死後生存の証拠か、それとも脳内現象か? 「臨死体験」の謎/羽仁礼・ムーペディア
毎回、「ムー」的な視点から、世界中にあふれる不可思議な事象や謎めいた事件を振り返っていくムーペディア。 今回は、死の淵から生還した人々が、昏睡状態の中で経験したと語る一連のヴィジョンや感覚について取り
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“この世”にいる我々にとって、“あの世”はわからないことばかりだ――。気鋭のジャーナリストは死後の世界もUFOも“あの世”に属するものであり、そこは“別次元”であるとの自説を展開している。
近年は何かと物騒な話題に包まれるハロウィンの季節がやって来たが、ハロウィンはキリスト教文化圏における“お盆”であり、本来は「地獄の釜の蓋」が開いて“あの世”から先祖たちが「一時帰宅」する時期である。
では、“あの世”には先祖たち以外にどんな存在がいるのかと考えをめぐらせてみれば、そこには我々の理解が及ばない存在や現象がすべて含まれているのだと仮定してみてもあながち荒唐無稽ではないかもしれない。
とすれば、そこに含まれているのは神や悪魔であったり、心霊現象や超常現象であったり、UFOやUMAもそこの住人ということにもなるだろう。そして、とあるジャーナリストはまさにその場所こそが“別次元”であると説明しているのだ。
臨死体験や超常現象、UFO現象など広範な分野を研究対象としているジャーナリスト、レスリー・キーン氏は先日、元空軍パイロットで作家のクリス・レート氏のポッドキャスト番組に出演して、UFO現象には2つの異なる側面があるという理論を解説している。
その2つの側面の1つめは物理的な側面で、UFOがレーダーで検出され、軍が戦闘機をスクランブル発進させて接近するケースである。つまり、物理的なUFOのことだ。
そして2つめの側面とは「別次元」である。キーン氏はUFOが死後の世界や臨死体験に関係しており、それは共に別次元に属するものであると確信しているという。
「確かにUFO現象のより超常的な要素は、臨死体験など、人々の意識に関連する異常な体験の観点から説明されるものと何らかの関係があるようです。(それは)非常に多様です。ある種のクロスオーバーな領域がありますが、それが何なのかはわかりません。つまり、UFOはあらゆる要素が含まれた全体的な現象なのです」(キーン氏)
キーン氏は、UFOは我々の五感の限界を超えて存在する別次元と関係があるのではないかと推測しており、その別次元は我々の次元と重なっている可能性があり、UFO現象の神秘的かつ説明が難しい側面を説明できる可能性があると示唆している。
さらにキーン氏は、現在のUFO研究は今までにないほど真剣に受け止められているが、一方で死後の世界についての科学的調査はほとんど無視されていると語る。そしてロバート・ビゲロー氏の名前を挙げたのだ。
「ロバート・ビゲロー氏によって設立された『ビゲロー意識研究所(BICS)』が、これらすべての疑問について調査を行っているということを知っておくべきだと思います」(キーン氏)
ロバート・ビゲロー氏は数々の超常現象で知られる「スキンウォーカー牧場」(米ユタ州)の前所有者であり、宇宙ベンチャー企業「ビゲロー・エアロスペース」の創設者でもあるのだが、2021年に妻の死を契機として「ビゲロー意識研究所(BICS)」を創設、臨死体験と死後の世界への探究に乗り出した。UFO現象と臨死体験を結び付けた最初の著名な人物であるビゲロー氏にキーン氏が着目しているのだ。
同研究所は、臨死体験についての優れた報告を募集するエッセイコンテストを行っており「ロバート・ビゲロー氏はこのコンテストの優勝者に巨額の賞金を提示したため、参加者のモチベーションは非常に高く、興味深い証拠を提供する素晴らしいエッセイがいくつか提出されました」とキーン氏は説明している。
唐突に家畜の切断死体が発見される「キャトルミューティレーション」をはじめ、奇妙な超常現象が頻繁に起きているといわれているスキンウォーカー牧場だが、やはりここにはビゲロー氏の世界観を変えるほどの“何か”があるということなのだろうか。そして、それは別次元に関わることなのか。
かつて科学者のコルム・ケレハー氏とジャーナリストのジョージ・ナップ氏が、ビゲロー氏の要請でスキンウォーカー牧場を調査した時の記録をまとめた著作『Hunt for the Skinwalker』(2005年刊)では、キャトルミューティレーションをはじめさまざまな色に光るオーブの出現やポルターガイスト現象、ビッグフットに似たUMAの出没など、同牧場で起きた数々の不可解な現象が報告されている。そしてそれらの現象は、“ポータル”を通じて別次元から届く力の働きによって起きていることが示唆されているのだ。
スキンウォーカー牧場は、本当に別次元に通じている場所なのだろうか。ユタ州にあるスキンウォーカー牧場だが、ユタ州といえばモルモン教(末日聖徒イエス・キリスト教会)の総本山の地でもある。ちなみに、同州の人口223万人のうち約70%近くがモルモン教徒であるといわれている。
スキンウォーカー牧場の現オーナーであるブランドン・フーガル氏は「UFO現象と宗教的信念の予期せぬ交差点の一つは、モルモン教の神学に由来する」とかつて「New York Post」紙の取材で語っている。
フーガル氏によればモルモン教には、宇宙には無数の世界と次元が存在し、「数のない世界」と呼ばれる概念の教えがあるという。この教えは、神には計画があり、宇宙には多様な生命体が溢れているという考えに根ざしているというのだ。
モルモン教の考えでは、「ベール(the veil)」として知られる精神的な布地によって現実の複数の次元が分離されているという概念が不可欠であり、これらの次元には地球にとって異星人である人々が住む世界があるという。これらの次元間の移動は、神の力またはサタンの力によって可能であると考えられているそうだ。
モルモン教の信仰とUFO現象との潜在的な関係を認識した著名な人物の一人には、故ハリー・リード上院議員も挙げられる。モルモン教の信仰と超常現象への関心との調和について尋ねられたリード氏は、モルモン教の教えは異世界の存在という考えと一致していると力説し、UFOやスキンウォーカー牧場での説明のつかない現象を理解する探求と並行して、別次元の領域が実際に存在することを示唆する十分な証拠があると説明している。
意外なことに、UFOとモルモン教が“別次元”の解釈で繋がったことにもなりそうだが、目撃されたUFOが物理法則の影響を受けない挙動を見せることや、突然現れたり消えたりするのはやはり別の次元の存在であるからなのだろうか。そして、UFOと臨死体験や死後の世界との関係についての探究は予期せずして現れた新たな課題なのかもしれない。
【参考】
https://www.howandwhys.com/leslie-kean-claims-ufos-aliens-are-linked-with-afterlife-ndes/
https://www.dailystar.co.uk/news/us-news/ufo-investigator-who-found-alien-31024319
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
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