「怪異と乙女と神隠し」の制作現場で都市伝説が増幅…!? アニメ化記念・原作者インタビュー
怪談や都市伝説を題材にしたアニメ「怪異と乙女と神隠し」の原作者・ぬじま氏にインタビュー!
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「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。
目次
世界、そしてとりわけ日本における「失われた大陸」の受容史
「失われた大陸」。世にロマンの種は数多あれど、大西洋のアトランティス、太平洋のムーという「失われた大陸」2大巨頭こそ、まさしく超古代史ロマンの真打ちといえるだろう。プラトンの昔から、2300年以上にわたって、失われた大陸もしくは超古代文明という観念は、無数の人々の心を虜にしてきた。本誌でも過去に何度も特集が組まれ、実在論が幅を利かせている。
さて本書は、標題からも明らかなように、そんな「失われた大陸」の研究書である。とはいえ、本書では「失われた大陸」神話自体の真相究明や謎解きなどには、主眼が置かれない。「系譜学」とあるように、本書は世界、そしてとりわけ日本における「失われた大陸」の受容史が中心となる。
プラトンやヴェルヌの著作の翻訳に伴って、アトランティスが初めて日本に上陸したのは、1880年代のこと。一方、ムー(大陸)の受容は1932年のことらしい(元々ムー大陸が語られるようになったこと自体、20世紀になってからである)。
それが戦時になると、いわゆる古史古伝などとも絡みつつ、国威発揚のためにムーが利用されるという事態も生じる。そして戦後は、専らポップ・カルチャーの題材として「失われた大陸」は大流行を見ることとなった(このあたりの「失われた大陸」関連の作品に関する、本書の圧倒的な情報量はまさに圧巻)。本誌「ムー」についても、詳細に言及されている。
なぜ著者は「失われた大陸」に関心を抱いたのか。著者にとって「事実と想像との複雑な関係、相互作用」を利用したり巻き込まれたりすることが「人間の文化活動の一つの本質、人間のおもしろさ」なのであり、それを最もよく体現しているものこそが「失われた大陸」なのだという。
だからこそそれは、「事実と想像が渦巻く知的冒険世界へのポータル」たり得るのだ。
本書の読み方にはいろいろあるだろうが、「失われた大陸」に関する論争史、あるいは各時代ごとのオカルト界の動向史としても十分に読めるし、資料集としても、これほど充実しているものは他にない。「失われた大陸」に関心のある向きには、必携の一冊である。
『遠野物語』をテキストに、日本人のルーツに迫る
「国内の山村にして遠野よりさらに物深き所にはまた無数の山神山人の伝説あるべし。願わくはこれを語りて平地民を戦慄せしめよ」。
これは日本民俗学の創始者・柳田國男の代表作『遠野物語』の序文にある一節である。日本列島の中にある「平地民の世界とは異なるもう一つの山の民の世界」。それを語れば、平地民は「戦慄」せざるを得ないというのだ。
本書は、『遠野物語』をテキストに、日本の異界に跳梁跋扈する山人、山姥、河童、ザシキワラシ、狼、大猿、「オシラサマと云ふ神」らを読み解き、「日本人」のルーツに迫ろうとする試みである。柳田は日本人が「先住民の子孫としての山地民」「渡来民の子孫としての平地民」「両者の混淆」で成り立っていることに、すでに明治43年の時点で注目していた。
その結果、著者によれば、柳田は1970~80年代に日本の学界に押し寄せた「多文化主義」を、その半世紀も前に、先取りすることとなったという。
著者・新谷尚紀氏は、社会学博士で、現在は国立歴史民俗博物館等の名誉教授。『柳田民俗学の継承と発展』などの著書がある。
本書の構成は、かつて著者がNHK文化センターで行なった連続講座が元になっているといい、なるほど内容も文体も、一般向けの文化教養講座のような趣である。
肩肘はらず、気楽に取り組んでいただきたい。
神話の枠に収まりきらない神々の謎を解説
日本には「八百万」の神がいる。その中には、アマテラスやスサノオ、オオクニヌシなどのように、『古事記』や『日本書紀』で華々しく活躍するビッグネームもいれば、そうでない神々も無数にいる。何しろ(比喩とはいっても)八百万なのだ。日本の神々のすべてを網羅して、カタログ化することなど、とうてい不可能だろう。
本書は「できるだけ慎重に、信頼できると思われる史資料を参照しながら、神話の枠に収まりきらない神々の謎を解きほぐそうとする」試み。
俎上に載せられるのは、記紀神話に登場する謎の神(オオヒルメ、ヒルコなど)、記紀に登場しない古代神(セオリツヒメ、熊野神など)、怨霊と異形の神(平将門、牛頭天王など)、偽書と新宗教の神々(『ホツマツタエ』、艮の金神、『日月神示』など)、知られざる謎の民俗神(ミシャグジ、シコブチ神など)である。
こうした「秘められた神々」に関する情報は、いざ調べようとしても何から手をつけてよいのかわからず、閉口することになりがちだ。しかし本書は、コンパクトな体裁に適度な項目数、それに簡にして要を得た解説が付されているので、とにかく便利である。
本書を「秘められた神々」の世界への入門書とし、興味の湧く神と出逢えたならば、さらに専門書に当たるといった使い方もできよう。一家に一冊、常備しておくべき情報源といえるだろう。
古生物研究の面白さを体感する、化石の「教科書」
「化石」というと、子供たちにとっては、独特の魅力とロマンを秘めた妖しい存在である。「『恐竜展』だとか『絶滅動物の世界』というような特別展があると、たくさんの化石好きな子供たちが博物館にやってきて大賑わいになる」。
にもかかわらず、いざ受験となると、生物学や地学を選択する学生は少ないし、「化石」を扱う学問(古生物学、霊長類学、人類学、形態学、解剖学など)が、中学や高校で教えられることは、ほとんどない。
そこで、満を持して登場するのが本書である。本書は「高校生から大学の1~2年生を対象」にした化石の「教科書」。知的好奇心旺盛な学生なら、一読すればたちどころに化石の魅力に取り憑かれ、化石研究の面白さを体感することとなろう。
記述はQ&A方式を基本として、発掘調査の手法から、サルとその進化、ヒトの誕生、そして絶滅した人間の祖先まで、具体的で興味深い読者の質問に丁寧に答えていく。
大学生までを対象としていることから、かなり高度で専門的な内容も含まれているが、読みやすさは抜群である。
著者である高井正成氏と中務真人氏は、いずれも京都大学教授で、専攻はそれぞれ古生物学と古人類学。
思えば河合雅雄の昔から、京都大学といえば世界に誇る霊長類学・人類学の牙城。その学統が、こうして今もなお脈々と受け継がれていることに、感動を禁じ得ない。
あらゆる戦争の背後には「イルミナティ」の影が!
