<体験談>突然、叫びだしたあの男性は生きた人間ではなく霊だった
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◆大木ちあき/愛知県
これは、今年4月のある平日の昼前の出来事です。
普段、私はあまり外出をしません。
この日、久しぶりに街に出た私は、ついでに精神世界の本を多く取りあつかっている大手の本屋さんに行こうと思いたちました。
地下鉄を降りて、ようやく目的の本屋さんの入り口の前まで来たときのことです。
突然、細身で眼鏡をかけた50代と思われる男性が視界に現れました。そして徐々にこちらに向かって近づいてきます。そのまま私の目をまっすぐジーッと見つめて、
「自主的に自殺したんだ!」
と、いきなり大声で叫んだのです。なんと私の目の前で。
見ずしらずの人に、突然、大声でそんなことをいわれた私は、当然ながら驚きました。同時に、
“もしかしたら自分の後ろにだれかいて、その人に向かって話しかけたのだろうか?”
そう思い、すぐ後ろを振りむいてみましたが、だれもいません。
直後、その男性は何ごともなかったかのように私とすれちがい、スタスタと歩いていってしました。
私にはわけがわかりません。そうかといってその場に立ちつくしたままでは通行の邪魔になります。
とりあえず目の前の本屋さんの入り口のドアを開けると同時に、再度、後ろを振りかえってみました。
どういうことでしょう、なんとその男性は跡形もなく消えうせてしまっていたのです! !
時間の経過は2秒ほど。そのわずかな時間で男性が姿をくらませるなど考えられません。
とはいえ、そのときの私は、
“何やら奇妙だな”
そんな程度に思ったくらいで、それ以上は気に留めませんでした。
用事をすませ、本屋さんを出てすぐのことです。偶然、古くからの友人と遭遇しました。
近況報告などを話しあったのち、ついでと思い、今しがた起こった奇妙な話をしてみました。
すると、
「ついにあんたも見えるようになったんやね」
と、やたら神妙な顔でいわれてしまいました。
友人がいうには、
「私の仕事のお客様に“見える”人がいてね、ときどき霊について話してくれるんだ。よく幽霊には足がないっていうけれど、嘘。足もちゃんとあるっていってた。つまり霊はふつうの人となんら変わらないそう」
とのことでした。
私が見た男性も、どこにでもいるふつうの人間となんら変わりありませんでした。足もありましたし、スタスタと歩いていました。だからこそ、あのときまさかあの男性が霊などとは思わなかったのです。
自分は若いときからときどき予知夢を見ていました。そのため夢で見た出来事と同じことが起こることは今までに何回も経験しています。しかし、霊と遭遇した体験は今回が初めてでした。
これは都心での出来事です。
“もしかすると、あの霊は高層ビルから飛びおり自殺した人の地縛霊なのではないだろうか?”
などと、あとでいろいろ考えてしまいました。
今、思いだしても本当に不思議で奇妙な体験でした。
(本投稿は月刊『ムー』2025年8月号より転載したものです)
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