特別な物語が共有される場所ーー日本全国150の「聖地」の意味がわかる『聖地の解剖図鑑』

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    聖地がわかる、いきたくなる!

    「アニメの聖地」はなぜ聖地なのか?

     聖地巡礼といえば、古くは熊野古道やサンティアゴ・デ・コンポステーラのような巡礼道を歩く旅をいうものだったが、最近ではもっぱらアニメや映画などの舞台になった場所を訪ねるときに使われることが多い。でもちょっと意味合いが軽くない? そんなになんでもかんでも「聖地」といっていいの? と疑問に思うかたこそ、ぜひこの『日本の聖地解剖図鑑』を手にとってみてほしい。

     監修者である宗教学者岡本亮輔さんが定義する本書での「聖地」とは、「特別な物語が共有される場所」。だから、神社仏閣など古来の宗教施設も、神話に登場する場所も、アニメの舞台も縄文杉もパワースポットも、ぜんぶ聖地ということになるのだ。目からウロコ、なんと腑に落ちる解釈!

    『日本の聖地解剖図鑑』より。

     本書で紹介されるスポットは、全国47都道府県150か所以上。
     全体は「日本三大聖地」「山の聖地」「岩石・樹木の聖地」「水辺の聖地」「神々や英雄の聖地」「霊験あらたかな聖地」「聖地巡礼」の全7章で構成。“ザ・日本の聖地”ともいえる、伊勢神宮、出雲大社、高千穂の三大聖地を紹介する第1章からはじまり、2章「山の聖地」では富士山や吉野山など名だたる霊山が、3章では石舞台古墳、ゴトビキ岩、屋久島・縄文杉に縁切り榎……と幅広い「岩石・樹木の聖地」がとりあげられる。
     目次からラインナップをながめるだけでも、本書の扱う「聖地」の多様さ、豊かさがみえてくるようだ。

     さらに、聖地にまつわる基本用語の整理や、なぜ木や石が神聖視されてきたのかといった解説までたっぷりおさめられた本書はまさに聖地を解剖する図鑑。聖地、興味はあるけどどこに行ってみたらいいのかな、と考えている人がいたら、きっとこの本のなかからあなたにぴったりの聖地が見つかるはずだ。

    『日本の聖地解剖図鑑』
    岡本亮輔監修、えいとえふ著、税込1,980円、エクスナレッジ

    webムー編集部

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