元妻を苦しめるため霊能者の力を悪用!? スペインで恐怖のパラハラ(超常現象的嫌がらせ)被害が話題
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鉄器時代のイベリア半島のいくつかの集落では、切り落とした人間の頭に大きな釘を刺して貫き、外壁に打ち付けて飾る風習があった。そこにはどんな意味があったのか。最新の研究で「当初考えられていたよりも複雑だった」ことが示唆されている。
大富豪の邸宅にある応接間の壁には、これ見よがしに立派なツノを生やしたシカの頭蓋骨が飾られているイメージもあるが、(趣味の良し悪しはともかく)それは初めて訪れた客人の目を瞠らせるためのオブジェだろう。それを飾った屋敷の主には、訪れた客人に対して、たとえわずかであったにせよ何らかのインパクトを与えたい意図はあるはずだ。
しかし、もしもそれがシカではなく人間の頭蓋骨であったなら衝撃は計り知れない。ところが、驚くべきことにイベリア半島の先史時代の人々は人間の頭蓋骨を壁に釘で打ちつけて飾っていたことが遺跡の発掘から判明している。そこにはどんな意味があったのだろうか。
考古学者は、これらの頭蓋骨が討ち取った敵兵を“晒し首”にしたものなのか、あるいは地域社会の重要なメンバーを弔い崇めるためのものなのか長い間議論を続けてきた。
スペイン・バルセロナ自治大学をはじめとする合同研究チームが今年2月に学術誌「Journal of Archaeological Science: Reports」で発表した研究では、この風習には集落ごとに異なる意味があったことが示唆されている。やって来た部外者を威嚇する意味もあれば、偉大な先祖を崇める意味もあり、個別的にそれぞれ目的が違っていたというのだ。
研究チームが前提としたのは、頭蓋骨が“晒し首”にされた敵兵のものであれば余所者であり、崇拝されていた個人のものであれば地元民であるはずだという仮定である。そして、研究チームは紀元前1000年頃の釘が貫通した頭蓋骨7つ(いずれも男性)を詳しく調査した。
7つの頭蓋骨の発掘場所は2か所で、ウラストレット遺跡からは3つ、そこから約100キロほど離れたプーチ・カステラル遺跡からは4つが発見された。どちらも、紀元前3世紀末にローマ人が侵攻したときに放棄された集落があった場所である。
頭蓋骨をより詳しく調べるため、研究チームは生物考古学の技術と同位体分析を組み合わせ、頭蓋骨から回収した歯のエナメル質に含まれるストロンチウムと酸素の同位体を調べた。これにより、個人の食事に関する詳細を明らかにできる可能性が高まる。
また、研究チームは歯のエナメル質から発見されたデータと照合するため、遺跡付近で採取した堆積物と植物の詳細なサンプルも採取した。これにより科学者は彼らが食べた食物が地元産か、それとももっと遠くで栽培されたものかを判断でき、個人がどこから来たのかを推測できるのだ。
分析の結果、プーチ・カステラルで発見された4人のうち3人は、おそらくこの地域の住民ではなかったことが判明した。ウラストレットのものは、地元以外の者と地元の者が混在していた。
「この結果は、生首の習慣が各遺跡で異なる方法で行われていたことを示唆しており、統一的な意味合いがあったわけではないようです。しかし、確証を得るためにはさらなる研究が必要です」とバルセロナ自治大学のデ・ラ・フエンテ・セオアネ氏は説明する。
研究チームによると、プーチ・カステラルの頭蓋骨が集落の壁のような場所に展示されていた事実は、それらが権力と強制力の誇示として展示されていたと考えられるという。これは内部メンバーの抑圧と部外者集団への脅しの両方の目的を持っていた可能性がある。
ウラストレットでは、2人の地元住民の頭蓋骨が街の中心の通りで発見されている。これは彼らがその通り沿いの家の壁や玄関に頭蓋骨を飾っていたことを示唆しており、頭蓋骨がコミュニティの重要なメンバーのものだったという仮説を裏付けるものになる。3つめのウラストレットの頭蓋骨(おそらく余所者)は、集落の外壁の1つで発見されていることから、研究チームはこれが“晒し首”である可能性が高いと考えている。
このような差異は、鉄器時代の社会が考えられているよりも複雑かつ多様であったことを示すとともに、人類がイベリア半島北東部をどのように移動していたのか、新たな視点を提供するものとなっている。応接間にシカの頭蓋骨を飾る大富豪のように、飾ることの意図と目的はさまざまであったということだ。
【参考】
https://www.sciencealert.com/this-ancient-culture-drove-nails-into-skulls-we-may-finally-know-why
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
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