知られざる比叡山の魔所「狩籠の丘」/菅田正昭
京都の鬼門を守る比叡山(ひえいざん)。その山中に、3つの結界石が置かれた、奇妙な場所がある。遠い昔、最澄が魔物を倒し、地中に封じこめたとされるこの場所は、はたしてどのようなところなのだろうか。
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人はなぜ体外離脱や臨死体験をするのか? そしてなぜ、「あの世」の存在を語りつぐのか? 常に死の現場と向き合う脳神経内科医が知られざる多くの事実を語りはじめたとき、脳科学と最新宇宙論がひとつとなり、「あの世」の秘密がついに解き明かされる。
十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない──。
SF作家アーサー・C・クラークの言葉である。科学と魔法の境界線が曖昧になった世界といえば、彼の代表作のひとつである、『2001年宇宙の旅』のラストシーンが思いだされる。
科学技術の粋をきわめた宇宙探索の果てに、主人公がたどり着いたのは、まるで魔法の国かと見まごうばかりの不思議な光景だった。光の洪水とともに出現したミステリアスな映像に、映画公開当時の観客は度肝を抜かれ、ひたすら混乱に陥るばかりだった。
そして2022年となった現在、まるでクラークの言葉の正しさを証明するかのような一冊の本が出版され、関係各所で大きな話題となっている。『死の医学』(駒ヶ嶺朋子著/集英社インターナショナル新書)である。
もとより医学は「生」を扱う学問だが、最先端の医学研究は「死」そのもの、いや場合によっては「死」の向こう側の世界にまで足を踏みいれようとしている。当然、従来の科学では真っ当な研究の対象と思われなかった事象まで取り扱うようになった。
それはこれまで「オカルト」と呼ばれ、ほとんどの医師は唾棄し遠ざけてきた領域である。だが本書のなかでは、ごく当たり前に幽体離脱や悪魔祓い、臨死体験などが取りあげられ、医学的な考察の対象となっている。
クラーク流にいうならば「十分に発達した医術は、オカルトと見分けがつかない」状態になっている。だが、著者のなかでは両者はまったく矛盾しない。著者にとっては医学もオカルトも、生と死を隔てる領域にまたがる謎をどう解明するのか、そのアプローチ手法の違いでしかないのだ。
本書を一読し、オカルト現象にまで大胆に踏みこんだ記述の数々に触発された本誌編集部は、著者の駒ヶ嶺朋子氏に取材を申しこんだ。丁重にお断りされるかと思いきや、意外にもふたつ返事での快諾を得ることができた。まだコロナ感染の余波がつづく多忙な勤務の最中、われわれのためにわざわざ時間を割いて、不躾な質問にも丁寧に答えていただいた。
駒ヶ嶺氏は脳神経内科の専門医である。これまで数々の診療の現場で、スピリチュアルな体験を語る患者と向き合ってきた。駒ヶ嶺氏は、それらのスピリチュアルな体験を、頭ごなしに否定したくないという。
なぜ否定したくないのか?
それは意外な理由だった。駒ヶ嶺氏はいう。
「否定したくない理由はいくつかありますが、まずひとつには、医学の本質にかかわる問題があると思います。それは『倫理』の問題です。私たちは医者になるとき、『ヒポクラテスの誓い』というものを立てるんですね。そこで医学の目的は『患者の利益』を第一に考えることだと叩きこまれます。医学は他の科学と違って、常に『良く生きるための選択』を選ぶべきであって、決して『悪く生きるための選択』をしてはならないんです。
そういう面からたとえば臨死体験を考えてみると、これを一概に否定してしまうことは患者さんの利益にならない。なぜなら臨死体験を経験した人は、みな口を揃えて『暖かい光とともに幸福感に包まれた』とか『死への恐怖が消え去り、安らかな充足感を得ることができた』などと語っています。
人の意識というか魂というか、それは死ぬことで終わりにはならない。最後の字幕は、『The End』ではなく、『冒険はまだ続く──to be continued── 』だということを脳が告げてくれている。だったらそれでいいんじゃないでしょうか。死ぬことは終わりじゃない、ということを、理屈ではなく感覚として経験している。いわば死の間際でつかみ取った〈希望〉なわけです。
それを『まだ科学的に証明されたわけではないから』というような理由で否定することは医学の倫理にもとる行為というか、ヒポクラテスの誓いに背くことになると私は思うんです」
そればかりではない。
近年における医学上の新発見や医療技術の急速な進歩も、スピリチュアルな存在を科学的な考察の対象として取りあげるべき理由のひとつだと、駒ヶ嶺氏はいう。
「最近、脳のどの部分がどんな機能を持っているかということがいろいろわかってきました。そしてみなさんは驚くかもしれませんが、意外なことに、脳のどの部分が体外離脱体験を引き起こすかということも、ほぼ間違いなくわかってきたんです。
これまでは患者さんが『寝ている間に魂が抜けでたような気がするんです』といくらいっても、まず信じてはもらえませんでした。ほとんどのお医者さんが、そんなのオカルトだよと笑って、まともに取りあげてはくれませんでした。それがいまや体外離脱体験は、脳の特定の部位が引き起こす脳生理学的な現象だということが医学上の常識になりつつあります」
臨死体験研究の草分け的存在として多くの研究者の尊敬を集める精神科医ブルース・グレイソンは、「グレイソン・スケール」と呼ばれる臨死体験の判定表を作成したことで知られる。全16項目からなるこの判定表には、体外離脱体験と並び、未来予知や遠隔視といった項目も並んでいる。
駒ヶ嶺氏はこれについて、次のように語る。
「いわゆるグレイソン・スケールのなかには、超常現象というか、医学の領域を逸脱すると思われているものがいくつも並んでいます。こんなものは医学の研究に値しないと馬鹿にする研究者もいます。でも体外離脱体験だって、かつてはオカルトとして笑われ、真面目に相手にしてもらえませんでした。ところが現在は状況が明らかに変わって、脳の特殊な機能が生みだす現象のひとつとして認識されるようになっています。ということは、グレイソン・スケールの他の項目、たとえば未来予知や遠隔視も、臨死体験に伴う脳の特殊な機能から生じる現象のひとつとして認識される日がくることを、あながち否定はできないような気がします」
(文=中野雄司)
webムー編集部
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