月の内部は空洞なのか? 月そのものが人工天体なのか? 異説に彩られる巨大衛星の謎/並木伸一郎・月の都市伝説
長きに渡ってまことしやかにをささやかれ続けている「空洞論」「人工天体説」という2大都市伝説を紹介。
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1957年、ブラジルのサンパウロ州ウバトゥーバで起きた「ウバトゥーバUFO爆発事件」で回収された金属片は、現在も分析が行われている。最新技術を用いた分析の結果、やはり金属片は「地球外の何者かの意思」によって造られたものだと判明した!
1957年、ブラジルのサンパウロ州でUFOの爆発事件が起きた。通称「ウバトゥーバ事件」。同年9月10日、同州ウバトゥーバの町プライアダス・トニアスの海岸で、降下してきた円盤形UFOが海面近くで突如、爆発・飛散したのである。
事件が公になったのは、同年にリオ・デ・ジャネイロの新聞「オ・グローボ」紙のイブラヒム・スエド記者のもとに、ある人物から一通の手紙が寄せられたことがきっかけだった。手紙には、差出人=目撃者による事件の一部始終が書かれていたという。
当時、現場には家屋がせいぜい6〜7軒しかなく、住民や地元の漁師は、訪れた観光客のために、しばしば釣りを楽しませていた。当日の昼すぎ、友人たちと海岸で釣りをしていたとき、空飛ぶ円盤が猛スピードで降下してきた。あわや海に墜落しそうになったが、間一髪、急角度で急上昇していった。
だが、すぐに円盤は火を噴いて爆発し、機体は花火のように分裂して落下。飛散したおびただしい数の火のついた破片のほとんどは海に落ちたが、差出人は岸辺に落ちた小さな破片を拾い集めたという。
さらに、この手紙には差出人が回収した破片が同封されていた。表面が不規則で鈍い灰色をした、岩のかけらのような3つの破片は、まるで紙のように軽かったという。
スエドはすぐに、手紙の真意を確かめるべく、アメリカのアリゾナ州ツーソンに拠点を置く、民間UFO研究団体「APRO」のブラジル支部長である医学者オラヴォ・フォンテス博士に金属片の分析を依頼した。
フォンテスは、ひとつをブラジル農務省鉱業局鉱産物実験室に渡し、スペクトルの精密分析を依頼したところ、「不純物を含有していない100パーセント純粋なマグネシウムである」という結果だった。X線分析による再検査の結果も、やはり不純物を含まないマグネシウムということで一致した。
当時の冶金学の精錬技術では純度99・99パーセントが限度で、100パーセント純粋なマグネシウムの精錬は不可能とされていた。この事実から、ウバトゥーバの金属片は「ウバトゥーバ・メタル」と呼ばれ、加えて“地球外由来”の可能性が浮上したのである。その後、解析された第1の金属片はブラジル陸軍と海軍に送られたが、分析結果は公表されなかった。残ったふたつの金属片はAPRO本部に送られた。
APROはふたつのうち、ひとつの金属片をアメリカ空軍に提供したのだが、「技術者が誤ってこの破片を燃やしてしまったので、残りの破片を送ってほしい」と連絡してきたという。アメリカ空軍の対応に強い不信感を抱いたAPROの主宰者ジェイムズとコーラルのロレンゼン夫妻は、再提出を求める空軍の要請を拒否した。以後、ウバトゥーバ・メタルの騒動はいったん幕を引く。
事件から約9年後の1966年10月、アメリカ空軍の依頼で物理学者エドワード・U・コンドン博士を中心としたUFO現象の調査機関「コロラド大学調査委員会(通称コンドン委員会)」が設立され、活動を開始した。調査活動には、ウバトゥーバ事件の再調査も含まれており、当時、委員会に席を置いていたデイビッド・ソーンダース博士の仲立ちもあって、ロレンゼン夫妻は再び破片の提供に同意した。
ウバトゥーバ・メタルは、財務省国税局付属試験場の研究測定評価部の主任メイナード・プロ補佐官と、民間のマグネシウム生産の大手企業だったミシガン州のダウ・ケミカル社のふたつの機関で分析されることになった。
破片は、中性子放射分析という手法を用いて分析された。どちらも高純度のマグネシウムであるという点では一致。だが、当初のブラジル農務省分析の結果とは異なり、純度100パーセントの金属ではないことが判明したのである。
財務省によると、ストロンチウムを含んだ0・15パーセントの不純物が測定されたという。また、ダウ・ケミカル社は、この純度なら同社での精錬も不可能ではないという見解を示した。
しかし、ストロンチウムを含む不純物は、地球上の技術で産出されるマグネシウムやその合金には決して見られないとする意見もあり、ウバトゥーバ・メタルがUFO=地球外由来のものではないと断定するには、まだ証拠が不十分だった。
