〈体験談〉何があっても避けるべきだった家相の悪い部屋

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◆ロウザ

 十数年前に住んでいたマンションの家相が「何があっても避けるべき」とされている、真東に水場が集中した間取りでした。おまけに仕事運や出世運を司る北西が〝欠け〟になっています。

 その建物は、貸室ごとに作りが違い、同じマンション内で家相が悪い間取りなのは、うちの部屋が位置する角部屋の縦1列(3階建の3世帯)のみです。

 東南向きにもかかわらず、明るい雰囲気はなく、東側に風呂や台所が並んでいるせいか、ジメジメとして、どんよりした無気味さがありました。

 入居時、うち(3階)の階下である2階のみ先住の方がいらっしゃったのですが(1階は空き部屋)、ある日、とんでもない量の家財道具をゴミ置き場に山積みにして出て行かれたのです。「終活」や「断捨離」の概念がないころで、夜逃げしたのかと思える異様さでした。

 そのとき、真っ先に頭に浮かんだのが、〝家相による影響〟で、「明日はわが身」なのでは……という、嫌な予感を抱かずにはいられませんでした。

 その予感が的中したのは、数か月後のこと。

 主人が車の事故に巻き込まれて、ドライバーの職を失いました。それにより、3DKから1Kに引越しするため、大きな家具はすべて捨てていくハメに。粗大ゴミ置き場の6畳分ほどを重なり合って埋め尽くすタンスや本棚や机やカウチ画、下の階の住人が越していったときの情景を思い起こさせます。

「偶然」といってしまえばそれまでですが、悪い家相はだれが住んでも同じような方向へ引き寄せられてしまうのだろうかと考えさせられた事例でした。

(本投稿は月刊『ムー』2025年6月号より転載したものです)

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