UFOはクジラと交信している!? 米軍公認「ニミッツUFO事件」当事者による新証言 ほか不思議ニュースまとめ/web MU HOT PRESS
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負傷者を伴うショッキングな出来事であるにもかかわらず、あまり知られていないUFO事件がある。1952年8月に米フロリダ州で起きた「ボーイスカウト隊長UFO事件」もまたそうした不可解な顛末を辿った事件の一つだ――。
「ロズウェル事件」や「レンデルシャムの森事件」、最近では米海軍が遭遇した「チクタクUFO」などの有名なUFO事件がある一方、何らかの事情であまり語られないUFO事件がある。そのような、なぜか話題にのぼらないUFO事件の一つが1952年の「ボーイスカウト隊長UFO事件」である。
ボーイスカウト活動の盛んなアメリカでは、隊員の少年たちをとりまとめるボーイスカウト隊長(スカウトマスター)は教師に匹敵する尊敬を集めるといわれている。そんな子供たちにとっての身近なヒーローでもあるボーイスカウト隊長が被害を受けたUFO事件が過去に起きていた。
1952年8月19日の夜、フロリダ州ウェストパームビーチでボーイスカウト隊長のサニー・デスバージャース(当時30歳)は、訓練後にボーイスカウトの子供たちを家まで車で送っていた時に、上空で明るく点滅していた光が近くの林の中へ落ちていくのを目撃した。
何らかの墜落事故の可能性を見過ごすことはできなかったデスバージャースは、道路の路肩に車を停めた。同乗していた3人の子供たちに「もし15分経って僕が戻って来なかったら近所の人に連絡してほしい」と指示を出し、ナタと懐中電灯を手にすると明かりが見えた方向を目指して路傍の松林に入っていったという。
機密解除された「プロジェクト・ブルーブック」の文書にあるデスバージャースの供述によると、彼は約4分間、林の中を進むと木が生えていないエリアに出た。
彼が最初に説明したのは、吐き気を催すような刺激臭であり、何らかの存在に自分が見られている感覚であった。次に、彼は上空から放たれた火傷しそうな激しい熱に襲われた。そして空を見上げると、空中に大きな物体が浮いていたのだった。
デスバージャースによれば、その物体は円形でくすんだ黒色で、継ぎ目はなく、直径約10メートル、高さ約3メートルで中心部にドーム形状の膨らみがあり、底面から眩い光と熱を放っていた。
怯んだ彼はゆっくりと後ずさりしていた時に「ハッチが開くような」金属音を聞く。その直後、赤い火の玉のような物体がゆっくりと彼に近づいてきたのだった。
あまりにも強烈な光と熱にやれられて逃げることもできずにいた彼は、赤い光の玉から赤い霧となったその存在に飲み込まれて意識を失ったと語る。
デスバージャースが意識を取り戻した時、木にもたれかかった状態であったが、視力が回復せず暫くは周囲をまともに見ることができなかった。それでも立ち上がると、木立の間を急いで戻り、車を停めた場所まで来ると少年たちと地元の保安官に出迎えられたのだった。戻らない隊長を心配した子供たちは車を降りて近くの農家に駆け込み、保安官に連絡してもらったのである。
戻ってきたデスバージャースは悲惨な見た目であった。制服は焦げ、顔と腕には火傷の跡があり痛々しかった。
この時、デスバージャースはひどく動揺しており、支離滅裂なことを口にしていた。保安官の一人は「19年間の仕事の中で、彼ほど怯えている人を見たことがありません」と後に語ったことが記録に残されている。
UFOがあらわれたという現場に向かった保安官は、木立の折れた枝と激しい熱にさらされたと思われるしおれた野草を確認した。
デスバージャースと少年たちはパームビーチ郡保安官事務所で聴取を受けた。保安官らはデスバージャースの腕の毛の一部が燃え尽き、皮膚に火傷があることも確認した。彼らはまた、隊長の帽子のつばに3つの小さな焼け穴があることにも気づいた。
手続きに従い、地元当局は関連機関に事件報告書を連絡し、最終的に「プロジェクト・ブルーブック」の初代ディレクターである米空軍のエドワード・ルッペルトが報告を受けた。ルッペルトは、後にこの事件を「私が遭遇した最も奇妙なUFO目撃報告の一つ」と述べている。
ボーイスカウトの一人、当時12歳だったチャック・スティーブンスは、その夜に見た現場の様子を鮮明に覚えている。木々の枝が折れた箇所からは樹液がにじみ出ており、地面は周囲よりもかなり温かく蒸していて、何らかの激しい熱に見舞われた痕跡があったという。
保安事務所からの報告を受け、米空軍の調査チームはすぐに現地を訪れて関係者全員から話を聞き、UFOが出現した現場を念入りに調査し、写真を数多く撮影して枝や土壌のサンプルも収集した。
「彼らが文書化してサンプルを採取したという事実は幸運であり、この事件の最も興味深い側面の一つです」と、経済アナリストでミステリーサークル研究者であるジェフリー・ウィルソンは語る。
独立ミステリーサークル研究者協会(Independent Crop Circle Researchers’ Association、ICCRA)の共同創設者として、ウィルソンはミステリーサークル現象を世界規模で研究しており、早くからこのデスバージャースの事件に注目している。
収集されたサンプルが検査されている間、デスバージャースの身元調査も行われたのだが、その過程で彼の人格と素行を疑わざるを得ない事実がいくつも判明した。
海兵隊から除籍された過去があるデスバージャースであったが、その理由は自動車の窃盗という犯罪によるものであった。また彼を知る地元の少なくない者が、デスバージャースの話すことはまったく信用できないと証言しているのだ。
しかし、ルッペルトが最初にデバージャーズにインタビューしたときの印象は、このスカウトマスターには好感が持て、協力する意欲があり「すぐさま真実を語っているという印象」を示したと述べた。ちなみに第一印象が良いというのはサイコパスの良く知られた特徴の一つでもある。
ルッペルトには好印象を与えたものの、調べるほどにデスバージャースの好ましくない過去が見つかったこともあり、ルッペルトはこの物語が捏造されたものであると信じるようになっていった。
こうした経緯もあってか、この事件は正式な捜査には至らず、デスバージャースを個人的に失墜させただけの顛末を迎えることになる。彼は勤務していた地元のホームセンターを解雇され、ボーイスカウト団体からも地域社会からも追放され、嘘つきのレッテルを貼られた。その後、彼は公の場から姿を消しこの地を離れたのだ。
事件は未解明のまま放棄される形になったが、現場で収集された熱でしおれた草木のサンプルは巨大な熱源の存在を示すものであり、なぜか草木は先端部ではなく根元のほうに強い熱が加わった形跡があり謎は残ったままであった。
そして前出のウィルソンは「何か異常なことがその男に起こり、物的証拠が彼の言葉を裏付けた。だからこそ私は、この事件を調べることに注力したのです」と語り、なぜ事件が“封印”されてしまったのか批判の声をあげている。
「わざわざこんなもの(熱でしおれた草木)を捏造するでしょうか? なぜ、そしてどのように彼はそれを演出したのでしょうか? そんなことをする意味はありません」(ウィルソン)
もし1952年8月19日の夜、この地に出現したUFOに遭遇したのが悪名高いデスバージャースではなく、別の地元住民であったならば事件はまったく違う展開を見せていた可能性もある。あるいは“封印”してしまうことが当局にとって都合がよいと判断されたと考えられなくもない。
今や忘却の彼方へ連れ去られそうなこの「ボーイスカウト隊長UFO事件」なのだが、当然ながらこの件をUFO事件史から抹消していいはずはないのである。
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
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