人工衛星画像で遺跡を解析!「宇宙考古学への招待」/ムー民のためのブックガイド

文=星野太朗

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    「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。

    宇宙考古学への招待

    惠多谷雅弘 著/鶴間和幸・村松弘一・長谷川奏 監修

    人工衛星画像を解析する「宇宙考古学」の入門書

     かつて日本に、「宇宙友好協会(略称CBA)」というUFO研究団体が存在していた。その活動の重要な柱が「宇宙考古学」であった。これは、太古の昔宇宙人が地球を訪れており、その痕跡が各所に残されているという、いわゆる「古代宇宙飛行士説」を意味していた。

     本書でいう「宇宙考古学」はそれとは異なり、人工衛星が空から撮影した画像をもとに、考古学的解析を行ったり、実際に発掘を開始したりするものであり、れっきとした学問となっている。

     近年では、人工衛星画像の解析によって、次々と眠っていた遺跡が発見されている。
     もちろん、衛星画像をつなぎ合わせるだけでは発見にはつながらず、最終的には現場で発掘作業を行って、確認することになる。
     まずは、人工衛星やドローンのセンサーで、地球表面の広い範囲を宇宙や上空から観測する。これをリモートセンシングと呼ぶ。
     続いて、得られた画像を処理し、うまくつなぎ合わせた上で、実際に樹木や土、コンクリートなどに覆われた状態の土地被覆図を作成する。その上で現場の検証を行い、見込みがあるとなって初めて、発掘作業に入るのだ。

     本書は、エジプトや中国などで得られた実際の画像なども交え、こうしたプロセスを、第一線の研究者たちがわかりやすく解説した、「宇宙考古学」の入門書である。

    清水書院 2750円(税込)

    (月刊ムー 2025年7月号掲載)

    星野太朗

    書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。

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