メキシコで古代の「立方体頭蓋骨」が出土! 前代未聞の奇妙な形状をめぐるミステリー

文=仲田しんじ

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    メキシコ北東部の遺跡から、「立方体型」古代の頭蓋骨が発見された。いったいその形の背景には、どのような真実が秘められているのか――?

    メソアメリカにおける頭蓋変形の文化

     ヘアスタイル、帽子などの被り物、そしてヘアアクセサリーなど、人間の頭部には古今東西さまざまな装飾が施されてきた。そこにはさまざまな意味が込められていたと考えられるが、もし例外的な頭の形状をしていれば、それは消し去ることのできない当人の決定的特徴となるだろう。

     ムー読者にはお馴染みの話だが、かつてインカ帝国をはじめとする世界のいくつかの地域では意図的に人間の頭蓋骨をフットボール型等に変形させる「頭蓋変形(とうがいへんけい)」が行われていた。

     一般的には新生児のまだ接合しきっていない頭蓋骨に長い布や詰め物を使って圧力を加え、一定期間をかけて頭部をゆっくり変形させていくのだが、その変形度合いによって高い社会的地位を示していたとする説、はたまた地球外文明とのつながりを疑う声まで、目的については現在もさまざまな見解が存在する。

    画像は「Wikipedia」より

    立方体型の頭蓋骨が発見される

     そして最近、メソアメリカの遺跡で極めて珍しい「立方体型」の頭蓋骨が発見されたという。

    画像は「INAH」の記事より

     問題の頭蓋骨は、メキシコ中東部タマウリパス州にあるバルコン・デ・モンテスマ遺跡付近で発見された。紀元前650年から西暦1200年の間、この地域にはさまざまなメソアメリカ民族が居住していたことがわかっている。メキシコ国立人類学歴史研究所(INAH)によると、西暦400年頃にはこの地域に村が形成され、2つの広場に約90軒の円形の家が建ち並んでいたという。

     生物人類学者のベラスコ・ゴンザレス氏と考古学者カルロス・バヌエス・ペレス・シルバ氏は、最新の手法を用いて同集落の起源を明らかにし、各段階ごとの居住規模を特定しようと試みている。

    画像は「INAH」の記事より

     そして、バルコン・デ・モンテスマで発見された遺物や骨を詳しく検証する最中のことだった。研究者たちは、中年男性の頭蓋骨がこれまで見たことのない形をしていることに気づいたのだ。ゴンザレス氏は、この地域では以前にも人工的に加工された頭蓋骨が発見されているが、この男性の頭蓋骨の形は極めて独特であると説明している。

    「ほかの一般的なタイプとは異なり、この形状は上板状、あるいは“平行六面体”なのです。圧縮面が後頭角上部と、頭頂骨の矢状縫合線の間にあります。そのため頭部は円錐形とは異なり、四角い形状をしている」(ゴンザレス氏)

     今回の調査で見つかった頭蓋骨は、頭頂部が平らな立方体のような形状をしており、三次元の平行四辺形またはひし形のようにも見えることから、一部の専門家はこの形状を「平行六面体」と呼んでいるようだ。

    画像は「INAH」の記事より

    メソアメリカ古典期についての理解を深める

     これまで同地で頭頂部が平らな頭蓋骨は確認されていないため、研究者たちはこの頭蓋骨の男性が外部からやってきた可能性を探ることにした。男性の骨と歯の化学組成を分析したところ、なんと頭蓋骨の男性は同地で生まれ、生涯を同地で過ごした可能性が高いことが判明したという。

     そのため、研究者たちはこの珍しい頭の形には、まだ解明されていない文化的な意味があるのではないかと推測している。メソアメリカの多くの地域では、異なる頭の形をもつ文化集団の間で交流があったことが知られている。つまり、この男性自身は地元出身だが、彼の頭を変形させた人々は別の文化集団に属していた可能性もある。INAHタマウリパス支部長のトナンツィン・シルバ・カルデナス氏によると、バルコン・デ・モンテスマで過去に行われた調査の結果を再分析しているところだという。

     立方体頭蓋骨の年代と重なるメソアメリカ古典期(紀元前後~900年頃)は、テオティワカン(メキシコ高原)やマヤ文明(ユカタン半島)などで大都市が形成され、壮大な神殿やピラミッドが築かれるとともに、高度な天文学や暦、文字体系が発達した“文明開化”を謳歌した時代である。今後、同様の頭蓋骨が出土したり、その分析が進めば、メソアメリカ古典期についてこれまで知られていなかった事実が明らかになるかもしれない。

    ※参考動画 YouTubeチャンネル「WION」より

    【参考】
    https://www.livescience.com/archaeology/unusual-1-400-year-old-cube-shaped-human-skull-unearthed-in-mexico
    https://www.inah.gob.mx/boletines/especialistas-del-inah-revelan-practica-de-deformacion-craneal-inedita-en-la-huasteca

    仲田しんじ

    場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
    ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji

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