コティングリー妖精写真に宿る「不安」の記憶/昭和こどもオカルト回顧録
昭和の怪しげなあれこれを、“懐かしがり屋”ライターの初見健一が回想する。今回のお題は心霊写真……の前に、世界を騒がせた「妖精写真」について回想する。いまでいうフェイク、捏造された不思議写真は、妙な不安
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島まるごとが聖地という大神島を、怪談師うえまつそうが訪れた。奇岩を超えて吹き抜ける風に、神々の息吹を感じてーー。
聖域の多い沖縄の中でも群を抜いて凄い島と言われる場所をご存じであろうか? それは、島全体が聖域、そして神様に呼ばれないと行けないと言われる「大神島」である。
ここは宮古島の北約4キロに位置する宮古列島のひとつの島で、島尻漁港という宮古島の小さな漁港から出ているフェリーでしか行くことができない。またそのフェリーも、ちょっとした風や雨ですぐに欠航となってしまうために就航率も低い。
私が訪れたのは2022年11月22日のこと。その日は朝早くから雨が降っていたので「今回は欠航かな……」と思っていたのだが、その後にみるみる天気が回復。漁港に連絡するとフェリーは出ると言われたのですぐに漁港に向かった。本当にラッキーである。実は4年ほど前にも奇跡的に行けたのだが、まだYouTube活動をする前だったこともあり、動画などはほとんど撮っていなかったのだ。
島尻漁港で切符を買いフェリーに乗り込む。収容定員は30人程度の船に今回は10人ほどしか乗っていなかった。息子の病気を治したいとはるばる東北から来た親子、パワースポット好きで一度行ってみたかったというカップル、そしてその中にはいまは沖縄本島に移住しひさしぶりに大神島に帰省するという50代の男性兄弟がいたのでいろいろと話を聞いてみた。
「この島は今は20人くらいしか住んでないが昔はもっと島民はいたんだ。けどやっぱり便利に憧れてみんな島を出てしまった。中には泳いで宮古島まで家出してしまった者もいるよ」と兄。
「昔から神様とか不思議な力とかそんなものが日常に当たり前にあったから何とも思わなかったけど、いざ大神島を出るとあの島が神様に選ばれた特別な島だってことがよーくわかるさ。」と弟。
よかったら家に寄って行くか? とお誘いいただいたが大神島でのスケジュールがかなりタイトだった為それは次回のお楽しみとして約束し、兄弟と別れた。
島尻漁港からフェリーで10分ほど揺られて、大神島に着く。一歩を島に踏み入れるとじんわりと足から何か不思議なものが湧き上がってくるような感覚。日差しが出てきて桟橋があったまって来たからか、それともこの島のパワーなのか。
島に上陸して、ほとんどの人はそのまま山に登るが、私は海岸沿いを左に行く。10分ほど歩くと道路が割れ作りかけたまま工事が終わってしまっている行き止まりにたどり着く。どうやらこの島をぐるっと1周道路を作ろうとした業者がことごとく不幸や事故に見舞われてしまいそのままになっているそうだ。この場所、最後に海に続く階段だけがあるのだが、なぜかその場所がとても綺麗で落ち着くのだ。
そのまま引き返し、港へと戻る道すがらずっと海に見えているのが「ノッチ」と呼ばれる奇妙な形をした岩だ。大神島名物のノッチは、何とも言えない奇妙な形で芸術的な景色を生んでいる。フェリーで出会った兄弟の兄が言うにはこの無数のノッチひとつひとつに人間のように名前がついているという。島の人間からするとそれだけ大切なものなんだということが伺える。
港へと戻り、今度は山頂を目指す。
この島が聖域と呼ばれる所以の一番の理由が「ウヤガン」である。ウヤガンとは年に5回、3~5日間ほとんど飲まず食わず寝ずで行う儀式のことで、担い手は島の女性達のみ。内容は秘密だという。いわゆる神様を体に憑依させて何かをするらしいが、中には頭がおかしくなってどこかへ行ってしまい数日後に海に浮いて亡くなって見つかった……ということもある、命がけの秘儀だ。もちろんその期間内は一般人は入島禁止となる。
そのウヤガンを行うのがこの島の山頂にある遠見台(トゥンパラ)である。
ちなみに、山頂へ向かう坂を上がっていく途中にポツポツと存在する家々にはシーサーではなく大きなスイジュガイという貝殻が魔除けとして家の前に置かれている。「水」という字の形をしていることから火災から家屋を守ってくれるそうだ。
さらに歩いて最後の木の階段を上っていくと頂上の少し手前に大きな岩がある。
そこがこのパワースポット大神島の核である拝所(ウガンジュ)だ。ウガヤンの儀式を行う場所であり、神様が降りてくる岩とされている。かつて木の階段ができるまではこの75メートルの斜面をロープで登っていたというから驚きだ。
頂上は展望台となっており、大神島を360度見渡せる場所となっている。絶景を拝みながら気持ちの良い風が吹き心が浄化されるような場所だった。港とは反対側の山の向こうでは明治時代まで洞窟に遺体を安置する風葬がおこなわれていたという。
遠見台から下りて左の道を進むと海沿いには奇岩ノッチが集まって円を描く、「カミカキス」という神秘のサークルが広がる。ここがまたパワーがあるとして人気のスポットだ。
港まで戻りながら気になった場所があった。
海から階段を上がると30センチほどの石の段差があるのだが、その段差の一部が削られ、えぐれているのだ。あとから聞くと、沖縄では神様が海からやってくる神様の通り道として石がえぐられるということだった。
まだまだこの島にいたいという思いを残したまま宮古島へと戻った。
今でも受け継がれ語り継がれ神事とともに島で生きる人々。神様を心から信じる人の前には本当に神様は存在する。そうであってほしいと願う時間でもあった。
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うえまつそう
怪談・都市伝説などをテーマに活動する怪談師、YouTuber。現役教師で「地獄先生」の二つ名ももつ。新島出身で「渋谷モヤイ像」の持ち主でもある。
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