弥生時代の美女と事務所をシェアする生活!?/死者と語る人々-File02:小林世征

文=文月ゆう

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    死者の姿が見える。死者と語りあうことができる——そんな能力を持つ方々に話をうかがい、「向こう側」の世界をかいまみる第2弾。今回ご登場いただくのは、「エスパー小林」こと小林世征氏。除霊、予知、特異気功(ヒーリング)など、オールマイティーな能力を発揮して、各界にファンを持つ。

    霊を見るときはスイッチを「オン」にする

     小林世征(こばやし・としまさ)氏は、各界の人々から頼りにされている。チラリと話を聞いただけでも、芸能界、政財界、スポーツ界、伝統芸能や医療の分野など、さまざまなスペシャリストが顧客だ。たとえば、ある精神科医は、患者の症状が精神の病ゆえか、憑依によるものなのか、ときおり小林氏に鑑定を依頼してくるという。
     ちなみに、「ムー」2022年2月号の特別企画「大予言2022」では「(戦争については)ウクライナあたりが危ない」「政治家が狙撃される」と、この年の大きなトピックを的中させて話題となった。
    
     そんな小林氏の眼に、死者の霊はどのように映っているのだろう。そもそも、四六時中、霊が見えているのか?
    「いつもはスイッチを切っていて、オンにしたときだけ見えるようにコントロールしています」
     スイッチを入れるとき、小林氏は軽く目を閉じて、独特の呼吸を何度か繰り返す。それが終わると「オン」の状態になる。このとき、見る人が見れば、小林氏の体が少し透けているように見えるそうだ。
    目を閉じ、独特の呼吸をしてスイッチを「オン」にする小林世征氏。
     霊の見え方については「空を飛んでいる鳥のようなもの」とのこと。
    「鳥が飛んでいるのを見ると、ああ、飛んでるな、と思うでしょ? パッと見ただけでは、何が飛んでいるかまではわからない。でも、注意を向けてよく見ると、ハトだな、とかカラスだな、とかわかってくるじゃない。死者の霊を見るときも、そんな感じです」
     なるほど。通りすがりの人を見るときと同じようなものかもしれない。人が歩いているな、とは思うものの、だれなのかはわからない。だれだろう、と思って顔を見たとき、知り合いならそれとわかる、という感じだろうか。

    ドイツでルードヴィヒ2世の霊に遭遇!

     これまで見たなかで印象に残っているのは、ドイツ旅行のときに遭遇した霊だという。
    「ノイシュヴァンシュタイン城へ行ったときに、王座の横にルードヴィヒ2世が立っていました」
     若いころは美貌に恵まれ、多くの画家の題材になった人物だが、死因は明らかではない。
    「あなたは自殺したのか、と尋ねたら、『余は自殺などしておらん』と何度もいうから、ああ、そうなんだ、と思いました。残っている肖像画より少し貧弱で、顔が青白いように感じました」
    ドイツのバイエルン州にあるノイヒヴァンシュタイン城。
    美貌を謳われ、多くの画家によって描かれたルードヴィヒ2世。
     じつは今回、死者との対話についてお聞きしたいという旨を伝えたところ、「口寄せ的なことは原則としてやらないんですよ」という答えが返ってきた。その心は?
    「死者の声を聞いて伝えることはできますが、そうすると、たいていの人がワンワン泣くんです。それで、亡くなった方のことをドドーッと話される。そういう状況が少し辛くてね」
     それはなんとなく理解できる。というのも、これは小林氏との短からぬお付き合いの中で感じていることだが、小林氏は、しみじみ、しっとり、というより、エイッ、ヤッ、トーッ!! という雰囲気の方なのだ。つまり、霊に関していえば、除霊のスペシャリストなのである。
     とはいえ、もちろん例外はある。
    「まだ幼いお子さんを亡くされたご夫婦が訪ねてこられたことがあります。詳細は忘れてしまったのですが、ご家族しか知らないことを私が語ったようで、確かにお子さんの霊がコンタクトしていると、満足してお帰りになりました。じつは、お子さんにも生前、会っているんです。難しい病気で亡くなったのですが、その病気のことを的確に言い当てていたらしい。これもよく覚えていないのですけれど(苦笑)。ただ、そういうことがあったから、私を信頼してくださったようです」

    ほとんどの霊が逃げだすが、現在は女性の霊が一緒!

     見える人のところには霊が寄ってくると聞くが、小林氏の場合はどうなのだろう。
    「来ませんね。来るとしても、1000体に1体くらいかな。私に近づくとヤバイということが、向こうもわかるはずですから」
     じつは小林氏は、虫除けならぬ幽霊除けを自分自身に施している。
    「燻煙式の殺虫剤を焚くと、虫が来なくなるでしょ。それと同じようなものだと思ってください」
     それもあって、死者の霊の多くは小林氏が来ると逃げだすそうだ。
    「除霊を依頼されて現場へ行っても、私が来る前に逃げてしまうことが多いんです。でも、私がいなくなるとまた戻って来る可能性が高いから、相談者やそのお宅に幽霊除けをします。そうすれば、二度と来ません」
     運悪く小林氏と顔を合わせることになった霊は、とりあえず小林氏から退去勧告を受ける。
    「この人、嫌がってるじゃない。出ていきなさいよ、といいます」
     それでも出ていかなければ、小林氏によって強制的に退去させられる。その方法はケースバイケースで、「上」に上げてしまうこともあれば、通り道を脇にズラすこともあるという。
    
     そんな小林氏だが、なんと現在、女性の霊と事務所をシェア(?)しているそうだ。
     きっかけは、毎年恒例となっている黒又山のツアーだ。数年前のことだが、ツアー参加者とともに現地を訪れた小林氏は、黒又山の頂上付近で古代の祠と、そこで人々を癒していた女性の霊を見た。弥生時代あたりの霊で、タレントのローラに似た美女だったという。
    「なんの気なしに『来る?』と聞いたら、来るというので、連れてきました。今ここ(小林氏の事務所)にいます」
     女性の霊は、いったい何をして過ごしているのか?
    「何ということはありませんが、私がヒーリングをしていると、面白そうに見ています。どうも、そっちの能力が相当高い人だったみたい。私のやり方とはまったく違うやり方を知っていて、それを教えてくれたりしますが、まあ、やり慣れた方法のほうが使い勝手がいいので、彼女のやり方を取り入れたりはしません」
     ぜひその女性の霊を描いてほしいとお願いすると、「絵、苦手なんだよな……」といいながら描いてくださった。件の霊が後ろで見守り、「私はもっときれい!」などとクレームをつけていたらしい。
     彼女が事務所に来てからは、年に1回、小林氏が黒又山へ行くときについて(憑いて?)いき、里帰りをしていたそうだ。ところが今年、黒又山へ行ったとき、同じ場所で母親の霊に遭遇し、母親も小林氏の事務所へ来ることになったという。
    「一緒にいられるようになって、喜んでいますよ」
     もしこの記事をお読みになった方が、小林氏の事務所へ行くことになったら、ぜひ周辺の空間をよく見てほしい。ローラによく似た美女の姿が見えるかもしれない。
    秋田県鹿角市の黒又山。古代のピラミッドとの噂もある。
    小林氏が描いた、弥生時代の女性の霊。貫頭衣を着て、首飾りをつけている。

    文月ゆう

    ムー的ライター。とくにスピリチュアリズム方面が好物。物心つくかつかないかという年齢のころから「死」への恐怖があり、それを克服しようとあれこれ調べているうちにオカルトの沼にはまって現在に至る。

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