無数の点でできた異星人「ドットマン」とのUFO旅行体験/ハイ・ストレンジネスUFO事件FILE 4

文=羽仁 礼 イラストレーション=久保田晃司

    世界中から無数に報告されるUFO事件。単なる目撃情報から、異星人との直接的なコンタクトまで、その内容は実にさまざまだ。中でも、特に奇妙で不可解な遭遇事件を「ハイ・ストレンジネス事例」と呼ぶ。奇想天外な7つの接近遭遇事例を紹介する!

    無数の“点”でできた奇妙な姿の異星人 

     アメリカ・アリゾナ州マラナに住むグラフィック・デザイナー、ラルフ・チャーコンが出会った異星人も、じつに不思議な外観をしていた。

     最初にその異星人が姿を見せたのは、1979年9月25日午後5時30分ごろのことだった。
     チャーコンと夫人はともにコスタリカ出身で、17年前にアメリカに渡ってきた後各地を転々とし、事件当時は5人の子どもとともにマラナのトレーラーハウスに住んでいた。職場は18マイルほど離れたツーソンの印刷会社で、チャーコンは仕事から帰ると、毎日裏庭の花壇で花に水をやるのが日課だった。
     その日も花壇で花に水をやっていると、上空に不思議な雲の塊を見つけた。それはほかの雲よりも速く動き、しかもまっすぐこちらに向かってきた。
     チャーコンはUFOなど信じておらず、興味もなかったので、そのまま水やりを続けようとして一歩足を踏みだした。ところが、その踏み出した右足が見えなくなったのだ。右足だけでなく、一定の平面から先にあるものはすべて消えていた。
     そこでふと、自分の近くにいる人影に気づいた。それは確かに人間の形を保っていた。しかし、その全身は何百万という無数の小さなドット(点)でできており、しかもドットとドットの間には隙間があった。つまり、絵画の技法のひとつである点描で描いた人間のようなものが近くにいたのだ。
     人影を構成するドットは茶褐色、茶色、藤色、黄褐色の4色で、規則的に流動するものとまったく動かないものがあり、「ドットマン」本体は地面から数センチ浮かんでいて、絶えず揺れ動いていた。
     身長は153センチくらいで、頭は全体的には細長い楕円形だが、正面から見ると扇形、横から見ると先の尖った水滴形をしていた。頭髪も耳もあるのかどうか判別がつかなかった。
     目は小さく、目と目の間がかなり狭かった。目の下から口のすぐ上まで、オウムの嘴のような鼻が突きでている。口は長方形で、穴のような感じだった。首は短く、指はないようだった。衣服も無数のドットで構成されているため、細部を見分けることはできなかった。

    アリゾナ州に住むラルフ・チャーコンが出会った「ドットマン」。彼は「ナーデル」と名乗り、チャーコンをUFOに乗せた(『宇宙人大図鑑』より)。

    ドットマンとともにUFOで旅立った遭遇者

     そのドットマンが話しかけてきた。ドットマンがいうには、自分はある乗り物の船長のような役目にあり、「ナーデル」と呼んでほしい。自分は地球人のいうオリオン座付近にあるゼティという星の住人であるが、ある使命を帯びてこの地球にやってきた。ナーデルが指揮をとっていた宇宙船内にはほかに3人が乗り込んでいる、といったことを述べ、最後に「君も一緒にゼティ星に行くことになる」と告げた。
     チャーコンは、自分には家族があるし責任がある、何も知らないような場所に行くわけにはいかないと答え、ドットマンを無視して花に水をやりつづけた。
     しかしナーデルが近づいてきて、彼の身体に手を触れると、チャーコンは身体が麻痺した状態になり、いつの間にか恐ろしいほどのスピードで飛んでいて、奇妙な偏平の葉巻形宇宙船に吸い込まれた。
     宇宙船は楕円形で、側面は太い葉巻状と思われた。船体からは外観の色とは異なる色の蛍光が発し、その周囲にまぶしい閃光が走っていて、側面には窓が5つ、一列に並んでいた。ナーデルとチャーコンは、一番後ろとその前の窓との中間あたりから宇宙船内部に入り込んだ。
     宇宙船の窓の材質はガラスではなく、宇宙船自体も内部にある機械装置類も強固な材質でできており、叩くと音がする。見た感じからも触れた感じからも金属製と思われたが、チャーコンが見たことのない異質なものだった。
     内部の操縦パネルはタッチ式スイッチで操作し、さまざまな色のライトが大小の表示パネル上で点滅していた。操縦は手で行うこともあったが、大部分は精神力で行われていた。船内にはナーデルのほか、指揮を受ける3人のドットマンがいた。
     操縦席の座席はらせん状に設けられ、羊の角のような渦巻き状のものが少しずつ間を置いて肘掛けのように並んでおり、U字型の背もたれにつながっていた。ドットマンたちは肘掛けの中間の空中に座り、好きな姿勢になれた。
     チャーコンが乗り込むと、宇宙船は猛烈なスピードで南下していった。宇宙船は高速飛行をしていないときは固体だが、高速移動を開始するとドットで構成され、チャーコン自身もドットマンになっていたが、構成するドットはナーデルのものとは異なっていた。飛行中、眼下に見えたのは、何百年も昔の地球の光景だった。

     その後ドットマンは毎日出現し、チャーコンを宇宙船に乗せると、ふたつの大陸が沈んで南米各地に津波が押し寄せる様子や、古代エジプトでのピラミッド建設の模様を見せ、ゼティ星にも連れていった。
     この過程でナーデルは、彼らは何千年もの昔に大挙して地球を訪れ、当時地球上で偉大な文明を築いていた民族と接触し、オリオン人と地球人との混血人種が誕生したこと、その自分たちの祖先の血を引く人間のひとりがチャーコンなのだと説明した。
     当初、彼らと一緒にゼティ星に戻ることを渋っていたチャーコンだったが、1987年の地球で巨大な爆発が起こり、アメリカの半分以上が壊滅する様子を見せられると、ゼティ星に行くことを決断した。家族のことは気がかりだったが、彼の家族はのちにコスタリカに戻ることになった。
     結局ドットマンが予言したような災厄は起きなかったが、チャーコンは家族と離れ、永久に地球から去ったといわれている。

    ●参考資料=「宇宙人大図鑑』(中村省三著/グリーンアロー出版社)、「UFOと宇宙」第18号/64号/66号/67号(ユニバース出版社)、『FLYING SANCER REVIEW』1994年8月号(FSR Publications)

    (月刊ムー 2025年1月号掲載)

    羽仁 礼

    ノンフィクション作家。中東、魔術、占星術などを中心に幅広く執筆。
    ASIOS(超常現象の懐疑的調査のための会)創設会員、一般社団法人 超常現象情報研究センター主任研究員。

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