グーグルの最新量子コンピューターは並行宇宙で計算している!? 驚異的速度が示す“分岐した宇宙”の存在
グーグルの最新鋭量子コンピューターは、スーパーコンピューターで10の25乗年かかる計算を、なんと5分で終えるという。しかも、この新たな量子チップは時空を越えた異世界で計算を行っている可能性があるようだ
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量子コンピュータの研究開発が進むにつれ、量子力学が棚上げしてきた2つの未解決問題。「観測者問題」と「量子もつれの原理」を解明しなければ、量子コンピュータにバグが生じることが指摘されている。そしてこの2つの問題は、極めて密接に宇宙と人間存在に関わってくる。さらに、宇宙人・幽霊・超能力など、オカルトな物事と表裏の関係にあるのだ――。
観測者問題とは、光を観察する際、人が観察していると量子が収束して粒子になるが、観察していないと波のままであるという現象だ。有名な実験なので、だいたいのことはご存じだろう。二重スリットを通過した光は、波だから干渉縞を作る。光を光子で1個づつ発射しても、干渉縞は現れる。これが量子の波と粒子の二重性という不思議な性質だ。しかも、光子が二重スリットのどちらを通るのか、観測装置を置くと干渉縞が消え、点だけが現れる。
つまり、人間の意識が量子の運動を表す波動観測を収束させる(=波という無限の位置情報を、人間による観察が粒子という一つの答えに導く)と言っているわけだ。人間の意識は量子レベルで物体に干渉するのか?
アインシュタインはこれを「誰も見ていない時に月はあるのか?」と言った。誰も見ていないと月は波動関数のままで存在せず、誰かが月を見上げたら収束して月になる、そんなバカなことがあるか! というわけだ。
これに対して量子理学の研究者は「射影仮説」(コンピュータの基礎理論を作った天才フォン・ノイマンが量子力学を数学の体系に組み込む際に提案した)を採用している。これは観測者問題を「そういうもの」だとして量子力学の公理とするという、強引というか、いいのかそれで? というもの。物理量が決まらない、確率でしか表現できない波動関数の状態の量子を測定すると、射影されて決まった物理量(=粒子の状態)に決まるというわけで、問題はこの射影だ。
測定という行為がどうして量子の確率を収束させるのか、その理由を射影仮説は放棄している。測定と量子の振る舞いの間が何によってどうつながるのか、射影の一言で済ませているが、誰もが聞きたいのはそこだろう。
観測者問題以上に悩ましいのが量子もつれ問題だ。対になった量子スピンを離して、一方の回転を逆にするともう一方も逆回転になるというもの。2つの量子が何万光年離れていても、スピンは距離に関係なく一方から一方へと伝達される。
これに対して研究者はベルの不等式を持ち出し、すべては非局所性をもつとした。局所性というのは、情報が一か所に留まっていることだ。自分が今、読んでいる文章が手書きで紙に書かれていたなら、その紙の上にしか文章はない。これが局所性だ。一方、これが非局所化すると、ネット上の文章のようなもので、どこでも誰でも世界中で読むことができる。
しかし、たとえば東京で自分のスマホが壊れたら、同じ機種のスマホが同時かつ一斉に壊れるなんてことがあるかというと、それはない。私たちの世界は局所性で、1つの物は決まった物量を持っている。身長を測るまで自分の身長が1メートルから2メートルの間のすべての身長であると言われても、意味がわからない。
量子の観測者問題(=非実在と量子のもつれあい、つまり非局所性)は、私たちの世界が局所実在であることと真反対なのだ。
量子は非局所非実在なんです、と言われて素直に納得できる人はいないだろう。非局在非実在は、まあ極微の世界ではあるのかもしれないが、しかし、現実の私たちの世界が局所実在なのだから、2つの世界をブリッジしている何かがないとおかしい。
ここで出てくるのが隠れた変数理論で、観測すると波動関数が収束するというのは、研究者が気づいていない変数があって、そのせいで収束するんだという。これを証明するには、完全に分離して影響を受けない実験装置を用意しなければならない。だが、影響といってもいったい何がどこまで影響するのかわからない。人間の関与が影響するなら、測定しようと思ったら測定する全体が影響を受けるんじゃないのか? こうなってくると禅問答のようで困る。
米ネバダ大学ラスベガス校の物理学教授マイケル・プラヴィカは、「量子の非実在と非局所性の背景には、高次元がある」との理論を発表した。隠された変数とは隠された次元のことで、4次元以上の高次元で量子はつながっているため、私たちの3次元世界では非実在で非局所性であるように見えても問題ないのだという。
クラウド上のデジタルデータが、現実世界とネットワークとデバイスで対応するように、非実在非局所性の量子の世界は、高次元によって局所実在の私たちの世界に対応している。私たちはパソコンやスマホのようなデバイスで、高次元とつながった量子の特性を利用している……これって魂のことではないのか? 量子は魂? 高次元はあの世?
こうなってくると量子と魂、あの世と高次元は何が違うのか? という話になってくる。量子が魂の本質なら、魂は非実在非局所性の性質を持つ。テレパシーとは量子もつれで、念力や物質化は観測者問題で説明できてしまう。スプーンが念力で曲がるのは、高次元で波動が収束した結果といえるわけだ。宇宙人のバシャールが人間にコンタクトできるも、精神=魂であり、非局所性を持つからということになる。何億光年離れても量子もつれが起きるように、高次元のバシャールに距離は関係ない。
デカルトの機械論からスタートした近代科学は、魂と肉体の二元論を否定することがセントラルドグマ、絶対的教条となっている。量子を説明するのに魂を出すのは禁じ手であって、それは文学である。科学の範疇ではないとされた。
しかし、哲学的論争で済んでいるうちはまだ良かったが、量子コンピュータの登場で、そうも言っていられなくなった。観測によって計算結果が変化した場合、それをバグと判別できるのか?
射影仮説が正しく、宇宙はそういうものだとしても、だからといって量子コンピュータの抱える問題が解決されるわけではない。それならば、高次元の存在を立証した方が、よほど早いのではないか?
ところが、異次元を実験で証明することは大変難しいのだ。CERNを使って超ひも理論の提示する11次元の存在を証明しようとする挑戦はずっと続いている。理論値が正しければ、11次元をこじ開けるには今のCERNの最大エネルギー1.4 ×10の4乗GeVに対して約1.2×10の19乗GeV、つまり、10億倍以上ものエネルギーが必要になるからだ。
当分の間、私たちは隠れた変数、高次元の存在の有無を知ることはできない。しかし、証明の道筋はともかく、間違いなく非局在的な存在として量子はあり、私たちはその量子から構成されている。
私たちの本質は量子の世界というクラウドに魂を置き、非実在非局在的な存在として宇宙全体に広がっているのだろうか? 宇宙と人間は同じだという古代の宇宙観が正解で、いずれ近代科学はその視点へ回帰するのか?
マイケル・プラヴィカは言う、「聖書によれば、イエスは復活後 40日で天に昇ったそうです。3次元の存在という制約に縛られている場合、イエスはどうやって天に昇ったのでしょうか?」
久野友萬(ひさのゆーまん)
サイエンスライター。1966年生まれ。富山大学理学部卒。企業取材からコラム、科学解説まで、科学をテーマに幅広く扱う。
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