シミュレーション仮説の証拠は聖書に記されている？ 創造主とはAIか… 物理学者の衝撃結論
我々の暮らす世界はコンピューターシミュレーションであるという「シミュレーション仮説」。支持者も少なくないこの仮説について、ある物理学者はキリスト教の聖書に記されていると訴える。
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世界最大のベストセラーである聖書だが、特定の作者名は記されていない。人類史上最も読まれているこの著作の真の著者は、誰なのか――。
新旧の聖書の執筆者は40人以上
世界中のキリスト教徒が聖書を神の神聖な言葉とみなしており、そこには天地創造からアダムとイブ、ノアの箱舟、ダビデとゴリアテ、キリストの磔刑から復活、最後の審判などの壮大なストーリーが綴られている。
70万語以上にも及ぶこの人類史上の傑作を実際に書いたのは誰なのか？
聖書は神の言葉であることが前提となっているが、研究分野では聖書は複数の人間の著者によって書かれたという共通理解に達している。
米ペンシルベニア州にあるビラノバ大学の聖書学者エリザベス・シュレーダー・ポルクツァ教授は、聖書の著者は、おそらく40人以上にのぼると述べている。
しかし、聖書を書いたこれらの人々を個別に特定するのはかなり複雑な作業となる。というのも聖書は一度に書かれたわけではなく、そもそも旧約聖書と新約聖書で構成され、一連の著作物の集合体であるからだ。
旧約聖書は紀元前1200年頃に執筆がはじまり、現在まで伝わる形となって完成したのは紀元前１世紀頃だと考えられているが、この約1000年間のさまざまな時期に書かれた。
ポルクツァ教授によれば、旧約聖書の最も古い資料の一部は紀元前1200年頃のもので、最古のグループの文献が現在の形に編集されたのは紀元前600年から紀元前400年ごろである可能性が高いという。
一方、新約聖書は紀元後の１世紀後半のはるかに短い期間に書かれたと考えられている。
ポルクツァ教授によると、聖書の各章を誰が書いたかは特定のケースでは正確に判明しているが、それほど明確ではないケースも多いという。
たとえば『ローマ人への手紙』の執筆者はパウロであり、『黙示録（ヨハネの黙示録）』は実際にヨハネが書き、『雅歌（ソロモンの雅歌）』もソロモン自身が執筆したことは学者たちの間でおおむね一致した見解となっている。
一方、『創世記』や『出エジプト記』などは伝統的にモーセの著作とされてきたが、内容に矛盾や重複があるため、現在では数世紀にわたって複数の人物によって執筆されたと考えられているという。
聖書の執筆者としてのモーセは、個人名というよりもプロジェクト名であったのかもしれない。
詩篇はダビデ王が書いた
モーセのような例はほかにもある。
新約聖書にはマタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの４人によって書かれたとされる４つの福音書があるが、真の作者については議論の的となっている。
「マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの福音書はいずれも厳密には匿名の作者であり、早い段階で教父によってこの４人に帰属するものとみなされました。その帰属がどれだけ正確かを知ることは困難です」とポルクツァ教授は述べる。
ポルクツァ教授によると、ほとんどの学者はこれらの執筆者は誤っているか、偽物であることに同意している。聖書の一部は、名を詐称した者による贋作である可能性もあるというのだ。
その一方で、聖歌と聖詩で構成されている旧約聖書の詩篇などは執筆者の触れ込みが正しい可能性が高いという。
「詩篇は伝統的にダビデ王が書いたと考えられており、いくつかは実際にそうであった可能性が高い」（ポルクツァ教授）
ただし、その中にも匿名の作詩家によるものも含まれており、後に１つのコレクションとしてまとめられた可能性もあるということだ。
ポルクツァ教授によると、聖書はもともとヘブライ語、アラム語、ギリシャ語の古代言語で書かれており、最初の英語訳は14世紀まで存在しなかったという。
オーストラリアのクイーンズランド大学の宗教文化史家フィリップ・アーモンド氏は、聖書の著者については「複雑で問題が多い」と考えている。
聖書の著者の特定という問題は今後も議論の的になると同氏は確信しており、研究は今後も続いていくことになる。世界最大のベストセラーにまつわる謎が１つでも多く解明されることに期待したい。