平成の元号を霊視した神人の令和予言！ 小泉太志命が語る「○○の時代」

日々真剣を振るい邪気、邪霊を祓う男

　小泉太志命（こいずみたいしめい）という孤高の聖者をご存じだろうか。
　彼は昭和が終わるとともに神去（かむさ）ったが、生前に「次の元号は平成になる」と予言していた。さらに平成のあとは、「○○の時代だよ」とも予告していた。
　さて、○〇とはどういう意味だろうか。
　太志命については、７年前のムー本誌で紹介されたことがあるが、このたび筆者は彼の評伝の『天皇防護　小泉太志命　祓い太刀の世界』（ヒカルランド）を出版したので、あらためてその人となりを振り返ってみたい。

　小泉は、明治40年に青森県八戸に生まれた。鹿島神流の青年剣士として頭角を現し、20歳で上京。古神道家の川面凡児（かわつらぼんじ）から神界に参入する禊の行法と幣さばきを学び、国学者の今泉定助（いまいずみさだすけ）より皇統を中心として万人、万霊を結び固める国体皇学を学んだ。
　文武に秀でた彼の名声は高くなり、ついに元老の西園寺公望より「皇室と日本に降りかかる邪気（まがつみ）、邪霊（まなつひ）を祓い太刀の威力で撃退してくれ」と頼まれることになった。当時の日本は、外からは中国の道教寺院で天皇呪詛の祭典が日々行われ、欧米からは黒魔術による日本排斥の呪術が行われていた。また、内からは大陸に進出して利権を確保しようとする陸軍や政商たちの野望が渦巻いていた。
　太志命は、西園寺公の要望に応え、鹿島神宮で参籠（さんろう）を続け、タケミカヅチの神から内外の魔障を祓い浄めるフツの御霊の祓い太刀の作法を授かった。
　やがて、太志命の真剣からは２〜３尺の霊気がほとばしるほどになった。彼は、皇室を護り日本の前途を調えようと、日々真剣の祓い太刀を振りつづけたが、無念なことにわが国は武運に恵まれず敗戦、占領の悲哀をなめることになる──。

　戦後独立を回復したのち、太志命は、伊勢の伊雑（いさわ）宮の前に剣道場をもうけ、混乱を極める戦後日本に襲いかかる魔障を取り除こうとした。眼に見える人間中心の個人主義や、拝金主義、共産主義といった新たな邪気、邪霊と闘い、古来の「霊（ひ）の元の道」を回復させようとした。
　邪気や邪霊は、抽象的な観念ではなく、生きている靄のようなエネルギー体である。だから、それが侵入してくると直ちに祓い浄めなければならない。斬り捨てるだけでなく、それらを昇華、浄化し、改心させなければならない。
　こうして、伊雑の神武参剣道場で毎日３万3000回、真剣を振りつづける神業（しんぎょう）が始まった。

祓い太刀に秘められた3つの霊的はたらき

　太志命の祓い太刀は、３つのはたらきがあった。
「祓い浄め」と「結び固め」と「芽出し」の剣である。
「結び固め」の剣は、対立するものがひとつに和合し、万世一系の皇統のもとに結び固めること、「芽出し」の剣は、地上に新しい使命を持った子供たちを生みだし育てていくことである。１日、３万3000回真剣を振るたびに、地球と宇宙の調和、向上を図る子供たちが３万3000人生まれ出てくるのである。
　それを「上ご一人、下ただ一人の道」と称し、だれにも立ち入りを許さず、ひそかに孤高の神業を続けた。
　太志命がひとりでどのように真剣を振ったのか、記録はなく記録を残そうともしなかったので、今となってはだれにもわからない。
　おそらくそれは、川面凡児翁の幣祓いの要領で振ったのではないか、と筆者は推測している。
　川面翁は関東大震災を予告し、「日米戦争は、どんなに侮辱されても避けよ」と警告していた偉大な霊覚者であったが、その幣祓いはダイナミックな神秘的作法であった。

　現在の神社神道では、左右左と３回振るだけであるが、川面翁の幣は、左巻きに昇り、右巻きに降り、頭にかぶせ、８の字に回し、気合をかけて振りおろす実に躍動的な祓い幣であった。それは免許皆伝の弟子にのみ伝授される作法で、世界と宇宙の障りと気枯れを一身に引き受け、地下に降ろし、浄化し、さらに高次元の宇宙に昇華させようとするものであった。
　小泉太志命は、川面翁から神業皆伝の巻物を授かっていたから、祓い幣の要領で、真剣を渦巻きにふり、８の字に回転させ、邪気邪霊を一身に引き受けて土に抜き、浄化させていたのではないかと思われる。邪気邪霊に負けない強力な身体は、長年の剣道修行と禊の行で十分鍛えていたのである。

