副産物とされます。しかし人間は古来、洋の東西を問わず夢に特別な意味を見出してきました。正夢、予知夢、夢のお告げなど、夢はいつも人智をこえた何かからのメッセージとして捉えられてきたのです。

     仏教説話で夢が最初に説かれるのは、ブッダの母である摩耶夫人(まやぶにん)がみた「托胎霊夢」だといいます。
     それは、摩耶夫人が「6本のキバをもつ白いゾウが体のなかに入る」という夢をみたのちにお釈迦さまを授かった……という神秘的な物語ですが、この托胎霊夢をはじめとして、仏教の世界観のなかで夢はどのように扱われてきたのでしょうか。

     そんな深遠なるテーマをとりあげる特別展「仏教と夢」が、京都市の龍谷ミュージアムで開催されています。夢と霊験譚、仏教経典に説かれる夢、玄奘三蔵や東アジアの高僧たちがみた夢、など、「夢」というワンテーマから仏教の世界観や思想が深掘りされるユニークな内容になっています。

     夢は、神仏からの伝言なのか。あるいはこの世界そのものが、神の見るはかない夢にすぎないのか……。秋の夜長、刻々と日の短くなるこの時期は「夢」について考えるベストシーズンかもしれませんね。

    道綱の母、夢みてきずなを取り戻す(重文 石山寺縁起絵巻 巻第二(部分) 絵:鎌倉・正中年間(1324〜26) 詞:南北朝時代(14世紀) 滋賀・石山寺(展示期間 9月20日〜10月19日)
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    親鸞、六角堂で救世観音の夢をみる(重文 本願寺聖人親鸞伝絵 巻上(部分) 南北朝時代(14世紀) 文化庁 *巻替えあり)
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    この世は、ヴィシュヌの一睡の出来事(ナーガ上のヴィシュヌ インド 19世紀 東京国立博物館 image :TNM Image Archives)
    *画像の転載・複製禁止

    特別展「仏教と夢」
    会場:龍谷大学龍谷ミュージアム(京都)
    会期:11月24日(月・祝)まで
    料金:一般1,600円、高大生900円、小中生500円
    詳細は公式サイトから https://museum.ryukoku.ac.jp

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    webムー編集部

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