〈体験談〉無気味な視線と目が合った妙なビデオ
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◆澄幻
ずっと以前のことなので「今さら……」という気持ちでもあります。しかし、自分の内部では答えを見出せずわからないので、ちょっと書いてみましょう。
今でも無気味に思われることです。私はレンタルビデオで、沖縄に関したドキュメンタリー映画を借りました。そして夜、ひとりで観始めたのです。
夏のころでした。ドキュメンタリーなので、ふつうの映画とは異なります。沖縄の一般人が登場します。結構、興味深い内容ですので、私は注視しておりました。
すると、どのくらい時間がたったときでしょう、急に画面が白やら灰色の浴衣のような着物をだらしなく着た、妙な雰囲気の人たちの行列の場面になりました。
私は悪寒を感じつつ、「この人たちは何か変だ。まるで幽霊のようだ」と思ったのです。
その瞬間、ひとりの、まるで美しくもない女の視線が、まとものに私の視線と交錯したのです。その眼光は尋常ではありません。
しかもその女は笑っていたのです。私は「やられた!」と思いました。その視線に意識が妙になり、なんとかやっとビデオを消しました。
「なんだ、気味の悪い……」
そのまま体を横にするほど疲れ、ただ、あの女の視線のことを想起していました。また、忘れようにも忘れられない無気味さが迫ってきます。
そして、その後日、「対決しよう、今度はあの女の視線には負けない」と自らにいい聞かせて、また例のドキュメンタリー映画を観ました。
しかし、今度は亡者(?)だの幽霊(?)だのの行列はまるで映りません。
数日後、私は2〜3回、そのビデオを観て確認しましたが、どのときも映らなかったのです。
いったい、どういうことなのか、今でも不思議に思うのです。なんだかわかりません。
(本投稿は月刊『ムー』2025年6月号より転載したものです)
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