シジュウカラは言語を持つ!「僕には鳥の言葉がわかる」/ムー民のためのブックガイド

文=星野太朗

関連キーワード:

    「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。

    僕には鳥の言葉がわかる

    鈴木俊貴 著

    鳥愛あふれる「シジュウカラ語」研究の記録

     古代ギリシアの時代から現代まで、言葉を持つ動物は人間だけだと決めつけられてきた。

     ところが、その常識を覆したのが、本書の著者、鈴木俊貴東京大学准教授だ。
     彼は、シジュウカラがいくつもの言葉を持ち、文章まで綴ることを発見し、それを数々の実験で証明してきたのだ。シジュウカラだけではない。コガラやヤマガラ、スズメなども、それぞれの言葉を持つばかりか、シジュウカラ語を理解して反応するというのだ。

     鈴木氏が、このことに気づいたのは大学3年のときだ。コガラが「ディーディー」と鳴くと、コガラだけでなく、シジュウカラやヤマガラなども集まってきた。
     続いて、シジュウカラが「ジジジジ」と鳴くと、やはり、コガラやヤマガラまでもが集まってきたのだ。それから、鈴木氏の歴史的な研究が始まった。

     これら小鳥の中でも、鳴き声のバリエーションがとくに多いシジュウカラに的を絞り、さまざまな鳴き声を録音しては、それを流して反応を見た。こうして発見したのが、シジュウカラの鳴き声には、特有の意味があり、単語を組みあわせた文章を作るということだった。動物言語学の始まりである。

     本書は、この人類史上の大発見に到る経緯と、その反響を読みやすく記した、鳥愛あふれる研究の記録である。

    小学館 1870円(税込)

    (月刊ムー 2025年7月号掲載)

    星野太朗

    書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。

    関連記事

    おすすめ記事