観相術の決定版「完全図解 東洋観相秘占」で全身から運勢を読む!
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「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。
菅原正子 著
科学万能の現代においてすら、人々の生活に欠かせぬものでありつづける「占い」。ましてや中世においては、天変地異への対処法や開戦の可否など、国家の命運を左右する政治的判断においても、占いが重要な役割を果たしていた。
本書は、そんな中世の占いを題材に、その根底にある思想や文化を読み解こうとする意欲作である。登場する占いは亀卜、陰陽道、夢占い、易占い、気象占い、鬮くじ引き、算木占いなどで、朝廷・幕府における陰陽師の活動や、足利学校における易占いの詳細など、記述はかなり専門的。
著者の菅原正子氏は、日本中世史・文化史を専門とする博士(文学)であるが、実は数学好きで、高校時代は理科系のクラスにおられたという。
そんなわけで、理科系の学問に関する造詣も深く、本書でも、文系の研究者にとって鬼門である「天文学・数学」と占いの関係について、類書を圧倒して縦横無尽に論じられる。
なお、本書は2011年に講談社現代新書から刊行されていたものだが、今回、吉川弘文館の「読みなおす日本史」シリーズのひとつとして復刊された。吉川弘文館は日本史関連を専門とする老舗中の老舗であり、創業は何と江戸時代にまで遡る。復刊に当たっては、原書刊行後の研究の発展・展開を踏まえた〈補論 陰陽道等占い研究と星座と「術数」〉と題する論文が追加されている。原書を買いもらして悔しい思いをしていた人にとっては、この上ない朗報である。
(月刊ムー 2025年10月号掲載)
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。