人間の意識は脳内の量子もつれが生み出している!? 人体に秘められた「量子通信リソース」に最新研究が迫る!
依然として謎に包まれている人間の意識の源泉。それは量子論の世界に属する現象かもしれないという――。
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みんな予言が大好きだ。7月5日に日本を大災難が襲うという予言は外れたが、ノストラダムスも、ファティマも、ホピ族も、2ちゃんねるに現れた未来人も、ほとんどの予言は外れてきた。それでも盛り上がる理由を深堀りする。
昔は予言成就のために集団自決やテロ行為に走る新興宗教もいたが、今は違う。予言を信じる人に、予言があるのかないのか、統計値を出して突きつけても、「世界線が変わった」でおしまいである。マルチバース理論の害悪だ。7月5日の件も然り、予言されたことで人々の意識と行動が変わり、それを避けようとする方向へと世界が収束、結果として大災害は回避されたらしい。
そう考えれば、外れたことは当たっていたことにできるし、もしも本当に当たってしまったら、みんなが災難を止めようと思う祈りが足りなかったと考えればいい。だから、もはや当たる当たらないを論じても意味がないのだ。
とはいえ、それでも予言が本当に成立するというなら、どのような仕組みがあり得るのか考えてみよう。予言詐欺の手口ではなく、予言のメカニズムの方だ。
予言が成立するには、いくつかのパターンが考えられる。
1 すべての分子運動を計測し、地球全体をシミュレートする
2 未来から過去へ情報を送る
3 波動関数が収束すると未来が確定するので、波動関数のゆらぎを読む
宇宙は精密な機械だとする「機械的宇宙論」が長らく現代科学の基本的スタンスだった。この世界は、恐ろしく複雑な歯車式時計だというのだ。もしも世界が機械なら、未来は予測可能だろう。
機械的宇宙論でよく持ち出されるのがビリヤードの例えだ。完全に理想的な状態なら、白球を打った時に最後に何番の玉が落ちるかまで導き出せる。このように機械的宇宙では、全てが力学的に予測可能となる。これは同時に、自由意志の放棄でもある。未来はすでに確定し、私たちは過去から未来へと移動しているだけなのだ。
しかし現在、この機械的宇宙論は否定されつつある。原子以下の世界では、物質は波になり、確率的に存在するようになるからだ。確率的な波動として非物質が物質の根本にあるなら、世界は雲や声のようにとらえどころのないフワフワしたものでできていて、歯車のように正確な動きは望めない。つまり、予測などできない。
では、次の場合はどうだろう。この世界は機械論的“神”によって創造された仮想世界、つまりメタバースのようなもので、私たちはゲーム内のアバターにすぎない。映画『マトリックス』のような世界観だ。これを「シミュレーション仮説」という。
同仮説は、1950年代にエドワード・フレドキンとコンラッド・ツーゼの2人のコンピュータサイエンティストによって提唱された。それ以降、SF的なテーマであり続けたが、実際すべての分子運動が計算でき、宇宙の全てをシミュレートできるならば未来も予測できるだろう。しかし現状、私たちにそんな技術はないし、脳の演算能力もはるかに超える。
ところが近年、ロンドン大学で宇宙論を研究するアンドリュー・ポンチェンの発表によって少し流れが変わってきた。ポンチェンは宇宙全体のシミュレーションを実際に行い、宇宙誕生の最初期に何が起きたのかを調べる研究者であり、シミュレーション仮説をまさに実地で行っている。CGの能力がどんどん上がっていけば、いずれ本当にコンピュータ上に宇宙を作れるのでは? という声もあるほどだ。
まとめると「1. すべての分子運動を計測し、地球全体をシミュレートする」は現状では無理がある話だが、未来には「?」といった具合になるだろう。
では、「2 未来から過去へ情報を送る」はどうだろう?
