青森キリスト墓を発掘調査! 小説「遺跡発掘師は笑わない キリストの土偶」
あの青森県新郷村を舞台にしたムー的トレジャーハント小説!
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1993年から約6年間にわたって『週刊少年ジャンプ』で連載され、累計2500万部を突破する大ヒット作品となった漫画『地獄先生ぬ~べ~』。 主人公の小学校教師・鵺野鳴介が霊能力を駆使して霊や妖怪から生徒を守るストーリーはもちろんだが、作中の霊や妖怪のリアルな描写は少年たちにトラウマを植え付けるほど話題を呼び、今もSNSでたびたび話題になるほど。世代を超えて読み継がれている名作であり、現在は第3シーズン『地獄先生ぬ~べ~S』が最強ジャンプで連載中だ。 そこで、今回は原作者・真倉翔先生と、作画担当の岡野剛先生にインタビューを敢行! 知られざる創作秘話を存分に語っていただいた。2人とも「霊感が無いからこそ描けた作品」と語るが、連載開始とともに、岡野氏のアシスタントが数々の恐怖体験を味わうことになる……。
――『地獄先生ぬ~べ~』には、妖怪や幽霊はもちろんですが、都市伝説や神秘体験など、「ムー」的なオカルトネタがたくさん登場します。真倉先生と岡野先生は、「ムー」を読んだことはございますか?
真倉:『ぬ~べ~』の原作を担当しているにもかかわらず、私はそこまでオカルトに興味がありません(笑)。ただ、「ムー」は学生時代に買っていましたし、『ぬ~べ~』の連載を始める前に、資料として別冊などを買ったりしていますよ。
岡野:実は……読んだことがないんです(笑)。
――なんと(笑)! 私の勝手な思い込みで、熱心な読者だったりするのかな、と思っていました。
岡野:僕は真倉先生と違ってオカルトにはまったことがありますが、小学生の頃で、1970年代前半。「ムー」の創刊前だったんです。そのかわり、「科学と学習」に載っていたUFOや超能力の特集を読んでいました。
真倉:「ムー」が出たのって、70年代後半ですよね。あの頃はスプーン曲げなどの超能力ブームがありました。野球漫画の『ドカベン』にも超能力を使うチームが出てきたくらい、空前のブームだったんです。
岡野:『Gメン’75』という刑事ドラマにも超能力が出ていましたよ。
真倉:70年代から90年代はじめくらいまでは、テレビでも普通に「ムー」っぽいネタが放送されていたよね。
――確かに、90年代くらいまでは一種のエンタメとして、オカルトが身近な存在でしたよね。そんなブーム真っただ中の1993年に、『地獄先生ぬ~べ~』の連載が始まります。どういう経緯で企画を立ち上げたんですか?
真倉:90年代はじめごろ、担当編集の佐々木尚さん(※)が持ってきた企画が発端です。はじめは、ガキ大将みたいな大人が主人公の話を考えたんだけど、ちょっとかっこよくないな~と思えてきて。でも、学校の先生だったら子どもの中にいてもかっこいい。そこで、先生が主人公の漫画を考えたのですが、紆余曲折あって一度立ち消えになっちゃうんです(笑)。
(※脚注)佐々木尚さん…後の『週刊少年ジャンプ』9代目編集長。
真倉:すると、佐々木さんが今度は織田無道さんのビデオを持ってきて、「次は霊能力だ!」「除霊だ!」と話してきたんです。“先生”と“霊能力”、この2つの要素を合体させたキャラが『ぬ~べ~』なんですよ。
岡野:90年代前半は、『幽☆遊☆白書』の影響で、ジャンプの新人賞は応募作品が霊能力ものばかりだったらしいんです。そんな中で、僕は真倉先生から“先生が霊能力を使って子供たちを守る”という設定を聞いて、「これは新しい!」って、驚きましたよ。
真倉:妖怪やUMAの知識も、企画が動き出してから勉強しました。神保町の本屋に毎日のように通っては、本を買い漁って調べたんですよ。その中に「ムー」の別冊もありましたね(笑)。面白そうなところに付箋を貼って、アイディアを練った思い出があります。
――なるほど。お二人はこうした作品を描いておられるわけですが、妖怪や霊を見たとか、神秘体験をしたとか、実体験はおありでしょうか。
真倉:実は私、霊感がまったくないんですよ。
岡野:僕もなんです。といいますか、霊感があったら、こういう内容の漫画は怖くて描けませんね(笑)。
――そうなんですか!? でも、岡野先生は『ぬ~べ~』の連載が始まってから、いくつか恐怖体験をした……とコミックスに書かれていましたが。
岡野:いや~……それはですね、アシスタントの中に、ものすごく霊感の強い人がいまして。後に『週刊少年ジャンプ』の連載作家になった浅美裕子先生なんですけれど。連載が始まったばかりの頃、彼女から突然、「大きな顔の女の人が仕事場の窓にへばりついているのに、なんで気づかないんですか?」と言われたんです。
