ウシの体内で核爆発と同じ元素変換が起きている!? 科学者が唱えた「生物核変換」説の錬金術的視点/久野友萬
核爆発の時の起こる核変換が、生物の体内でも起きている――かつてフランスの科学者が唱えた現代の錬金術的な主張の中身とは!?
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毎回、「ムー」的な視点から、世界中にあふれる不可思議な事象や謎めいた事件を振り返っていくムーペディア。今回は、アメリカ・アリゾナ州フェニックスを中心に、数万人もの人々が謎の光体を目撃したというUFO事件を取りあげる。
1997年3月13日、アメリカで大規模なUFO事件が発生した。この日、アメリカの山地標準時間(MST)午後7時30分から10時30分の間、ネバダ州からアリゾナ州にかけての広範な地域で、大勢の人が夜空にいくつもの謎の光体を見た。特にアリゾナ州フェニックスでの目撃報告が多かったため、この目撃事件は「フェニックスライト」と呼ばれるようになった。
事件の中心となったフェニックスは、アメリカ南部メキシコ国境沿いにあるアリゾナ州の州都であり、山に挟まれた渓谷にある。1947年7月7日には、この町に住むウィリアム・ローデスが靴の踵のような形のUFOを撮影したことで、初期のUFO史にも名が刻まれている。
問題の3月13日午後7時30分ごろ、最初にUFOが目撃されたのは、フェニックス南西140キロほどの地点であった。このあたりをドライブしていた人物が、光のついた大きな黒いUFOが車の上を通りすぎるのを見たのだ。
続いて、アリゾナ州北西に位置するネバダ州の州境にあるヘンダーソンという町で、巨大なV字形の物体が目撃された。ネバダ州の現地時間では午後6時55分ごろであるが、時差があるためアリゾナ州の時間では午後7時55分ごろになる。
目撃した男性は、この物体が北西の方角から彼のほうに飛んできて、物体の前部には、その縁に沿って光点が6個並んでいたと証言している。大きさはジャンボジェット機くらいで、激しい風のような音も聞こえたという。この物体はそのまままっすぐ南東に飛行して、地平線に消えた。
フェニックスとヘンダーソンのちょうど中間あたりに散在するアリゾナ州ポールデン、プレスコット、プレスコットバレーといった町での目撃が始まったのは、午後8時15分ごろからだった。
まずは、家を出て北の方角に車を運転していたポールデンの元警官が、空に赤っぽいオレンジの光の集まりを見た。それは4つの光が一緒になっており、それを5番目の光が追いかけているように見えた。
プレスコットバレーのデヴォン・ローレンツは、叔母のジェイミー・ローレンツとともに、自宅の西北西上空に光の集団を見た。光は三角形のパターンを作っていたが、先端にある明らかに白いもの以外はすべて赤に見えた。それからまっすぐ目撃者の頭上を通りすぎ、南東の夜空に消えた。物体は非常に低い位置を飛んでいるように見えたが、音はまったくなかった。
物体がプレスコットを通りすぎた10分後くらいから、フェニックスでも目撃が始まり、8時45分には、フェニックス南東をツーソンに向かうドライバーが物体を目撃した。
事件はこれで終わりではなく、10時ごろになると、再びフェニックス西北西の山頂で弧を描いて並ぶ光体が目撃され、散発的な報告が深夜を過ぎても続いた。当時のアリゾナ州知事で元パイロットであったファイフ・サイミントン3世もこれを目撃したと述べている。
総数で数万人ともいわれる多数の目撃者がおり、写真や動画もいくつも撮影されているから、この夜、何かが夜空で何らかの活動を行っていたことは確かだろう。だが、その正体が何かについては、今にいたるも議論の的となっている。
この夜の物体について、目撃者の証言は細部でかなり異なっている。
まず、光点の数については2個から9個までかなりばらつきがあり、色についても赤、黄白色、青白色などさまざまである。光が作る形については、V字形、三角形、あるいはブーメラン形と、ほぼ似たような形を口にする者が多いが、円弧の形に並んでいたという証言もある。
目撃者の多くは、光が何か巨大な物体の下面につけられたものだと考えた。その根拠として彼らは、光と光の間隔や配置が常に一定で飛行中も変化がなかった、光点の周囲に何か黒っぽい輪郭のようなものを見た、光点と光点の隙間に星が見えなかった、ということを挙げている。
この本体らしき黒い部分の大きさについては、かなり巨大だったということで大方の意見が一致しているが、全長70メートルのジャンボジェット機くらいとするものから、長さ100メートルのフットボール場を3つつなげたくらいとするもの、さらには全長2キロから3キロというものまである。
この物体が頭上で一時滞空したという証言もいくつもある。また目撃者の中には、V字形の先端の窓の内部に人影を見たとか、戦闘機2機が迎撃に飛び立つのを見たという者もいる。
仮に、これらすべての目撃証言が正確であるとすれば、その夜は何機もの形状の異なるUFOが、ネバダ州からアリゾナ州にかけて乱舞していたことになるだろう。
