異端にして天才! 天文学者にしてUFO論者アヴィ・ローブ博士が主張する「地球の破滅」と「地球外文明」
オウムアムアをUFOと喝破し、隕石から地球外文明の痕跡を指摘する天文学者アヴィ・ローブ博士。異端の発想は天才ならではの宇宙観によるものなのか?
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ほんの100年前と比べてみても、我々人類が著しい技術的進歩を遂げていることは一目瞭然だ。その進歩は、人類自身の自発的な意思によるものではなく、ひょっとすると地球の遠大な企てであるのかもしれない――。
地球が自己調節能力をもつ一個の生命体であると考える「ガイア理論」の提唱者として知られる、故ジェームズ・ラブロック博士(1919~2022)の主張が近年、改めて共感を集めているようだ、博士は1983年の論文でこの地球を「デイジーワールド」と定義した。
地球にデイジー(ヒナギク)しか存在しないシンプルな世界を仮定し、地表に降り注ぐ太陽光の量が変化した際、涼しい環境では太陽光をより吸収する黒いヒナギクが繁茂し、暑い環境では太陽光を反射する白いヒナギクが優位に立つように、地表の気温を一定に保とうとする恒常性が作用することが示されている。つまり、生命は地球上の環境に適応するだけではなく温度を調節するサーモスタットの役割も担っているというのだ。
このデイジーワールドはガイア理論の核心を担う概念であり、地球とそのすべての生物系は生命にとって好ましい条件を作り出し、維持する巨大な自己調節機構を構成していることが提唱されている。
「生命は物理的および化学的に極めて限られた状態でのみ繁栄することができる。生命が誕生して以来、地球はこの範囲内に留まってきた」(論文より)
地球に生命が初めて出現したと推定される37億年前から、太陽のエネルギー出力は25~30%増加しているにもかかわらず、地表温度は生命が居住可能な温度範囲内にとどまっているのだ。
また小惑星の衝突、壊滅的な火山活動、極端な気候変動などによって地球の気温、大気、海水の塩分濃度といった地球環境は一時的に変動しているが、結局はそれ以前に戻っていることも恒常性が機能していることの証左であるという。
さらにラブロック博士は、1988年に出版した著書『Biodiversity(生物多様性)』の一章で「火星と金星の大気は、燃焼によって排出されたガスのようなもの」と述べるとともに、現在の地球の大気は化学的に均衡を崩した異常な状態であると指摘している。
この異常な状態の大気が単なる偶然ではなく持続するのであれば「それは惑星が生きていることを意味する。少なくとも、恒常性という素晴らしい性質、つまり外部の環境が変化しても化学組成を制御し、温度を低く保つ能力をほかの生物と共有しているという意味だ」とラブロック博士は言及し、この地球が広い意味での生命体であると主張する。
メインストリームの科学界では受け入られていないガイア理論だが、19世紀以前は科学者でさえ地球が生きているという概念に違和感をもたなかったとラブロック博士は説明している。
博士によれば、近代地質学の父と称されるジェームズ・ハットンも、地球を「超有機体」と捉え、その適切な研究は生理学を通して行うべきと主張していたというのだ。
「ハットンは、血液の循環と地球の栄養素の循環、そして太陽光が海水を蒸留して雨となって降り注ぎ、地球を潤す仕組みとの類似性を示しました」(ラブロック博士)
その一方、生物学者のフォード・ドゥーリトルは、地球がそのような先見性と計画性を持つように進化することは不可能であり、少なくとも自然淘汰を通しては不可能だと述べている。
これに対してラブロック博士は反論し、ガイア理論は個々の生物の行動から始まる地球物理学的システムであり、その行動が地域環境に有益であれば、「最終的には地球規模の利他主義へと広がる可能性がある。…(中略)…そこには先見性も計画性もない」と言及している。ラブロック博士はその逆もまた真なりで、環境に悪影響を与える種は絶滅するが、生命全体は存続し続けると説いた。
環境に悪影響を与える種は絶滅するという説明は人類にとっては厄介なものであるかもしれない。石炭、石油、天然ガスといった化石燃料を大規模に燃焼させる我々人類は、大気中の窒素酸化物とアンモニアの量を増加させてきたからだ。
これまで米環境保護庁は、人間社会が産出した窒素酸化物とアンモニアは陸地に堆積し、近くの水域に流れ込むとともに汚染を広げ、有毒な藻類の大量発生、そして酸素欠乏した水域を出現させていると報告している。
ガイア理論を信じるかどうかにかかわらず、窒素酸化物とアンモニアの産出など、われわれ人類のこれまでの“悪行”は絶望の未来の予感を禁じ得ない。つまり、地球は結局のところ我々人類を滅ぼすつもりであり、その前段階として“後継者”にとって好ましい状況をもたらそうと変化を起こしているのではないか、という疑念が募るのだ。
天体物理学のアダム・フランクをはじめとする研究チームが2022年2月に「International Journal of Astrobiology」で発表した論文は、まさにこの問いに挑んでいる。
化石燃料の燃焼による人為的な地質学的変化は、現代社会である人新世を特徴づけるものであり、フランクらはこの産業活動が惑星規模の変化の原動力となっていると説明する。
ガイア理論に倣えば、我々の技術的進歩は地球上で起きているというよりも、地球全体が起こしているものであり、特定の種の進化ではなく、地球規模の進化であると言えるのだろう。
我々の技術的進歩が地球環境に利益をもたらす「成熟技術圏」に到達できれば、環境破壊と気候変動を終わらせることができるかもしれない。となれば、人類は滅亡せずに存続できるのだろう。
惑星規模の文明を維持するための転換点となる成熟技術圏への到達だが、宇宙のほかの先進的な知的生命体も同様の技術的転換を経験しているはずだとフランクらは述べている。そうであれば、技術文明の痕跡である“テクノシグネチャー”を通じて地球外生命体を発見し、彼らの先進技術を導入することで、地球を次の段階へと導くことができるのかもしれない。
もしかすると人類は、この地球のマスタープランの一翼を担わされた生物種なのかもしれない。ガイアによって我々人類は生かされており、技術的進歩の末に果たすべき“使命”を背負わされているとすれば、なおさら無様に滅亡するわけにはいかない。
【参考】
https://www.popularmechanics.com/science/environment/a64839297/gaia-hypothesis-consciousness/
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
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