再び現れた「ハンドル犬」の話など/南山宏のちょっと不思議な話

文=南山宏 絵=下谷二助

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    「ムー」誌上で最長の連載「ちょっと不思議な話」をウェブでもご紹介。今回は2026年2月号、第502回目の内容です。

    スパイの正体

     オランダはボクステル署の警察官Hは、所属国籍不明の怪しいスパイ気球を発見し、ただちに追跡にかかって、パトカーを数キロ走らせたものの、どうしても距離を詰められずに焦るうちに——ハタと気がついた。

     それは実際にはフロントガラスに付着した鳩の糞だった!

    卵からコイン

     米テキサス州ガーランドのジェニファー・フォールさんは、自宅の飼い鶏の卵をおすそ分けした隣人から、驚きの報告を受けた。

     卵の1個から1セント銅貨が出てきたというのだ! 卵の内側には、銅貨の跡までついていた。

     業界誌「裏庭養鶏」は、ぼやく。

    「自然は人知の遥かに及ばぬ驚異を秘めている。ただ、鶏はあまり賢くないので、何でも呑み込んでしまうのが困りものだが——」

    糸電話話世界記録

     糸電話や針金電話を子供のころに作って遊んだ、懐かしい思い出がある人も数多いことだろう。

     このほど英国デヴォン州シドマス在住の物理学者ジョン・ヘムズ氏は、ブリキ缶2個と長い糸で作った糸電話で、世界最長距離交信記録の樹立(自称)に成功した!

     へムズ氏の装置は、ヨーグルトポット2個と長さ374メートルの撚り糸から成り、同州コンノート庭園の見晴らしのいい展望台から、シドマス大遊歩道上のベドフォード階段まで架け渡され、へムズ氏はその階段上で、同僚ジョージ・リトルジョン博士の次のような声をつつがなく聞きとった。

    「こちらはシドマス科学フェスティヴァル、たった今、ブリキ缶による糸電話世界記録を見事に達成しました!」

    クックパインの怪

     クックパインは太平洋諸島のニューカレドニア原産のナンヨウスギ科の常緑高木で、その名は発見者キャプテン・クック(18世紀大英帝国の軍人探検家)に因む。

     観賞用観葉植物として世界中に植樹され、愛好者たちに親しまれているこの植物には、じつはただ一点、だれにも説明できない摩訶不思議な特徴がある。

     原産地ニューカレドニア以外のすべての植樹地に生育するクックパインが、決して垂直方向には育たず、傾斜角度にバラツキこそあるものの、なぜか必ず特定の方角に向かって傾斜しているのだ!

     カリフォルニア植物園のマット・リッター園長は証言する。

    「原産地以外で成長するこの種類の植物は、なぜか成長するにつれて著しく傾斜する不思議な性質があるので、この植物を識別する便利な特徴として使われるほどだ」

     リッターはクックパインを調査して、自分が今研究しているすべてのクックパインが、一致して同じ方角すなわち南方に傾斜しているように見えることを発見した。

     そこでリッターと研究チームのメンバーはさらに調査を進めた。

     五大陸にまたがって緯度の異なるクックパイン256本を測定したところ、場所がどこであろうとどのクックパインもすべて、赤道の方角に向かって傾斜している事実を発見したのだ!

     北半球ではクックパインはすべて南に傾き、南半球ではクックパインはすべて北に傾いていた。

     研究者たちはクックパインが平均して8・05度、赤道に向かって傾いているが、その傾きは赤道から離れるほど強くなること、またクックパインの9パーセント前後は、予想したほどは傾斜していないことを発見した。

     植物が成長する方向は、太陽光の多寡、風雨、周辺の植物相、重力などの環境的要素に大きく左右されるが、クックパインはこれまで発見された植物の中では唯一、一貫して地理的方角だけを意識して傾斜している。

     リッターはこう結論する。

    「クックパインという植物は、われわれがまだよく理解できていないやり方で、彼らの地球的環境に順応しているのだろう」

    吠えるサスクワッチ

     〝ダン某〟とだけ名乗る人物から、ユーチューブ・チャンネルの「スモーキー・サスクワッチ・ストーリーズ」宛てに1本のビデオ画像が送られてきた。

     そこには米太平洋沿岸の大森林地帯で、ダンが〝サスカッチ〟(ビッグフットに対する先住民の呼び名)に遭遇。何かを投げつけられて負傷し、ビデオカメラを地上に落とした瞬間が写っていた。

     ダンは次のように証言する。

    「私が記録ボタンを押した直後、何かが頭に当たった——恐らく石ころだったと思う。次に気がついたら、病院のベッドにいた」

     ただし「デイリースター」紙2024年3月5日付によれば、残念ながらダン氏が落としたカメラには、森林以外何も写っていなかったが、ただカメラが地上にぶつかった瞬間に「グオーッ」という何やら恐ろし気な吠え声が録音されていたという。

    ハンドル犬

    「犬がハンドルを握って走っている車がいます!」

     本欄で以前もお伝えした〝運転犬〟が、今度は中欧スロヴァキアはブラティスラヴァ市近郊のステルーシーにも出現した。

     複数の目撃者の通報を(そんなバカな話あるわけない)と信じなかった警官も、いざ現場に急行して実際に当の乗用車を目の当たりにすると仰天した。

     中年男性の両膝の上に座った茶褐色の大きな猟犬が、車のハンドルに両足をかけて走っていたのだ!

     停車させて調べると、飼い主の男は助手席に乗せていた愛犬が、運転席に座る飼い主の両膝に、走行中に突然割り込んできたのでびっくりしたと弁明した。

     だが、ドライブレコーダーをチェックすると、事実はまったく逆で、飼い主のほうが走行中に愛犬を引き寄せ、膝の上に乗せたままハンドルに両手をかけさせてしばらく走行させる様子が、はっきり映っていた! 

     2023年9月30日付の「BBCニュース」によれば、当地の警察は車の運転者に対して罰金を科したが、それが運転中にハンドルから手を放したからか、動物にハンドルを任せたからかは明らかにしなかった。

    南山宏

    作家、翻訳家。怪奇現象研究家。「ムー」にて連載「ちょっと不思議な話」「南山宏の綺想科学論」を連載。

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