事件については、当時市議会の議員であったフランセス・バーウッドが自ら700人以上の目撃者から証言を集め、議会でも事件の調査を要望した。さらにバーウッド議員はフェニックス郊外にあるルーク空軍基地にも照会した。
基地には一般市民からも多くの問い合わせが寄せられていたのだが、当初基地は「空軍は事件に関係ない」と返答し、またレーダー・スクリーンにも何も映っていないとしていた。
ところが5月になって、アメリカ空軍は突然、当日午後10時ごろからフェニックス南西にあるヒラ・ベンドで、A‒10ウォートホッグ近接戦闘支援機が演習を行っており、その際パラシュートに吊るした照明弾を投下していたことを公表した。フェニックスなどで目撃されたUFOの正体はこの照明弾だったというのだ。
訓練が実施されたことそれ自体は、その後公表された軍の記録や、実際に訓練に参加した州兵の証言も得られている。
しかし、謎の物体については空軍が演習を開始した10時以前からも目撃されているし、ヘンダーソンからツーソンにかけての長距離を、ほぼ直線状を飛行した謎の物体が照明弾だったとは到底思えない。そこで一部には、軍の発表は真相を誤魔化すためのものではないかとの陰謀論も囁かれている。
UFO研究家の中には、ヘンダーソンからツーソンに飛んだ最初の巨大な飛行物体と、他の目撃事件とを区別して論じる者もある。この飛行物体は、下部に5個から7個のライトを持つV字形、あるいはブーメラン形の巨大な物体と考えられ、フランスのUFO研究家エメ・ミシェルのオーソテニー理論を思わせるように、北西から南東にかけてほぼ直線状に飛び、目撃時間もこのルートに従ってほぼ時系列的になっている。
仮にヘンダーソンからツーソンで目撃された物体が同一だとすると、490キロほどの距離を50分ほどで飛行したことになり、平均時速にすると590キロ前後の速度で飛行していたことになる。
フェニックスライトの目撃者のひとり、ティム・レイ。UFOは彼と家族の頭上を通りすぎていったという。
一方で否定的な意見もある。
じつは光点の集団は巨大なひとつの飛行物体の下部に並んだものではなく、個々に独立したものであり、編隊を組んだ航空機の飛行灯であるというものだ。
確かにいくつかの目撃証言には、光のひとつが他の光とは異なる動きをしたというものもある。光と光の間で星が見えなくなったり、黒っぽい輪郭のようなものが見えたのも、この説明によれば単なる目の錯覚だということになる。
つまり、明るい光源があるとその周囲はより暗く認識され、ありもしない黒っぽいものがあるように思えたり、この光に邪魔されて星が見えにくくなるというのだ。
他方、空軍はこの夜の飛行訓練については、10時の照明弾投下以外何も述べていない。また航空機だとすると、音がまったくなかったとか、頭上で一時滞空したという一部の証言にも合致しない。
ところで、フェニックス周辺では、21世紀に入ってからも何度か謎の光体が目撃されている。
まずは2006年6月27日、機体の上部にライトが重なる、巨大な棒状のUFOが撮影された。
2007年2月6日午後8時過ぎには、フェニックスに住む大勢の住人たちがV字形、あるいは三角形に並ぶ光点を目撃した。このときは通報を受けた地元アリゾナ州のテレビ局チャンネル3が直ちにヘリコプターを発進させ、フェニックス東方約48キロにあるユーザリーパス上空からリアルタイムで放映した。
テレビカメラには、黄白色の4つの光点が三角形もしくはV字形を形成している様子が映しだされた。先端と考えられる部分にあるライトは、少し揺れているように見え、そのライトを頂点に残り4つもV字形あるいは三角形の隊列を崩さず、整然と移動し、やがてひとつずつ順にライトが消え、5分後にはすべて消えた。このときは1000名を越える目撃者がいたという。
続いて2008年4月21日、またしてもフェニックス西方の上空に光る飛行物体が目撃された。このとき、これらの光は時間をかけて四角から三角に編隊を変えた。住民の中には、光が現れた直後に、3機のジェット機が光の方向に向かうのを見た者もいる。
2011年10月28日には、フェニックス近郊のスコッツデールで、夜空に浮かぶ奇妙な光体が撮影された。
ただし、2007年の事件は軍の演習で投下された照明弾、2008年のものは気球に明かりを吊るしたものだとする否定的な説明もなされている。
いずれにせよフェニックスライトは、今でもメジャーなUFO事件として、アメリカのテレビ特番でもしばしば取りあげられている。
●参考資料=『未確認飛行物体UFO 大全』(並木伸一郎著/研)、『The Encyclopedia of Extraterrestrial Encounters』(Robnald D. Story / NewAmerican Library)、『The UFO Encyclopedia』(Jerome Clarke / Omnigraphics)、「ムー」2007年4月号(学研)
羽仁 礼
ノンフィクション作家。中東、魔術、占星術などを中心に幅広く執筆。
ASIOS(超常現象の懐疑的調査のための会)創設会員、一般社団法人 超常現象情報研究センター主任研究員。
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