「金髪蒼眼の種族」が作ったアラスカ古代遺跡・イピウタクの謎! 独自の先進文化を誇った“白い巨人”の正体は?

文=仲田しんじ

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    最果ての酷寒地、アラスカで2000年前に栄えた後に消滅した謎の都市がある。今は遺跡だけが残るイピウタクにはいったい誰が暮らし、なぜ失われたのか――!?

    北極圏最大の遺跡イピウタク

     イピウタク遺跡は米アラスカ州北西部のポイント・ホープに位置する、北極圏のイヌイット地域最大の遺跡である。

     紀元前100~200年頃に勃興し、西暦800年頃に消滅したと考えられているイピウタクだが、その文化は全盛期にはベーリング海峡の南からブルックス山脈を越え、はるか北のポイントバローまで伝播していた。

    画像はYouTubeチャンネル「MRU INK」より

     イピウタクの歴史は謎に包まれており、その起源と住民に関するさまざまな情報が錯綜している。イピウタク遺跡では、この街が活気にあふれていた時代が垣間見える約1000点の遺物が発見されたが、考古学的および歴史的価値は依然として計り知れない。

     先進的な文化を誇ったイピウタクの住民たちは、約600軒の住居施設と広大な墓地が備わる格子状の古代都市を計画的に建設した。考古学者のフローリッヒ・レイニーは、イピウタクにはかつて数千人が暮らしていたと推定。その規模は、現在のアラスカ州の都市フェアバンクスの人口を上回っている。

     レイニーはイピウタクの文化について北極沿岸の既知のイヌイット文化よりも古く、おそらく東アジアに起源があると示唆している。つまり、イピウタクの住民は東アジアからやって来たというのだ。

     しかし、イヌイットの口頭伝承には(レイニーの説とは異なる)イピウタクの最初の住民に関する興味深い物語が存在する。それによると、この古代都市は金髪碧眼の種族によって建設されたというのだ。

     さらにイヌイットの伝説では、かつてイピウタクに住んでいたという「白い巨人」に関する話も伝わっている。「白い巨人」とはヴァイキングのことなのか、真相は依然として謎である。

    画像はYouTubeチャンネル「MRU INK」より

    洗練された芸術的工芸品の数々

     古代都市イピウタクには、洗練された建築と熟練した職人技術のほか、興味深い習慣や儀式も存在したことがわかっている。

     住民たちは、さまざまな道具を駆使して木・骨・石などに複雑な彫刻を施す技術を持っており、発見された彫刻品には、他の文化とは一線を画する独特のパターンが見られる。これらの彫刻の背後にある精神世界が考古学者や美術愛好家を魅了し続けているのだ。

     また、イピウタクでは5000を超える墓が発見され、弔いにまつわる文化も明らかになっている。いくつかの墓からは、人工の眼球を備えた古代の頭蓋骨、鳥の頭のような形をした鼻栓、デスマスク、さらには黒曜石の目をはめた小動物のミイラなどが出土しており、精神世界やシャーマニズムとの強いつながりが示唆されている。

    画像は「MRU」の記事より

    依然として謎に包まれたイピウタク文化

     果たして、イピウタクは知られざる古代北極文化の一つだったのだろうか? 石器時代の北極では、ダイナミックな文化的発展とその変遷があったことが次第に明らかになりつつある。

     最新の考古学において、北極の歴史は「古代石器時代(ancient Stone Age)」、「古イヌイット段階(paleo-Inuit stage)」、「新イヌイット段階(neo-Inuit stage)」という3つの時間軸に分類されている。

    画像はYouTubeチャンネル「MRU INK」より

     紀元前2000年より前から始まる古代石器時代。紀元前700年から紀元300年まで続いた古イヌイット段階。そして、紀元300年頃から始まる新イヌイット段階が現在まで続いている。そして、各ステージに独自の文化的特徴、技術の進歩、芸術的表現が存在するのだ。

     しかし、長年にわたる研究と発掘にもかかわらず、イピウタクの謎は未解決のままだ。この古代都市の「金髪蒼眼の住民」とは何者だったのか。そして彼らは、なぜこの地を捨て、どこへ行ったというのか。その起源とストーリーは、依然として神秘のヴェールに包まれている。

     イピウタクの謎に迫ることは、失われた文明の実態を解き明かすとともに、古代北極文化への理解を深めることにつながるのだろう。

    ※参考動画 YouTubeチャンネル「MRU INK」より

    【参考】
    https://mru.ink/ancient-city-of-ipiutak/

    仲田しんじ

    場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
    ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji

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