超常現象情報の宝庫「バチカン使徒文書館」の謎! 世界の学者がアクセスを渇望、地球外文明との接触の証拠が隠蔽されている!?
ローマカトリック教会の総本山・バチカンには、古来からの膨大な数の美術品や文献が収蔵されているが、17世紀にバチカン図書館から分離された「バチカン使徒文書館」には、どんな文書が収蔵されているのか。科学者
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この世の宗教的な“奇跡”を検証して審議し、認定しているのがカトリックの総本山であるバチカンだ。そのバチカン教皇庁教理省が今年5月、奇跡にまつわる新たな規範を発表し、いくつかの事件について結論を発表している――。
カトリックの世界では、神の御業である“奇跡”がこの世で起きることを認めており、バチカンは世界各地で起きたとされる奇跡を審理する認定機関としても機能している。
そのバチカンが今年5月、奇跡の候補になり得る超自然的な現象についての新しい規則を発表している。この新たな規範では奇跡の候補となる現象を審理した後、6つの判定のいずれかに分類されることになる。それは以下の通りだ。
●Nihil Obsta:超自然的な信憑性は証明されないが、聖霊の働きの兆候を認める。
●Prae oculis habeatur:ポジティブな兆候を認めるが、そこには混乱やリスクの要素があり、識別およびそれを受け取る人々との対話が必要とされる。
●Curatur:批判的要素があるが、実証しうる霊的な成果と共に現象が広く伝えられている。信者を動揺させる禁令(緘口令)は勧めないが、司教にその現象を刺激しないように求める。
●Sub mandato:問題が現象そのものに関してではなく、人々あるいはグループによる不当な利用にある。教皇庁は司教あるいは代表者にその地の司牧指導を委ねる。
●Prohibetur et obstruatur:いくつかのポジティブな要素があるものの、問題とリスクは重大である。教理省は、司教にその現象に同調することは認められないと公式に宣言するよう命じる。
●Declaratio de non supernaturalitate:司教は、具体的な証拠に基づき、その現象は超自然的ではないと宣言する権限を認められる。
このガイドラインは超常現象の存在を事前に否定するものではなく、主に疑惑が囁かれている超自然現象の真正性について慎重であるよう警告するものだ。悪意のある第三者によって「バチカン公認」として利用される可能性を防ぐためである。
この新規範を適用したバチカンからの最初の公式の判決が、さっそく発表されている。
2016年以来、聖母マリアと直接交信したと主張し、その証拠として顔と体に聖痕があると主張する54歳のシチリア人女性、ジゼラ・カルディア氏の主張に関するものである。聖痕とは、カトリックの信仰によれば、十字架上でのキリストの受難と死の際に受けた傷を模倣した傷であり、聖人の証拠の一つとして一般的に認識されている。
カルディア氏は、聖母マリアが血の涙を流す姿を見たと語り、イエスが教えを聞きに来た群衆に食事を与えるためにパンと魚を増やした奇跡と同じように、ピザとニョッキの奇跡的な増加を目撃したと主張している。
カルディア氏が経験したとされる奇跡と目撃談は瞬く間に広く知られるようになり、彼女は個人的な寄付を集めて大金を手にしたといわれている。この事件の悪評により、教区は2023年に正式な調査を開始した。
そして今回、事件を「注意深く」評価し、「現場で証言を聞き、心理学者や聖母マリアの専門家を含む学者の委員会と協議した」結果、マルコ・サルヴィ司教は「問題の出来事は超自然的ではない」と宣言したのだ。つまり、教会はジゼラ・カルディア氏をある種の詐欺師と断定したのである。
バチカンが奇跡について結論を出すのに数十年かかることもあることを考えると、教会がジゼラ・カルディア氏を否定した迅速さは注目に値する。たとえば、1960年代にスペインのガラバンダルで4人の少女が報告した幻視体験、いわゆる「ガラバンダルの聖母」の事例では、1991年になってようやく教皇庁の委員会が少女たちが受け取った幻視とメッセージの信憑性について中立を宣言しているのである。
奇跡についての審理期間が大幅に短縮されるとすれば、今後はバチカンの“聖人”認定もスピードアップしてくるのかもしれない。
1981年6月、ボスニア・ヘルツェゴビナ南部の小さな村、メジュゴリエで毎日のように聖母マリアが出現し、メッセージを与えたとされる事件がある。一連の出来事は地元の人々によって目撃されたことから、「メジュゴリエの聖母」と呼ばれるようになり、同地はカトリック信者たちの自発的な巡礼地になった。
しかし、教会は聖母マリアの出現が超自然的な真実であると公式に宣言したことはなく、今回の新しいガイドラインに基づけば、おそらく今後も宣言しないことが見込まれる。つまり、この地は教会によって巡礼地として公認されないということだ。
また、フランシスコ教皇はメジュゴリエについて過去に否定的な発言をしており、聖母マリアの出現が続いているという主張や、聖母マリアが現れてメッセージを届けてくれるという主張には問題があると述べている。
そして、今回の新たなガイドラインで注目されるのがUFO現象をバチカンがどのように解釈するのか、という点だ。UFO研究家の多くはバチカンの新規範を分析し、現代のUFO現象はほとんど考慮されなくなるのではないかと指摘しているという。
3月の記者会見でも、ビクター・マヌエル・フェルナンデス枢機卿は、ジャーナリストの1人からの質問に対して、バチカンはUFO報告の調査には関心がないとして「『カエサルに属するものはカエサルに』とでも言うべきだろう」とコメントしている。
バチカンとUFO現象の関係性が今後薄れてくる可能性が示されている一方、今回のパリ五輪の開会式の演出をバチカンがすぐに批判したように、今後のバチカンは時事問題にも迅速に反応してくるのだとすれば、新規範の適用は同時代性に富んだ新たなバチカンの誕生ということになるのだろうか。その答えは、もちろん今後のバチカンの動向と姿勢にある。
【参考】
https://www.dailygrail.com/2024/07/miraculous-multiplying-pizzas-not-so-fast-says-the-vatican/
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
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