体から「神に入る」

　太志命は、体系的な論理よりも「体得」「体認」「体察」が大事だと説いていた。
「文字や頭から神に入ってはならない。体から神に入れ」──それは川面凡児翁の指導でもあった。
　頭から入ると真理を限定することになり、真理のごく一部しか見えなくなる。心から入ると、心はころころ変わるから、心で捕まえたと思った真理もコロコロ変わる。聖なるものは、皮膚から、脊髄から、体全体から入らなければならないのである。
　ところが戦後は急速に欧米化されたため、その感覚が忘れられ、文字や頭から入ることが主流となってしまった。学者たちまで、体から入るとはどういうことか、まったくわからなくなっていたのだ。「体得」「体認」「体察」したものを、的確に文字に落とすことすらできなくなっていた。
　太志命は体から入る手法として、宇宙の火と体の水を融合させる禊の法や、「ととのう、ととのう、ととのう」といった言霊の連唱などを教えた。それによって時空を超えて、過去と未来を今ここの「中今（なかいま）」に引き寄せることを伝えようとした。
　また、人生の極意として「八八を開きて、九九十十のう」という不思議な命言を残している。その詳細は、拙著『天皇防護　小泉太志命　祓い太刀の世界』で紹介しているので、参照していただきたい。

「平らか」ではない「平成」時代を予言

　太志命は昭和の御代のあと、「平成」と呼ばれる時代が来ることを予言していた。ある書家に「生成」「平成」「曲成」の３文字を書かせ、このうちのひとつが昭和の次の年号になると予言していたのだ。
　振り返ってみれば、昭和は波乱万丈の御代であったが、それは日本民族が栄光と悲惨を体験した時代であった。
　白人国家の覇権に立ち向かい、束の間であったが大東亜共栄圏を確立した栄光の日々、敗戦に打ちひしがれ民族の誇りを奪われた悲哀の日々、しかし昭和陛下のもとに一丸となって立ち上がり、復興を成し遂げ、民族の活力を回復した自信の日々──。
　戦前は独立国の数はわずか34か国に過ぎなかったが、昭和の終わりには、アジア、アフリカ諸国を中心に５倍近くに増えていた。そんな白人の覇権に捨て身で対抗した激動の昭和が終わり、新しい平成の御代になった。
　しかし、平成は必ずしも平らかな時代ではなかった。
　日本を経済上の仮想敵国と見なしたアメリカからは、自動車や半導体の輸出などで圧迫を受け、金融と通信の市場開放を迫られ、反日の共産独裁国である中国には技術を盗まれ、デフレを輸出され、国民の平均所得が下がりつづけた時代であった。バブルが崩壊し、巨大地震が相次ぎ、化学テロや放射能汚染におびえた時代であった。
　実際、太志命は「平成は多難な時代になるよ。平らになるというのは、上のものが下になり、下のものが上になってペシャンコになり、従来の秩序が壊れることだよ」と語っていた。

令和の時代における日本の使命

　その平成は30年余で終わり、今「令和」の時代に入った。
　彼は平成元年９月に亡くなる前に、「次の御代は○○の時代になるよ」といった。
　太志命の透視法によれば、〇というのは「零、礼、霊、令、鈴、和、輪、環」を意味していた。そして、「○に始まり、○に終わるよ」ともいった。

　そうすると、太志命は「令和」＝れいわの元号も予見していたのではないか、ということになる。
　令和の御代は、日本が再び礼と霊と和の国にたちかえることを、太志命は期待していたのではないだろうか。
　令という漢字は、神官がうずくまって神々に祈る姿を表している。とすると令和の時代は、眼に見えないミオヤたる神々の恵みを思い起こし、感謝の祈りを捧げること、そうしていけば多重の時空の場がととのい、和の社会が次第に形成されていくことを意味していることになる。
　また、ここで、敗戦の後遺症を元の「零（ゼロ）」に戻し、国民一「丸」となって新しい「大和」の国家目標を打ち立てることと解することもできよう。
　わが国は、礼節を重んじ、諸霊（祖先霊、自然霊など）に感謝しつつ、大和の共同体を築こうと努力してきた国柄である。思いやりの心でお互いに助け合い、支え合い、導き合うことを通じて、共通の高い目標を達成しようとしてきた気高い国である。眼に見える個人を中心とした単なる「自由と民主」の価値には満足しない国民性である。
　米国や中国のように、個人中心、自国中心の覇権を求めるのではなく、国民がひとつの輪となり、率先して礼と霊と和の社会を創り、先端モデルとして対立と混乱の続く世界を平和に導いていく時代がきたのではないだろうか。それこそが、「令和」の御代なのではないだろうか。
　小泉太志命は、それを今も天界から温かく見守ってくれているものと筆者は信じている。
　すずやかなお「鈴」の響きのもとで、そして循「環」を示す渦巻き神紋の掛け軸の前で、生前のままサッサッと真剣を振りながら──。