量子もつれという現象がある。量子Aと量子Bがワンセットで逆回転をしている。Aが右回転なら、Bは左回転だ。そしてAを反対方向=左回転にすると、Bは右回転になる。この回転の変更はAとBの距離に関係なく、瞬時に行われる。宇宙の端と端にAとBを置いても、回転の変更はリアルタイムで起きる。回転の変更は空間を超えるのだ。
ところが、ここがわかりにくいのだが、観測しない限り、情報が送られたかどうかはわからない。観測によって右回転か左回転かは判明する。つまり、超光速で回転の情報は送られたかに見えるが、観測しないと右回転か左回転かは確定しない。しかも、片方が観測しましたと報告を入れないと片方は回転方向を確認していいのかどうかわからない(確認した瞬間に情報の保存が壊れ、右回転が左回転に変わったのか、元々左回転だったのか、わからなくなるからだ。この保存を壊さずに、つまり結果を確定させないように観測することを「弱い観測」と呼ぶ)。
この場合、情報を超光速で送ることはできても、人間が確認すること(=観測)が必要なので、情報確認手段が必要。結局、量子もつれを使った情報伝達も光速が上限になる。
では、量子もつれを使って空間を超えて情報伝達ができる(実際はできないが)ように、未来から過去へと情報を送ることはできないのか?
イギリスのケンブリッジ大学では、未来の観測で過去の結果を変える実験が行われた。この実験はクイズみたいなもので、量子もつれ状態にあるAとBで、Aを2回観測し、2回目には1回目の観測結果とは絶対に逆になる観測装置を使う。1回目の観測は弱い観測、ふたを開けて右回転だと情報の保存を壊す(=確定させる)のではなく、ちょっとだけ覗くイメージだ。1回目にチラ見して右回転なら、2回目は絶対にその反対の左回転で確定させるわけだ。
1回目の弱い観測では、Aは右回転とは確定しない。しかし、チラ見して右回転だったら2回目は左回転で確定する。すると1回目の観測時も左回転でなければ矛盾する(そもそも左回転であったはず) ということになるので、「時間をさかのぼって」1回目の回転も左回転になる。すごく屁理屈だが、そういう実験をしたら25パーセントの確率で1回目の観測結果が2回目の観測に従って変化したという。
これを予言に置き換えて考えるなら、時空を超えて情報を送ることは不可能ではない、ということになりそうだが。現状では一般人が量子もつれを駆使できるとも思えない。そういや、ほとんどの占いはなんとでも解釈できそうなことを言ってくるが、あれは弱い観測だからなのだろうか?
シミュレーション仮説や量子もつれで予言を説明するのは難しい。さらに、ここにカオス理論が加わり、ごくわずかな不確定要素が入り込むだけでも結果がまったく別になることもわかってきた。バタフライ効果(太平洋上の蝶の羽ばたきがハリケーンのきっかけになるというカオス理論のたとえ話)が支配している世界では、未来の予想など不可能なのだ。やはり、数学的にも物理的にも未来予知は不可能なのかもしれない――と、ここで検討したいのが「3 波動関数が収束すると未来が確定するので、波動関数のゆらぎを読む」だ。
万が一、予言があり得るとすれば、「先進波」の解釈を変えるしかないのではないかと思う。電磁波のような波の運動を表すのが波動方程式だ。波動方程式を解くと、解として遅延波と先進波が得られる。遅延波は、小石を水に落とすと波紋が広がるように、原因があってそこから波が発生する。先進波は逆で、一点に向かって周囲から波が集まって来る。未来から過去に向かって結果が原因に収束するといってもいい。
先進波は、数学的にはおかしくない(数式上では過去も未来もない)のだが、物理的に先進波は観測されていないので無視されている。だから先進波はないものとされているのだが、もしあるとしたら?
先進波が未来から過去へ、発生する原因へと戻っているとしたら、それを受信できれば、未来の情報が含まれているかもしれない。未来にだってテレビはあるだろう。その未来の電波を受信出来たら、未来のテレビ番組を見ることができる?
このように「予言は、未来のテレビ番組の電波を受信することと同じ」と考えると、大変厳しいことがわかる。それでも予言に取り組む人がいるということは、予言は量子力学にもニュートン力学にも依然しない、別の科学体系に依っているのだろう。
webムー編集部
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