地球への違和感を火星人に託すーー新月から別世界へのランデブーを望むヨルシカ「火星人」にオカルト的曲世界を見た
ヨルシカ新曲「火星人」は、新月を象徴とした厭世のオカルトミュージックである。ーー無謀な読み解きにお付き合いください。
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「ムー」誌上で最長の連載「ちょっと不思議な話」をウェブでもご紹介。今回は2025年9月号、第497回目の内容です。
NASA(米航空宇宙局)が2018年に火星に着陸させた探査機インサイトは、人類文明史上初めて、隕石が火星の地表に落下する衝突音の録音に成功した。
長さ11秒に及ぶその記念すべき録音は、重量約200キログラムの隕石が火星の地表に衝突して、3個の破片に分裂し、直径約7メートルの衝突孔を形成する瞬間を捉えたものだった。
だが、地球の大気よりはるかに希薄で気圧が約100分の1しかない火星大気中で録音されたその記念すべき衝突音は、期待されたようなドラマチックなドカンという轟音ではなく、まるで池に小石をポイと投げ込んだ時みたいに、ポトンという拍子抜けするようなごくごく軽い音だった。
英国ケンブリッジ近郊の由緒あるホテル、オーチャードパーク・トラヴェロッジは、最近新調したばかりの最新型ロボット掃除機の1台に、玄関ドアをすり抜けて外の世界に脱走されてしまった。
「通常はホテルのエントランスで館外を感知して後戻りするのですが、この掃除機はどういうわけかそうせずに外に出て、そのまま逃走してしまったんです!」
ホテルの副支配人は取材メディア陣にそう説明した。
ソーシャルメディアのポストスタッフたちはインターネット上で一斉に「どうか〝逃走ロボット掃除機〟の行方を捜してください」と情報発信した。
善意の、だが無責任な第三者たちがそれに一斉に反応した。
「逃走の道中はきっと楽しいにちがいない。掃除機に天敵となるようなプレデターはいないから」とか、「いや、そうはいっても〝自然は真空を嫌う〟ともいうからなあ」とかワイワイガヤガヤ。
とどのつまり、2022年1月22日付「BBCニュース」紙電子版によれば、くだんの逃走ロボット掃除機は電池切れの状態で、翌日、ホテル近くの生け垣に寄りかかっているのが発見された。
スイスはザクセルン在住のエリック&シリル・ローラー夫妻が、標高3048メートルのブリステン山を登っている途中でふと、1匹の大きな猫が後をついてくるのに気がついた。
だが、追い払わずに登りつづけると、猫は結局、頂上までついてきてしまった。
ローラー夫妻は自分たちより先に下山するグループに、猫を託して麓まで運んでもらった。
後日わかったが、この猫が登山客といっしょに登山したのは、これで少なくとも3度目とか。
シリルは首を傾げる。
「猫は神秘的動物ってよくいうけど、いったい何のためにわざわざ苦労して登山するのかしら?」
イギリスの著名なテレビセラピストのニック&エヴァ・スピークマン夫妻が明かしたところでは、彼らが治療したさまざまな恐怖症患者の中で、いちばん不思議だったのは〝引力消滅恐怖症〟を訴える女性患者だったという。
彼女は地球の引力が無くなるのを怖れるあまり、外出する時は必ず煉瓦で一杯にした重い乳母車を引っ張って歩くのを習慣とした。
さしずめ天が落ちるのを心配した中国古代の杞の国の人の話(杞憂)の現代版というところか。
ポーランドのピエン市でこのほど、17世紀中世に存在したヴァンパイアの〝骸骨〟が発掘された。その骸骨は女性で、絹の帽子をかぶり、前歯が突きでていた。
中世ヨーロッパの人びとは、ヴァンパイア恐怖症に偏執狂的なまでに取り憑かれていた。ヴァンパイアはたいていの場合女性で、死者が甦えり、地上を彷徨って生者の血を吸うと信じられた。
発掘された骸骨も喉元が鎌の刃先で抑えられ、動くと首が切られるようになっていた。さらに念には念を入れるように、彼女の左足先には、南京錠まで取り付けられていたのだ。
「中世ヨーロッパの人たちにとっては、ヴァンパイアの存在が心の底から怖かったのだろう!」
この考古学的・民俗学的ニュースを紹介した2022年9月5日付「サイエンスアラート」オンライン版は、そう指摘している。
スペインのアストリアス、カンタブリア両地方を走る愛称FEVE線の建設にあたって、総額2億5800万ユーロ(約441億2830万円)をかけて同路線を走る予定の車両31台を設計したところまではいいが、いざその車両を製造する直前になって、スペイン国鉄当局の担当責任者はとんでもない設計ミスに気がついた。
車両が大きすぎるため、路線の途中に幾つかあるトンネルに入れないことが判明したのだ!
FEVEとはスペイン語で〝狭軌鉄道〟(線路の幅が標準軌より狭い)を意味する。線路の幅が狭いから、その分トンネルも出入り口の幅が狭くなる。
同じスペインでも、狭軌ではなく標準軌の路線も多いから、話はさらにややこしくなるわけだ。
幸いこの一件では、設計ミスが判明したおかげで車両製造計画も急遽、沙汰止みとなったが、設計のやり直しは必然的に、新鉄道路線建設計画を少なくとも数年は先送りすることになりそうだ。
俳優業のアーメド・アリ・アクバル氏は、パキスタンのイスラマバード近くで発見した〝助けを求めて叫ぶ木〟の映像を、ソーシャルメディアで公開した。
その木の幹にはコイン大の穴があり、そこから〝苦痛の悲鳴〟に似た音が出てくる動画だった。
ある者は「まさに超常現象だ」とコメントし、別の者は「自然が苦悶している証拠だ」と断じた。
だが、もっと冷静にこうまとめる人たちも少なからずいた。
「これはナショナルジオグラフィック誌がすでに解明済みだ――水分過多になった木が幹内に小さな水泡を無数に造り出す。それが弾けて人の声に似た音を発するのさ!」
南山宏
作家、翻訳家。怪奇現象研究家。「ムー」にて連載「ちょっと不思議な話」「南山宏の綺想科学論」を連載。
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