南アで発見された「リトルフット」の正体は人類の全く新しい祖先だった!? 既知のアウストラロピテクスとは異なる特徴

文=webムー編集部

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    学者たちによる議論が続く骨格化石「リトルフット」に、衝撃の新説が浮上した! これまでに知られているどのアウストラロピテクスとも異なるというのだ――。

    新たに判明した「3つ目の可能性」

     1994年に南アフリカ・ステルクフォンテイン洞窟群で発見され、その後20年以上にわたり入念な発掘調査がおこなわれてきたアウストラロピテクスの骨格。これまで発見された中で最も完全な状態を保っており、最初に発見された部分が足の骨だったことから「リトルフット」と名付けられた。

     アウストラロピテクスは「猿人」とも呼ばれ、420万年前にアフリカに生息していたヒト科の一群といわれている。発掘チームを率いた同国ウィットウォータースランド大学の古人類学者、ロナルド・クラーク博士は、リトルフットを「アウストラロピテクス・プロメテウス種」に分類した。この見解には疑問も残っており、他の研究者は同じ洞窟群で以前に発掘された「アウストラロピテクス・アフリカヌス種」だと主張していた。

    ロナルド・クラーク博士 画像は「Wits University」より引用

     しかし今回「American Journal of Biological Anthropology」誌に掲載された最新の研究で、3つ目の可能性が浮上。リトルフットはそのどちらとも“異なる”という研究結果が発表されたのだ。

     研究を主導したメルボルンにあるラ・トロープ大学のジェシー・マーティン博士は、「アウストラロピテクス・プロメテウスにも、アフリカヌスにも似ていません」と断言。そしてリトルフットが間違いなくヒト科の一系統に属していると認めたうえで、「これまで発見されていなかった人類の系統樹の一点であるだけでなく、その系統樹の枝全体を発見した可能性がある」と述べている。

    ステルクフォンテインの発掘現場 画像は「Wikipedia」より引用

    異なる種であることを示す相違点

     マーティン博士ら研究者は、リトルフットがプロメテウスやアフリカヌスとも異なると判断するに至った重要な相違点を特定した。頭蓋骨の後部にある後頭骨面が長いことがその内のひとつだ。

     頭蓋骨の後ろ下部の形状は、人類の進化過程であまり急速に変化することはない。そのため頭蓋骨の基部に違いが見られるということは、同じ種が進化したのではなく異なる種である可能性が高いことを示しているのだ。また、マーティン博士らのチームが発見した相違点は、すべてこの頭蓋骨基部に見られるものだという。

     およそ367万年前のものと測定されているが、280万年前よりも古いはずがないと主張する研究者もいるなど、その年代についても研究者間で意見が分かれているリトルフットの化石骨格。今回発表された最新の研究成果は、人類の進化を探る上で重要な一歩になることは間違いない。さらなる研究結果が待たれる。

    【参考】
    https://www.theguardian.com/science/2025/dec/15/little-foot-hominin-fossil-may-be-new-species-of-human-ancestor

    webムー編集部

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