「悪夢は健康を推進する」研究報告が話題! 一方で「深刻な健康被害」報告も… 世界で悪夢研究が活発化
殺人鬼に追われたりゾンビに襲われたりと、さまざまなかたちで見る「悪夢」。恐ろしいことに変わりはないが、なんと「健康促進」につながるという驚くべき主張が展開されている。
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夢の中に馴染みの場所があるだろうか。最新研究によれば、夢で何度も目にする世界は、パラレルワールドの自分の居場所かもしれないという――!
私たちが毎晩のように見る夢だが、依然として多くの謎に包まれた現象である。何千年もの間、学者たちは夢の内容に深い意味があるのか、あるいはなんらかの形而上学的意義があるのか考察してきた。
パプアニューギニアの民間伝承では、夢は睡眠中に魂が別の世界を旅している現象だと解釈されている。また、鮮明な夢はパラレルワールドでの出来事であるとういう説や、あるいは未来を垣間見ることだと考える者もいる。
バハマの南東に位置するタークス・カイコス諸島にあるカリスマ大学の認識論研究者、デイビッド・レオン氏によれば、夢は「別の宇宙に生きるもう一人の自分の身に起きた出来事」である可能性があるという。
レオン氏とオクサナ・ジニッチ氏が2023年12月に学際的オープンサイエンスプラットフォーム「Qeios」に投稿した研究によると、夢とは独自の法則に支配された別次元の現実への窓であり、覚醒時の制約から解放された精神が新たな存在形態を探求しているのだという。
レオン氏らの仮説は、量子論の多世界解釈(Many-Worlds Interpretation)に基づいている。多世界解釈ではあらゆる決定や出来事で現実が分岐し、無限のパラレルワールドが生み出されている。
レオン氏らはこの多世界解釈の考え方を意識に当てはめた。彼は睡眠によって五感や理性的な思考の影響が弱まり、意識が時空の境界を飛び越える自由を得ると推測している。現在のところ科学的証拠はないが、レオン氏によれば夢は別の次元に存在する別バージョンの自分への接点になっている可能性があるというのだ。

「巨視的なレベルでは、物体は位置や速度といった基準となる性質をもつと想定されます。しかし量子実験は、この想定に疑問を投げかけます」(レオン氏)
量子論ならではのメカニズムの一つ、観察することで状態に影響を与えることができる「観測者効果」は、現実が見かけよりもはるかに流動的であることを示している。さらに「量子もつれ」にある2つの粒子が時空を超えて結びついている現象などもレオン氏の仮説を支えている。
レオン氏は自身の研究に基づき、「局所的」意識と「非局所的」意識という概念を提唱している。局所的意識は五感に左右され、身体の感覚入力によって形作られる。一方、非局所的意識は五感を超越し「より広範で相互に絡み合った現実」の体験を可能にするとレオン氏は説明する。この概念は、意識が宇宙に属すると定義する汎心論などの考え方とも一致している。
しかし、レオン氏によれば全ての夢がパラレルワールドへの入口となるわけではないという。パラレルワールドに関係しているのは、何度も繰り返される夢であるという。
「特に鮮明で一貫したシナリオをもつ繰り返しの夢は、別の現実とのより深い繋がりを示唆している可能性があります」とレオン氏は説明し、序章・中盤・結末がある物語のように感じる夢なら、おそらくパラレルワールドを訪れているということだ。

レオン氏はまた、繰り返し見る夢の中で抱く強い感情はパラレルワールドで別の自分がどのように人生を経験しているかを示すサインになる可能性があると示唆している。
「たとえば、高校生時代の夢を繰り返し見るとしましょう。それは停滞感や自己成長への不安といった未解決の心理的テーマを反映しているのかもしれませんが、別の現実では、あなたがまだ高校生で、現実の自分が乗り越えたのと同じ課題に取り組んでいる可能性があります」(レオン氏)
夢で感じる感情的な共鳴、たとえば行き詰まり状態での苛立ちなどは、次元を超えて波及し、別の世界にいる分身との間にも影響を与えるかもしれないという。
心理学者であり医師でもあるハワード・アイゼンバーグ氏も、2021年の著書『Dream It to Do It: The Science and the Magic(夢を見て実現する:科学と魔術)』の中で、心理学、量子物理学、意識の交わりを探求している。
アイゼンバーグ氏は、われわれが現実として認識しているものは、西洋の学界が経験的観察に盲目的に信頼を置くことで生み出された集団的幻想かもしれないと示唆している。レオン氏の考え方と概ね一致するアイゼンバーグ氏は、知覚そのものが現実の確固たる基盤を構築していると主張。つまり、周囲の世界を観察する過程が、潜在的な現実を一つの固定された結果に集約している観測者効果にほかならないというのだ。
「現代の量子力学では、物体を粒子の集合体としてではなく『確率の波』として捉えています」とアイゼンバーグ氏は述べる。そもそも物理的な構成要素も固体性も存在せず、観測するわれわれによって、知覚可能な物体が作り出さているというのである。
「奇妙に聞こえるかもしれませんが、夢のような状態に陥っているのは私たちの方なのです」(アイゼンバーグ氏)
このように、夢が本当に異世界への扉だとしたら、われわれの人生観と生き方はパラダイムチェンジを迎えることになるだろう。
「眠るたびに、ただ休むのではなく、探検することになります。自分自身の別のバージョンを生き、無数の現実へと枝分かれする選択をすることになります」とレオン氏は語る。夢はまさにアドベンチャーゲームなのだ。
この観点からは過去・現在・未来、そして次元を超えて、時間の境界線は曖昧になっている。死もまたその終焉の意味を失うかもしれない。
「死さえ、終わりではなく移行、つまり意識が進化し続ける新たな現実への別の道と捉えるようになるかもしれません」(レオン氏)
こうした視点では、人生そのものがより豊かになり、可能性に満ちたダイナミックな“人生ゲーム”のように感じられてくるかもしれない。リスクを冒し、新たな道を模索し、行動がこの人生だけでなく、無数の現実における自分自身の無限のバージョンを形作っているのだと実感しながら生きるよう促されることにもなる。
あらゆる決断や出来事は、自分という存在の物語の中で新たな一幕を加える。思慮に欠けた誤った判断で残念な結果を招いたとしても、生きるべき夢はまだまだ数え切れないほど残されているのだとすれば、落ち込んでいる暇はないとも言えそうだ。
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
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