◆坂本まゆみ　愛知県

　知人のＫさんから聞いた話です。
　Ｋさんは、以前、車の中古車販売の会社で働いていました。販売されている車の中には事故車もあり、それをきれいに清掃し、修理して販売するそうです。
　ある日、Ｋさんは、社長命令でとある山の中へ車を引きとりにいきました。崖下にその車は落ちていて、見る影もありません。運転していた人は亡くなり、車の中は血だらけで、とても生々しかったそうです。
　清掃と修理を終え、他の中古車といっしょに並べたある夜のことです。帰宅しようとしたＫさんは、例の車の運転席に血だらけの男性が座っているのを見てしまいました。
　社長へそのことを伝え、車をお祓はらいしたほうがいいのではと進言するも、社長は取りあってくれません。それどころかパワハラまがいの行為もあって、Ｋさんは会社を辞めました。
　しばらくして、そこの会社の社長が亡くなりました。死因は事故死。あの事故車が売れたので、社長自ら納車に行く途中、事故に遭い、亡くなったそうです。

（本投稿は月刊『ムー』2025年3月号より転載したものです）

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