――「大首」とか「八尺様」みたいですね……。
岡野:ぞっとしますよね。そして、驚くことに、浅美先生は自宅でも霊を見るというんです。“動き回る足だけの霊”を見たこともあるのだとか。そこで、興味本位で彼女の家に行ったことがあるんですが、僕がいる間は何も起きなかった。ところが、僕が帰った後に家の中で“パチーン!”という音が鳴りだしたと言っていました。あと、もう1人の方は、霊感が強い漫画家さんと僕のアシスタントを掛け持ちしていたんです。『ぬ~べ~』の仕事の後にその先生の仕事場に行ったら、「あ、あなた、(妖怪を)連れてきちゃったね」と言われたとか。餓鬼のような小さな鬼が、体に憑いていたんですって。
――当時の仕事場はどんな場所にあったんですか? 曰く付きの場所だったりするとか…
岡野:木造2階建ての古めかしいアパートの1階でした。建物の造り自体は普通なんですけれど、建っているのが道のどんづまりなんです。風水的には一番問題がある、霊気が溜まっちゃう場所らしくて。さらに調べてみたら、用地買収ができず、道路をふさぐ形でアパートが立っている、まさに曰く付きの物件でした。
――そのアパートで仕事をしたのは、どのくらいの期間でしたか?
岡野:1年半ぐらいかな。でも、その間、本当に僕は何も見ていないんです。だけど、アシスタントの皆さんが怖がっちゃって。朝起きて仕事場に行ったら、部屋の四隅に盛り塩がしてあったこともありましたよ。ちなみにその後、アパートは取り壊されて、現在は道路が通っています。
真倉:でも、岡野先生の職場で霊や妖怪が出てくれて、私としては良かった(笑)。すぐに漫画のネタにしましたからね。“おとないさん”という、夜な夜な部屋を通り過ぎていく妖怪です。これは、浅美先生から聞いた話をそのまま使っています。
――場所の影響もありそうですが、ひょっとするとアシスタントが霊を呼んでいたりしませんかね。
岡野:今思えば、浅美先生がすべての元凶ですね(笑)。そして、浅美先生が連れてきたアシスタントも神社の巫女さんをやっている人だったり、一癖も二癖もある人ばかりでした。
真倉:そうなんだ。私は連載中に何もなかったけどね。部屋にお札を貼っていたからかな(笑)。
岡野:え~っ、真倉先生、そんなことまでしていたんですか。僕は何もしなかったからダメだったんでしょうかね。
――真倉先生は連載開始前、入念に準備をされたんですね。
真倉:映画で“お岩さん”を演じると、祟られるというジンクスを知りませんか? それと同じで、漫画で“鬼”を描くのはよくないというジンクスもあったんです。発端は、永井豪先生が『手天童子』という漫画を描いたとき、大変な思いをしたためらしいんですが。
岡野:僕もそれ、聞いたことがあります。
真倉:『ぬ~べ~』には、もろに鬼が出てくるじゃないですか(笑)。しかも主人公の必殺技が“鬼の手”を使った攻撃でもある。そもそも妖怪を退治する漫画だから、用心深くなりますよね。だから、連載が始まる前に神社にお祓いに行ったし、連載が一区切りしたときにも行ったかな。
岡野:真倉先生、それは一緒に行ってほしかったですよ(笑)。
――『ぬ~べ~』には先生たちが考案した妖怪も出てきますよね。
真倉:有名な妖怪の話の間に、オリジナルの妖怪を混ぜたりして、工夫していました。有名な都市伝説をもとに創作した“A”のような怪人もいます。週刊連載は次のアイディアを考えるまでに時間がないので、怖い話を聞いたらすぐにネタにしていましたね。
――『ジャンプ』と言えばアンケートで連載継続や打ち切りが決まるシステムが有名ですが、読者人気を意識して原作を考えることもあるんですか。
真倉:もちろんです。『ぬ~べ~』は1話目から2話目は、アンケートの順位が1桁台で割とよかったんです。ところが2話以降で2桁台に落ちちゃった。人気を上げるために、読者の関心が高そうな“学校の七不思議”をテーマにした話を考えたんですが、“河童”が出てきた6話で1ケタ台に戻ったんですけどね。この話、ぬ~べ~が河童を倒さないんです。ヒーローなのにこれでいいのかなと思ったんだけれど、読者はこれまでのヒーローの枠にとらわれない、型破りを望んでいるんだなとわかりました。
岡野:その後もいい意味で読者の期待を裏切り続けたことが、連載が長く続いた理由なのかもしれませんね。
後編に続く
webムー編集部
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