本書のテーマは、ずばり「戦争」である。アメリカ独立戦争や南北戦争に始まり、アヘン戦争、日清日露、ふたつの世界大戦に、冷戦とその後を経て、現在のウクライナ戦争まで、およそ近代のあらゆる戦争の背後には「イルミナティ」の影がある、と著者は説く。
著者のいう「イルミナティ」とは「表には出てこない権力者・支配者たちの総称」で、その中心メンバーが「フリーメーソン」「ロスチャイルド家」「ダボス会議」「国連」といった組織を自在に操っている。その最終目標は、250年前から続けられている「世界統一計画」である。
しかも何と、あのプーチンと習近平は、このイルミナティの敵であり、彼らと熾烈な戦いを繰り広げているというから驚く。
著者・朝堂院大覚氏は格闘家・空手家であり、各種格闘技団体の総裁などを務める。また「最後のフィクサー」の異名を取り、社会の裏と表に通暁しているという異色の人物。
後藤田正晴や田中角栄、中曽根康弘といった日本の大物政治家から、PLOのアラファト議長、リビアのカダフィ大佐やフィリピンのマルコス大統領にミッテラン大統領、サッチャー首相、さらにはあのマイケル・ジャクソンに至るまで、世界各国の錚々たる要人たちと交流関係を結んでいるというから、尋常ではない。本書に記された驚愕の情報も、著者のこの幅広い人間関係と、情報網の賜物なのかもしれない。
本書自体が珍奇な宝石箱の趣を醸し出す逸品
「宝石」。膨大な時の流れと精妙な地球の作用、それに磨き抜かれた職人の技が生み出した、文字通りの奇跡である。古来、人々は宝石を求め、珍重し、そこにさまざまな神秘の力を見出してきた。
必然的に、宝石は伝承や伝説、そして物語を身にまとう。本書は、全43種に及ぶ美しい宝石を取り上げ、それぞれにまつわる興味深い物語を紹介する、インスピレーションに満ちた書物。むろん、物語のみならず、鉱物学的なデータもしっかり収録されているから、「宝石図鑑」の名に偽りなし。
著者の飯田孝一氏は、日本彩珠宝石研究所の所長を務める宝石鑑別家。まさに、日本における宝石のエキスパートといえよう。
何より特筆すべきは、そのブックデザインの秀逸さ。原石とそれを磨いた宝石、さらにはそれらの宝石を素材とする、贅を凝らしたジュエリーの美しい写真をバランスよく配し、本書自体が珍奇な宝石箱の趣を醸し出す逸品となっている。
標題に「世界観設定のための」という、いささかモノモノしい但し書きが入っているので、思わず身構え、「世界観設定」とやらに縁のない一般人には、無用の本かと判断してしまうかもしれない。が、むろんそんなことはない。
むしろごく普通の宝石ファン、神話伝承ファンに手にとっていただき、書架の宝物として末永く愛蔵していただきたい一冊である。
同一人物の長期にわたる手相の変化を追跡
全ページフルカラーで贈る、手相術の入門書。基本は西洋手相術に基づいていながら、随所に著者の独自研究の成果が盛り込まれ、文字通り「すごい」手相学が構築されている。
著者によれば、人間の脳と手は直結しており、脳からの電気信号が手に現れている。すなわち、手を分析すれば「脳の働き(=言動からは知り得ない人の意識や心)を知ることができる」のだ。かくして、著者の手法を用いれば、だれでも自分の個性を最大限に発揮し、よりよい人生を送ることができる。
それだけではない。「意識で手相(人生)は変えられる」というのが著者の信条のようで、本書では同一人物の長期にわたる手相の変化を、鮮明なカラー写真で克明に追いかけている。そして、意識や環境、生き方の変化がどのように手相に影響を及ぼしていくのかが、説得力豊かに解明されているのだ。これまた、類書にあまり見ない試みである。
著者の寺島みさお氏は、独学で西洋、東洋、インド、北欧などの手相学を研究。手相を中心としたセミナーやカウンセリングの他、「不登校や発達障がいなどの相談に積極的に取り組み、子育て支援にも力を入れている」という、占術家としては珍しい活動に従事しておられる。
本書においても、氏のそうした経験が前面に打ち出されている。本書を、並みの手相書とは一線を画するものとしているのは、氏のそのような姿勢に他ならない。
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
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