<体験談>修学旅行の真夜中、旅館のトイレの鏡に映った見知らぬ謎の女性
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◆大澤裕子 山口県宇部市
これは、知人のA子が修学旅行に行ったときの話です。
彼女たちが宿泊したのは歴史のある旅館でした。その旅館には新館と旧館があり、おおぜいいる生徒のうち何名かが旧館を使うように割りあてられたといいます。
旅館に到着したころには窓の外はすでに暗くなっていました。
A子が割りあてられたのは古めかしい旧館です。
旅館の人に連れられて旧館の部屋に通された際、A子はなんとなく嫌な気配を感じたといいます。
具体的に挙げると、まず部屋全体が湿っぽかったそうです。さらに、鼻を突きさすようなすえた臭いが部屋一面に広がっていたともいっていました。
しかし、しばらくするとそんなことも忘れ、皆で怪談話をしたり、枕投げやトランプのババ抜き・神経衰弱などをして、修学旅行の夜を楽しく過ごしたといいます。
夜12時をまわったころには、昼間の疲れが出たのでしょう、皆、眠ってしまったそうです。
トイレに行きたくなり、ふと目覚めたA子は、寝ている皆を起こしてはいけないと思い、そっと布団から抜けだしました。そして足音を忍ばせながら部屋の外にあるトイレに向かいました。
新館は洋式のトイレですが、旧館は和式のトイレ。そばには小さな洗面台があります。
また、鉄筋造りの新館とは異なり旧館は木造のため、風が吹くたびミシッという音が鳴ります。この音が恐怖や不安を抱かせるのです。
トイレの中には個室が3つ。A子は向かって一番右端の個室に入りました。
用をすませ、個室から出て、洗面台の水道のレバーに手をかけたそのときです。
自分の手が何ものかにがっしりと
つかまれました。触れた瞬間は女性のような柔らかい感触でしたが、ものすごい強い力だったといいます。
しかし、トイレの中にはA子以外、だれもいません。
“気のせいに違いない”
そう自分にいいきかせ、手を洗いながら鏡を覗こうとした瞬間です。なんと鏡に見知らぬ女性の姿が映っていたというのです! !
恐怖に包まれたA子は、一目散にトイレから飛びだしかと思うと、それまで寝ていた部屋を目指して猛ダッシュしたそうです。
さらに恐ろしいことに、A子の後方からスリッパのパタパタと走る足音が響いてくるではないですか!
その足音は旧館中に響きわたっていたといいます。
部屋に戻ってからも震えが止まりません。頭から布団を被り、体を丸めて息を潜めるA子。しかし、いつしか眠りについていたそうです。
翌朝になり、夜中の出来事は夢だったのだと、自分にいいきかせたそうです。自分の手につかまれた手形を見つけるまでは……。それを目にした瞬間、再び震えが止まらなくなったといいます。
(本投稿は月刊『ムー』2025年11月号より転載したものです)
<編集部より>
学校の怪談ならぬ、旅館の怪談。湿っぽい場所に出るという「幽霊あるある」にも通じます。
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