古代の聖地設計の中核となった大和三山=ピラミッド説

文=中村友紀

    本誌「ムー」における、屈指のミステリーのひとつ。ピラミッド日本列島発祥説。列島各地に存在するピラミッドと超古代文明の謎を徹底ガイド!

    奈良盆地は聖山に囲まれている

     奈良盆地の天香具山、耳成山、畝傍山──いわゆる大和三山は、ピラミッドではないかという説がある。
     大和三山だけでなく、三輪山、巻向山、忌部山と、奈良盆地の代表的な聖山を結ぶと、巨大なネットワークが形成されるというのだ。
     まず大和三山だけを見ると、畝傍山を頂点とする二等辺三角形が浮かびあがる。そして畝傍山から、耳成山と天香具山を結ぶラインの中心へ直角に交わる線を引き、延長すると、東北のラインは三輪山から巻向山へ、西南のラインは忌部山にぴたりとぶつかるのだ。
     驚くべきことにほとんど誤差もなく、ほぼ完全な対称形をつくっている。

     いや、驚くのはまだ早い。
     3次元の世界、つまり山の高さで見たときにも、畝傍山、三輪山、巻向山はほぼ一直線に並ぶのだ。横軸・縦軸、いずれをとってもこの3つの山は、計算され、意図的に置かれたようにきれいに並んでいるのである。

    古代祭祀遺跡を覆う山、山、山

     そこで詳しく見たいのが、奈良県桜井市にある三輪山だ。

    大神神社の御神体である三輪山。大和盆地のピラミッドネットワークにおいて、重要な位置を占めていると思われる。

     この山は古くから大神神社の御神体山とされ、立ち入りが厳しく制限されてきた。江戸時代から、神社の山札がなければ入山できない聖山だった。
     今も伝統は守られており、入山希望者は摂社の狭井神社社務所で許可を求め、入山料を支払い、氏名を記入して御祓いをすませなければならない。
     入山の証として渡される白いたすきは、決して外さないように戒められる。もちろんの飲食、喫煙、写真撮影は厳禁で、決められたルートから外れることも、草木を採取することも許されていない。

     これほどまでにして守られてきた山中にあるのが、古代祭祀遺跡だ。
     辺津磐座、中津磐座、奥津磐座などの巨石、大神神社拝殿裏の禁足地遺跡、山ノ神遺跡、狭井神社西方の新境内地遺跡、そして山頂の奥津磐座など、まさに遺跡の宝庫である。
     なかでも奥津磐座には、いくつか注連縄が張られた岩がある。そしてこれらの岩を直線で結ぶと、なんと三輪山、巻向山、大和三山の位置関係とぴたり一致するというのである。
     奥津磐座は、大和三山と三輪山の配置を記した、古代の聖なる「設計図」なのかもしれない。

    大和三山は、畝傍山を頂点とする二等辺三角形を形成。さらに畝傍山から耳成山と天香具山を結ぶラインの中心へ線を引き、延長すると、東北のラインは三輪山から巻向山へ、西南のラインは忌部山にぶつかる。

    畝傍山、耳成山、天香具山の大和三山。いずれも独立峰としてよく目立っている(写真=アフロ)。

    (月刊ムー2024年5月号)

    中村友紀

    「ムー」制作に35年以上かかわるベテラン編集記者。「地球の歩き方ムー」にもムー側のメインライターとして参加。

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