地球は一個の生命体か? 人類の進歩は地球の企てにすぎない? 深淵なる「ガイア理論」とデイジーワールドの概念
ほんの100年前と比べてみても、我々人類が著しい技術的進歩を遂げていることは一目瞭然だ。その進歩は、人類自身の自発的な意思によるものではなく、ひょっとすると地球の遠大な企てであるのかもしれない――。
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古代人はビタミンD不足だった! その謎を紐解いていくと、意外な可能性が浮上してきた。我々の祖先は冬眠をしていたかもしれないのだ。
骨と筋肉の健康に欠かせないビタミンDだが、東京慈恵会医科大学の最新の研究では、日本人の約98%がビタミンD不足であることが報告されている。ビタミンDが不足すると骨の石灰化が不十分になり、成人の場合は骨が柔らかく脆弱になる「骨軟化症」や、成長期の小児では「くる病」を引き起こしやすくなる。
さらにビタミンD不足は糖尿病や心疾患、そしてうつ病の発症にも関与している可能性があることが示され、加えて高齢者や閉経後の女性においては骨密度の低下の原因にもなるといわれていることから、決して放置できない健康リスクである。
ビタミンD不足の原因として、屋外に出ている時間が短いため日光浴が減少していることや食事内容が挙げられているが、なんとも意外なことに我々の遠い祖先である古代人の一部もビタミンDが不足していたことが示唆されている。いったいどうしてなのか。
スペイン北部のアタプエルカには広大なカルスト地形のアタプエルカ山脈があり、数多くの洞窟がある。その洞窟では初期人類の骨や生活の痕跡が発掘され、2000年「アタプエルカの考古遺跡」として世界遺産にも登録された。
アタプエルカの考古遺跡の洞窟では、ホモ・サピエンスの進化の重要な時期にさかのぼる数多くの人類化石が科学者によって発見されている。ネアンデルタール人の祖先と考えられているホモ・ハイデルベルゲンシス、ホモ・アンテセッサーなどの旧人類から青銅器時代の人類に至るまで、1600体以上の人骨が発掘されているのだ。
ギリシャとスペインの研究チームが2020年に学術誌「L’Anthropologie」で発表した研究では、アタプエルカから発掘された50万年前の人骨を調査し、絶滅した人類種の遺骨であることが確認された。
洞窟は自然の避難所であり、研究者たちは人類が農業などの技術を発展させ、定住を可能にした初期の居住地の例としてこれらの洞窟を研究している。
「スペイン、アタプエルカのマヨール洞窟、シマ・デ・ロス・ウエソスで発見されたホミニン(ヒト亜科)の骨格コレクションについて、副甲状腺機能亢進症の証拠があるか徹底調査しました」と研究チームは論文で説明している。
骨の構造や成長の経時変化などを通じて示される科学的な証拠によって、季節がめぐる周期の間に人々が何を食べ、何をしていたかをさかのぼって推測することができる。
研究チームがこれらの人骨に対してマクロ写真撮影、顕微鏡検査、組織学的検査を行い、CTスキャンを用いて解析したところ、彼らがくる病や軟骨石灰化症などのビタミンD不足に起因する症状に苦しんでいた形跡が確認されたのだ。
研究チームはビタミンD不足の原因のひとつに、寒くて厳しい冬の間の時間を洞窟内で過ごしていたことをあげている。つまり、洞窟の中で“冬眠”していた可能性があるというのだ。
「これらの疾患は、暗い洞窟での過酷な冬眠によって引き起こされたと考えられます。特に一部の青年期個体に見られるくる病性骨斑、そして主に成体における治癒の痕跡によって裏付けられます。くる病性骨斑の層構造は、冬眠からの覚醒期があったことを示唆しています」(研究論文より)
研究チームは人骨のサンプルから骨格の破壊や脆弱化の多くの例を発見し、またこれらの兆候は毎年一定の時期に起こるという周期的性質をもっていることから、生存のために行った“トレードオフ”に起因すると考えている。
彼らは一年で最も厳しい時期を、比較的安全な洞窟の中で眠りながら過ごすことを選び、そのために太陽からの栄養とビタミンDを犠牲にすることを選択したというのである。
「この冬眠仮説は、遺伝学的証拠、そして南半球のホミニンが極度の氷河期に生息していたという事実と整合している。代替仮説も検討するが、本研究は初期人類の生理学的メカニズムに関する新たな知見を提供し、絶滅人類種のライフヒストリーと生理機能の解明に役立つはずだ」(研究論文より)
アタプエルカの洞窟にいたホミニンたちに冬眠の能力があったとすれば、我々にもその能力は受け継がれているのだろうか。
洞窟にいたホミニンたちを含め、ホモサピエンス以外の人類は残念ながらことごとく絶滅してしまった。ひょっとすると我々にも冬眠できる能力があるのかもしれないが、火を使うなどして冬眠をせずに冬を乗り越える能力を獲得したからこそ、我々は生き残ったのかもしれない。
幸いにも冬眠せずに暮らせているという幸運を台無しにしないためにも、真冬の時期でも意識的に日光を浴びるなどしてビタミンD不足に陥らないようにしたいものだ。
【参考】
https://www.popularmechanics.com/science/a65995808/early-humans-hibernation-evidence/
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
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