ウバトゥーバ・メタルは依然、正体不明のままになっていた。だがその後、1985年にスタンフォード大学とフランスのオルセー大学で、ピーター・スターロック教授の監督のもと、分析が継続された。
結果、この破片がマグネシウム塊、あるいはマグネシウム合金であることが再確認されたが、少量のアルミニウム、カルシウム、鉄の不純物が混在していることが新たに確認された。だが、これらの物質がただの不純物にすぎないのか、なんらかの役割を持たせるために混入されたのかは判然としなかったのである。
ここまで、ウバトゥーバ・メタルは“純度”だけが注目されてきたが、別の視点からウバトゥーバ・メタルに注目した人物がいる。UFO研究家ジャック・ヴァレ博士だ。詳細は省くが、UFO調査機関ブルーブックの科学顧問を務めたアレン・ハイネック博士の共同研究者である。
彼は、これまで不純物として考えられてきた物質が、実は何らかの目的をもって混入されてきたものであり、1950年代から1960年代ではまだその可能性も見出されていなかった高エントロピー合金として製造されたものだったのではないか、という仮説を立て、分析を開始したのである。
ヴァレ博士は、2016年にスタンフォード大の微生物学者ギャリー・ノーラン博士と共同で「アルゼンチンUFO現象研究委員会(CEFORA)」から提供されたふたつの金属片サンプルのマグネシウム同位体比の分析を行った。
ひとつは、前述したオラヴォ・フォンテス博士が提供したサンプルAと、事件当時、現場にいた別の漁師がCEFORAに提供したサンプルBである。その結果は実に興味深い。
まず、サンプルAのマグネシウム同位体比は、ごく自然で、地上で組成されているものと同等という結果になった。だが、一方のサンプルBの同位体比は、明らかにサンプルAと異なる結果を示したのである。
詳しい数値は表をご覧いただきたいが、サンプルBの比率は、地球上の標準とは、有意差(偶然や誤差によるものではない差)があり、“自然の産物ではない”ことが明らかになったのだ。
続けて、2017年と2018年には、サンプルの主要元素であるマグネシウムと微量元素であるストロンチウム、バリウム、亜鉛、銅の同位体比を調べるためのアイソトープ分析が行われている。ヴァレ博士は、最新の著書『トリニティ』で、分析結果を次のように記す。
「一貫してウバトゥーバのサンプルは99・88パーセントの純粋なマグネシウムであり、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、銅が微量に含まれていることを示している。不純物であるストロンチウムは、マグネシウムを製造する際の通常の副産物ではなく、本来ならば意図的に添加されたものと思われる」
さらに、2021年9月6日付の「サイエンスニュース」の最新報告によると、ノーラン博士は、同位体レベルで物質の正確な組成を識別できる最先端の「マルチパラメーターイオンビームイメージャー(MIBI)」を使用して、金属片の3D原子構造を分析。彼がサンプルを機械の真空チェンバーに入れたとき、組成が地球上の既知の金属とは異なることに気づいた。
つまり、ウバトゥーバ・メタルのマグネシウムの同位体は、地球のマグネシウム鉱床の同位体とは異なったのである。
ノーラン博士は「高度な文明から生まれた先進的な物質とは“超物質”と呼ぶべきもので、人工的に原子レベルで再構成している特性を持つもの」と語り、「私たちは80の元素で世界を再構築している。だが“超物質”の存在は、他の何者かが253の異なる同位体で世界を構築している可能性を示す」とも指摘した。
一方、ヴァレ博士は「ウバトゥーバ・メタルは、自然界に存在するものではない」としたうえで、地球上または宇宙空間で〝何らかの特別な目的〟のために製造されたものではないか、と自身の仮説を改めて主張している。
今なお続くウバトゥーバ・メタルの分析。実は現在、筆者はノーラン博士から最終報告を入手すべくコンタクトをとっている。報告が届き次第、本誌で公開する予定だ。期待して待っていてほしい。
並木伸一郎
「ムー」創刊当初から寄稿するベテランライター。UFO研究団体ICER日本代表、日本宇宙現象研究会(JSPS)会長などを兼任。ロズウェルやエリア51をはじめ現地調査を重ねて考察し、独自の仮説を「ムー」や自身のYouTubeなどで発表している。
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