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<体験談>電車の中で殺された被害者が今も車内をさまよっている!?

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◆大日
 これは、12年前、私が電車通勤をしていたときに体験した話です。
 その日、私は残業で遅くなり、急いで終電に駆けこみました。
 車内はガラガラに空いていて、他の乗客はみな眠りこけています。仕事で疲弊していた私も、やがて眠ってしまいました。
 どのくらい眠ったころでしょう。ハッと目覚めると、私の隣の席にひとりの痩せた中年男性が座っています。見れば、その男性がブルブルと震えているではないですか。
 妙に気になり、私は自然と声をかけていました。
「大丈夫ですか?」
 男性が気だるそうに顔を上げ、私を見つめました。
 その瞬間、私は思わず息を飲みこみました。男性の顔は、血の気が引き、真っ青だったのです。
 そのとき、ふと、どこかで見覚えのある顔だと思いました。でも、思いだすことができません。
 男性は、無言で再び顔を伏せてしまいました。
 心配しながら、よくよく男性を観察するうちに、わが目を疑いました。男性が着ているコートの裾から、血がポタポタと滴っています。
「うわあ―― ! !」
 私は大声で叫びました。なんと男性の胸のあたりにナイフが刺さっていたのです。
「帰らなくちゃ……」
 男性がつぶやきました。
 そのとき、ちょうど電車が駅に停まり、男性はよろよろとしながら外に出ていきました。
 あわててあとを追ったところ、ちょうどそこに駅員さんが立っていました。
「胸にナイフが突きささった男性が私の隣に座っていて、たった今、この駅で降りました! !」
 興奮のあまり、しどろもどろに説明する私を前に、駅員は不思議そうな顔をしています。
「そんな人、電車から降りてきませんでしたよ」
 どんなに必死に訴えたところで、信じてもらえません。
 仕方なくホームを見まわし、駅員に知らせるために、先ほどの中年男性の姿を捜しました。
 ところが、どこにもあの男性の姿がありません。
 電車の中で眠りこけてしまったときに、もしかすると私は夢でも見たのでしょうか?
 そんなことを考えながら、ふと目にした掲示板に貼ってあった掲示物を見た途端、ガクガクと震えが止まらなくなりました。
「目撃者はいませんか」
 そう書かれた見出しとともに、私が目撃したあの中年男性の写真が載っていたのです! !
 徐々に思いだしました。2か月ほど前のこと、最終電車で帰宅途中だったサラリーマンが、車内で酔っぱらいに絡まれて口論となり、ナイフで刺されて死亡したことを。
 私の記憶によると、犯人はまだ捕まっていません。
 わが家を目前にしながら、突然、命を奪われた男性の無念はいかほどでしょう。
 あの男性は、成仏することができずに、今もあのようにさまよいつづけているのでしょうか?
 私はそれ以降、どんなに残業しても、終電には乗るまいと心に決めました。

<編集部より>
 体力が落ちてるときなどは霊的なものとシンクロしやすかったり、時間帯でも常世とつながりそうなのかも。ご注意ください……

(本投稿は月刊『ムー』2025年4月号より転載したものです)

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