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<体験談>亡くなった母が四十九日の忌明けまで父のもとを訪れていた

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◆長沢陽子/埼玉県桶川市

 昨年12月、母が亡くなりました。享年86歳。
 生前、さまざまな病気で入退院を繰りかえした母。辛い闘病時期はあったものの家族から愛された母は幸せだったと思います。また、子供ながらに両親の夫婦愛は羨むほどでした。
 そんなこともあり、母が亡くなったあとの父の落胆ぶりは相当なものでした。食欲が出ず、風呂にも入らず、布団から出てきません。このまま憔しょう悴すいしてしまうのではないかと不安に思っていた矢先、徐々に明るい兆しが見えはじめました。
 同時に、こんなことを口にするようになったのです。
「お母さんがかわいい顔をして笑ってたよ」
「お母さんに、ご飯食べてねっていわれちゃったよ」
 現在、92歳の父。当初は痴呆が出てきたのかと危惧しましたが、だんだんそうではないと思えるようになってきました。今は確信しています。母は父の元に本当に来ていたのだと。
 母の四十九日を過ぎたころからでしょうか、次第に父の口からその手の話が出なくなりました。父の状態が一段落し、安心した母は、無事に成仏したのかもしれません。

(本投稿は月刊『ムー』2025年6月号より転載したものです)

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